“食薬習慣”を身につけ、生涯の元気を目指す!~連載「はじめよう!フェムテック」

2022/11/03

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀総編集長と東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
大学卒業後、出版社3社の編集部を経て、1995年ベネッセコーポレーションに入社。『サンキュ!』編集長を長く勤め、現在はK&Fメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務める。30歳の長女一人。

●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン・ザ・ラジオショー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった31歳。


<ゲスト>
●大久保 愛 Ai Okubo
薬剤師、漢方カウンセラー。昭和大学薬学部生薬部植物薬品研究室を卒業後薬剤師に。その後、北京中医大学で漢方、薬膳、東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方、薬膳を始め、医療と美容の専門家として商品開発、ライティング、企業コンサルティングなどに携っている。一方、漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の女性の悩みに応えている。最新刊 『心と体がバテない食薬手帳2023』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)も好評発売中。 Twitter:@Ai_loveflower

まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組の第2フェーズ。今回のゲストも、薬剤師で漢方カウンセラーの大久保愛先生です。「前回は、漢方の基本的な考え方や食薬について詳しく教えていただきました。“生涯、健康を考えた食生活を継続することが大事”というお言葉には、身が引き締まる思いでしたが、楽しみながら取り組んでみようと思いました。いつまでも元気に過ごしたいですものね!」(伊久美)

大久保先生が考える、食薬の6カ条とは?

■東島アナ「前回に引き続きゲストは、薬剤師で漢方カウンセラーの大久保愛先生です。 フェムテックが目指す女性の健康において、心と体の疲れとの向き合い方が大切だと言われています。前回のお話で、漢方の世界では、食べて心身を整える“食薬”という考え方があるとお伺いしましたが、まず、どんなことから始めていけばよろしいですか」

■大久保「食薬は“体によい食事は、どういうものなのだろう”と考えることから始まります。単純なことですし、自分にできることから始めればよいと思います。漢方の考え方では、体によいことも悪いことも、急激な変化を起こすことはよくないので、自分にとってよさそうな食材を献立に取り入れるということを続けてみてください。明日の自分ではなく、10年後や20年後にも元気な自分を目指して、食事を選んでいただけたらと思います」

■伊久美「私のように、自分の体によいものがわからない人は、どうしたらよいでしょう(笑)」

■大久保「手軽に食べられる利便性の高いファーストフードやジャンクフード、すぐにつまめるお菓子などは、基本的に糖質や脂質は過多になり、食物繊維やたんぱく質が不足した食事になると思います。まずは、糖質と脂質は控えめに、食物繊維とタンパク質は積極的に摂取することを心がけてみてはいかがでしょう。例えば、ラーメンと生姜焼き定食、どちらを食べるか迷ったら、生姜焼き定食を選ぶこと。豚肉のビタミンB群、タンパク質、発酵調味料を使ってお腹から温めてくれるお味噌汁、食物繊維が豊富なキャベツがセットになった定食はバランスもいいです」

■伊久美「なるほど。糖質、脂質、食物繊維、タンパク質がポイントですね。他にも何かありますか」

■大久保「はい。皆さんにわかりやすいように、食薬の6カ条を考えさせていただきました!」

【食薬6カ条】

1 今、自分の体に何が必要かを考える

「心と体の栄養として役立つかどうかを考えて食べること。内容や量の適正は、人によって異なりますので、体の些細な変化を見逃さず、過不足ないように栄養をとりいれることを目指しましょう」

2 腸内細菌にとってよい栄養を摂り入れる

「人の体の中には、腸内細菌が生きています。腸内細菌は“もっと野菜が食べたい”など意志表示をしないので、人が心がけて摂り入れる必要があります」

3 糖質や脂質をなるべく控える

「糖質や脂質を多く摂り過ぎると、肌がかゆくなるなどアレルギーを引き起こす原因となる場合も。また、長期的に食べ過ぎると慢性的な炎症を起こし病気や老化の原因にもなります」

4 抗酸化や抗炎症作用のあるサプリや食材を摂取する

「普段の生活をする中で、私たちの体にダメージを与える要素があふれています。ダメージを受けていることを前提に常に抗酸化や抗炎症作用があるものの摂取が必要です。旬の素材で、色が濃く香りが強いものは、植物がもつ有効成分をたくさん含んでいます。例えば、ナスやトマト、鮭などがおすすめです」

5 血流の循環をよくする

「体を冷やすと内臓機能が低下し血流が悪くなるので、体の隅々の細胞にまで栄養や酸素が行き渡らなくなります。適度な運動や質の良い睡眠を心がけ、巡りのよい温かな体づくりをすることが大切です」

6 季節(旬)の食材を摂る 

「時節のものは気候の変化や土地の特性などによりかかる負荷から身を守ってくれます。“旬の素材”は自分の体を守るために有効成分をつくっているので、なるべくその生きた栄養素を摂ってください」

■伊久美「先生ありがとうございます。この6カ条なら頑張れそうです。※できないかも(心の声)」

■東島アナ「2つめの“腸内環境を整える=健康”という話は、これまでご登場いただいた、他のゲストの方々もおっしゃっていましたね」

■伊久美「4つめ、抗酸化や抗炎症作用のある食材は、色が濃くて香りが強いものですね! ヒントになります」

■東島アナ「6つめ、旬のものはおいしいだけでなく、理に叶っていますね。たくさんのわかりやすいアドバイスをありがとうございました!」

冬に向けて留意したい!心と体の変化&作用する食べ物

■東島アナ「前回のお話で、季節によって心と体のバランスが変わってくるということでしたが、これからの季節、体にどんなことが起こりやすくなりますか」

■大久保「夏に不摂生したことが、表面化してきます。抜け毛が年間で一番多くなり、紫外線を多く浴びた人は、シワやシミが出てきます。秋から冬に向かい朝晩の寒暖差が10度以上になることも。結果、自律神経を乱してしまい、頭痛やお腹の調子が悪くなる、イライラして落ち込むこともあります。また、空気が乾燥しているので粘膜免疫が低下し、バリア機能が退化します。寒い冬に向けて体調を整えておきたい大切な時期でもあります」

■東島アナ「冬に向けて、どんなものを食べたらよいですか」

■大久保「免疫力の低下を防ぎ、さらに抗菌、抗ウィルス作用もあり、代謝を高めてくれる“アリシン”という物質があります。ネギ類、ニンニク、ニラなどに多く含まれ、今の時期の不調を改善してくれます。豚汁や野菜炒めなどを食べるとよいですね」

■伊久美「朝・昼・晩、自分の都合のよい時に、食べればいいですか」

■大久保「はい。アリシンなど、エネルギー代謝を上げるものは、いつでも大丈夫です。ただ、生のニンニクなど、刺激の強いものは、夜は控えた方がよいですね」

■伊久美「ラーメンは注意ですね(笑)。最後に今日のお話を踏まえて、リスナーの皆さまにさらに伝えたいことはありますか」

■大久保「“体によい食べ物は1日食るだけで健康になる”と思わないことですね。例えば、“コラーゲンボールが入った鍋を食べたから、私は美肌になる”など(笑)」

■東島アナ「身に覚えがあります(笑)」

■大久保「人間は死ぬまで、ずっと健康を考えた食事を継続していかなくてはならないのです。ただ、意識的に取り組み過ぎるとストレスになるので、なるべく若いうちから、健康的な食生活の習慣を身につけて、ノンストレスで食の選択ができるようになるのが理想的です」

■東島アナ「継続し、習慣化することが、肝ですね! 健康的な食習慣を実践するための大きなヒントとなるのが、大久保先生の新刊『心と体がばてない食薬手帳2023』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)です。これが素晴らしくて、毎日、おすすめの食材や健康チェックが記されているのです。今回のご本で、こだわられたのはどんなことですか」

■大久保「自分の生活習慣は必ず体調や心の状態とリンクするので、毎日のチェック項目が必要になります。自分のクセ、こういうものを食べた、睡眠時間や食事の時間などを書くことで、自分のウィークポイント、ネガティブ習慣が見えてきます。判明したら、月の最後に来年の同じ月の自分へ向けて伝えたいことを書き込めるスペースに記してください。人間は、だいたい同じような習慣で毎日を過ごしているので、毎年同じ時期に体調が悪くなるという人も多いと思います。この食薬手帳を使うことで自分の体を把握してほしいです」

■伊久美「健康でいるためには、日々の積み重ねが重要なのですね。食薬習慣を心がけ、いつまでも健康に年を重ねていけたらと思います!」

●次回は、プロゴルファーの馬場由美子さんをゲストにお迎えします。

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」

【番組インフォメーション】
『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!

撮影/寿 友紀

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND