「何か話をしなくちゃ」と考えると焦ってしまい、質問攻めか自分の話ばかりになってしまいます

2023/05/13

もともとは話し好きな相談者のりんさん。過去に仕事先で「あなたは自分のことばかり話すね」と指摘されたことがきっかけで自信を失い、普段のちょっとした会話でも話題に困るようになりました。
そんな彼女に心理カウンセラーの若松さんは、「何を話そう」と焦るがゆえに見失いがちな「会話のキャッチボールを楽しむために大事なこと」を伝えます。

言葉だけに頼ろうとしないで。明るい笑顔や表情でもコミュニケーションできます

若松:お仕事のときに大事にしていたことって何ですか?

りん:ゲストやお客さまと目を合わせることです。アイコンタクトを取って、ニコッと笑顔でコミュニケーションすることが大事だと思います。

若松:ママ友がそうしてくれたら、りんさんはどんな気持ちになる?

りん:うれしいです。

若松:そうですよね。それがコミュニケーションなんです。今日お話していて、りんさんて明るくて表情豊かな方だなって思いました。りんさんのようにニコニコしている人なら、お天気の話でも言葉を交わせたらうれしいし、たとえ話さなくても隣にいたくなりますよ。

りん:ありがとうございます(照れ笑い)。

若松:私たちって、言葉だけでコミュニケーションしているわけじゃないんです。表情やアイコンタクト、声のトーン、身振り手振り、全部がコミュニケーションツールなんですよね。

りん:そっか、目を合わせてニコッと笑う。最初はそれだけでいいのかも。

無理に話そうとしなくても大丈夫。「静かにたたずむ大人の女性」を目指す方法もアリ

若松:りんさんは沈黙が苦手で話をしないと気まずいと言っていましたね。

りん:はい。

若松:では子どもの習い事などママたちが集まる場面で、一人でいるママがいたら、どう思いますか?

りん:凛として品がある大人の女性に見えます。どんな人なんだろうと気になって、私から話しかけたくなるかもしれないです。

若松:そうですよね。私は話さないから印象が悪いわけではないと思うし、かもし出す雰囲気とか、話さずに黙っている人の魅力があると思うんです。

りん:確かに。

若松:笑顔が素敵なりんさんなら、そういう人になれるんじゃないかなって思います。一人でいることに居心地の悪さを感じなければ、静かにほほ笑んでいるだけでもいい気がしますよ。

りん:そうですね。今までのように無理して話そうとしなくていいのかもって思えてきました。

「人に聞かれたことをそのまま返す」と、自然と会話が続きやすいです

りん:相談に乗ってもらって気持ちがラクになってきました。だけど、ママ友など顔見知り程度の人と話さなきゃいけない場面はやっぱりあるから、そういうときに軽く話せる話題や自然に話せるコツを知りたいです。

若松:なるほど、わかりました。では、りんさんが「おしゃべり上手だな」って思うのはどんな人ですか?

りん:話しているときに自然に質問できる人は、話し上手だなと思います。そういう人は、自分も話すけど相手にも同じくらい話を振っていて、押したり引いたりが上手だな~って感心しちゃいます。

若松:そうですね。人とのコミュニケーションは「聞く」と「話す」を両方できるとうまくと言われています。

りん:はい。その点私は、最初は相手の話を聞けるけれど、気分が乗ってくると自分だけバーッとしゃべっちゃって。

若松:そうなんですね。手軽に実践できるプチテクとして、相手に聞かれたことをそのまま返すという方法がありますよ。たとえば「今度の連休はお出かけしますか?」と聞かれて、それに答えたら、「○○さんはお出かけしますか?」というふうに同じ質問を返すんです。

りん:なるほど~、今度やってみます!

そういえば「何を話そう」ばかり考えていて、「その人はどんな人?」っていうところは抜けていたかも

若松:ママ友が話していた内容は、覚えているほうですか?

りん:それって大事ですよね。でもなかなかできなくて。職業とか子どもの学年とか忘れちゃうんです。

若松:その人にあまり興味ない?

りん:う~ん、どうかな……。理学療法士をしていたときは、患者さんの話をしっかり覚えていました。リハビリメニューをつくるための大事な情報なので。だから意識の向け方次第なんだと思います。

若松:状況によっては覚えられるわけですね。とすると、話題よりも、りんさんがその人の気になるところや興味を持てそうなところを探すのが先かもしれませんね。

りん:あ……、そうかもしれません。

若松:無理に質問を探さなくても、目の前の相手に情報が詰まっている気がするんです。その人の持ち物が素敵だなと思ったら「そのバッグおしゃれですね。ブルーが好きなんですか」とか、肌がきれいだなと思ったら「お肌ツルツルですね」とか。

りん:そうですね。私、話さなきゃという考えにとらわれて、その人に目を向けてなかったかも……。

若松:りんさんは長く理学療法士をされていて観察力があるはずだから、テニススクールでも「さっきのサーブ、すごかったですね」とか「ネットプレーが上手ですね。どうやるんですか?」とか、聞くことが山盛り浮かんでくる気がしますよ。

りん:はい。私、頭で考えていて相手を見ていなかったんですね。見ることで情報を得られるのに、情報のない頭の中だけで考えていました。だからありきたりの話題しか出てこなかったんだ。

若松:「頭で考えていて相手を見ていなかった」って、名言です!

りん:腑に落ちました~。今まであまりにも気負い過ぎていたけど、相手をちゃんと見て関心を向けたら、話したいことも自然に出てきそうです。

若松:うんうん!

りん:テニススクールでも、人のショットを見ているようで見てなかった。まずプレーを見て声を掛けたらいいんだって気づきました。

若松:誰かが自分に対して興味を持ってくれたらうれしいですよね。りんさんの発見を聞いて、私もなるほどねと思いました。

りん:はい。これからはそういう姿勢で人に接していこうと思います!



若松さんとのやりとりを通して「コミュニケーションで大切なのは、相手に関心を持つこと」と気づいたりんさん。人にどう話しかけたらいいかわからず、自分のことばかり話してしまう悩みも、これで解消するかもしれません。1カ月間アドバイスを実践してみたりんさんのお話を次回お届けします!

イラスト/髙栁浩太郎 取材・文/神坐陽子 構成/サンキュ!コメつぶ編集部

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