長男は大学受験、末っ子は2歳、コロナ禍、そして夫ががんに。がんになって初めてわかったこと

2022/03/14

長男は大学受験、末っ子は2歳、コロナ禍、そして夫ががんに。まとめてやってきたピンチをどう乗り越えたのか?だれにとってもひとごとではない、がんという病気。がんになって初めてわかったことを、『サンキュ!』世代に聞きました。

<教えてくれた人>
Yさん(48歳 兵庫県)
サンキュ!STYLEライター。団体職員の夫(50歳)、長男(大1)、長女(高3)、二男(高2)の年子と40代で授かった三男(3歳)の6人家族で結婚21年目。証券会社の秘書、フリーペーパーの広告営業を経て結婚。コロナ禍で家政婦の職を失い、現在はSNSの運用代行を手がける。

明るく考える1年と、暗く考える1年。せっかく生きてるんだから、明るい私でいようと決めた

3人の子育ても終盤を迎え、そろそろひと息つけるかな?と思っていた矢先に44歳でまさかの4人目妊娠。無事に出産したものの、赤ちゃん育児は体力的にキツく、上3人の思春期対応もハード。加えて私自身もプレ更年期に突入し疲労はMAXに!夫のぼうこうがんがわかったのはそんなタイミングで、「もう!どないなってるんや?!」と夫婦で笑うしかありませんでした。
21年には夫のがん再発までありましたが、そのあともこうして夫婦で笑って生きています。どうせなら明るく楽しく、そして自分をいたわりながら暮らしていきたいと思っています。

がんはこうして始まった

● 自覚症状はあった?
それまでにはなかった腰痛を訴える。その後、外出先のトイレで大量の血尿が出たというLINEを受け取る。
● 告知はどのように受けた?
夫に「病院についてきて」と言われ、2人で話を聞いた。
● 病院はどう決めた?
かかりつけの個人病院に紹介状を書いてもらい、地元の市立病院へ。

2020年8月

(夫49歳/Yさん47歳) 夫に血尿が出て受診。精密検査の結果、ステージ1のぼうこうがんが判明し手術→抗がん剤治療

2021年5月

(夫50歳/Yさん48歳)夫のがん再発。手術→経過観察中

10歳のとき、母ががんで他界がんになるなら私が先と思っていた

私の母は46歳のときに子宮頸けいがんで他界。夫の家はがん家系ではなく、「がんになるとしたらきっと私だ」とずっと思っていたので、夫のがんがわかったときは頭が真っ白になりました。がんは誰にでもふりかかってくるんだ……と思い知りました。

夫のがんがわかったときの夫婦のLINE画面。一見ふだんと変わらない会話だけれど、お互いショックで当時の記憶はほぼありません。

ネット検索はやめて、触れる情報を厳選した

眠れない夜など、がんについてネット検索を始めると、情報がどっと流れ込んできて、かえって不安や孤立感が深まることに気づきました。インスタで同じ悩みを抱える人とつながれたのは心強かったけれど、「知恵袋」的な情報を漁るのはやめました。

役所や病院に置いてある、患者やその家族向けの冊子が情報源でした。とくに、国立研究開発法人国立がん研究センターが作ったこの冊子は何度も読みました。

妻と母を必死でこなす毎日好きなことを始めて、私を癒やすことにした

家族みんなが大変すぎて、「私だって更年期に差しかかって体調が悪いよ」となかなか言い出せなかったんです。だからせめて……というわけじゃないけれど、前からやりたかったハンドレタリングを趣味で始めました。描いていると心が安まる。至福の時間です。

専用のペンに好みのインクをつけて文字を描いていくハンドレタリング。インスタグラムで知ったベチョリさんの本や講座で学んでいます。

子どもたちの悩みはつきず末っ子のお世話は休みなし。根性だけじゃムリだと実感

「絶対大丈夫!」と必死で信じていたのに、昨年5月に夫のがんが再発。これは気合では立ち行かない、夫のがんと共存していくしかないんだ、と覚悟を決めました。そうしたら肩の力が抜けて、「これからはもっと人に頼って自分もいたわろう」とかっこつけない自分になれた気がします。

プレ更年期と3歳児の育児が重なる母親って、なかなかいないかも?(苦笑)でも孫のようにかわいい三男に家族全員が癒やされてます。

進路で悩む長男、人間関係で悩む長女、部活で悩む二男……あまりの困難続きで「私1人では背負えない。疲れたよー!」とたまらず口に出すようになったら、上の子3人が続々と家事をするように。

ずっと夫に守ってもらってきたけど、これからは私も稼ぎたい

上3人が小さいころは専業主婦でした。でもこれからは経済面で夫に頼る割合を少しずつ減らしていきたい。コロナ禍でなくなった家政婦の仕事に代わり、今はSNSの運用代行の仕事を頑張っています。いつかは夫と二馬力で家計を支えるのが目標。

現在結婚21年目で気づけば6人家族。やることが多くて大変な日々だけど、ご縁とアイデアを駆使して新しい仕事を頑張っています。

Yさんからの伝言

親業は年中無休で、自分より家族を優先することに心も体も慣れてしまいがち。特に「夫ががん」なんて事態になったら、ますます自分のことは後回しになりますよね。でも、そんなときこそ自分にやさしくすることが必要。自分を大切にできなければ人も大切にできないし、私が元気でいることが家族の安心につながると気づきました。

参照:『サンキュ!』2022年3月号「がんになってわかったこと」より。掲載している情報は2022年1月現在のものです。撮影/小田垣吉則 取材・文/宇野津暢子 編集/サンキュ!編集部

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