元カリスマ主婦モデルが心理カウンセラーを仕事にするまで。きっかけは長女の反抗期でした。

2023/02/15

気になるあの人の「中身」をのぞき見する企画です。家にお邪魔して、見せてもらうのは「棚」と「引き出し」と「冷蔵庫」の中。さて、今回は…

「サンキュ!」など生活情報誌で活躍したカリスマ主婦・若松美穂さん。若くして結婚し2人の子育てに奮闘する中で、節約や収納などの工夫が注目され、一時は毎月のように誌面に登場する人気ぶりでした。
50歳になった現在は、主に心理カウンセラーとして活動しています。自宅の一画にある彼女の仕事場の棚から、そこに辿り着くまでのストーリーをお伺いしました。

40代からは自分で始めることにした。元主婦モデルの心理カウンセラー・若松美穂さんの仕事棚

心理学の資料が並ぶ仕事場の棚

「転機は、36歳のころ」と、若松さん。「主婦モデルはずっとはできないな」。そう感じて、これから何をしたらいいんだろうと考え始めていました。
折しも、長女が反抗期に入っていました。今までおとなしく言うことを聞いてくれていた子が全然聞いてくれなくなり、子育てに悩みはじめます。「カウンセリングを受けてみようか」とまで思い詰めていたところ、「あれ?自分で勉強してみたらどうだろう」と思いあたりました。
もともと学ぶことが好きだった若松さんは、すぐにカウンセリング教室に申し込み、勉強を開始します。

下段がテキストやプリントのファイル。あえて色を揃えないことで「あの資料は青いファイル」など、記憶だけで物が探せる。

勉強するうちに分かったのは、「自分は過干渉な親だ」ということ。反抗期で困っているのは、娘ではなく、自分だったのだと気づきました。
「カウンセリングを学ぶ前は、子どもを変えようとばかりしていました。でも本当に苦しんでいたのは、子どものことばかりに目がいっていた、自分自身だったんですね。変わるべきなのは”私”なんだということを知って、子どもといい意味で距離を取ることにしたんです。そうしてみたら、すごく生きやすくなりました。あ、これでいいんだ、って」
そうこうするうちに娘の反抗期は終了しましたが、カウンセリングを学んだことで自分が変化し、幸せに近づいたことを、人にも伝えていきたいという気持ちが残りました。
この時すでに100万円ほどの授業料を費やしていたと言います。「そろそろ実践したら?」という夫の後押しもあり、まずは友人を中心にカウンセリングを始めました。はじめはなかなかうまく話せずに苦労したこともありましたが、壁にぶつかると、次はこうしよう、もっと勉強しよう、という気持ちがどんどん湧いてきて、辛いと思ったことはなかったそうです。

人それぞれの悩みに最適な言葉を探したいから、どんどん増えていく本の詰まった引き出し

枕元に置いた「I 」「will」「be」のカード。「毎朝、今日はどんな私になるか決めるためにこのカードを見ます」。

カウンセリング業が軌道にのりはじめた頃、コロナ禍になりました。対面のカウンセリングはできなくなりましたが、zoomによって全国の人たちとつながり、オンラインで活動を広げています。なんと海外在住の方をカウンセリングしたこともあったそう。
仕事はどんどん忙しくなり、寝室の一角が仕事場になりました。新調したキャビネットにはテキストが、棚には心理学に関する本がずらり。
「カウンセリングって、人それぞれに対応方法が違うんです。家庭のことから仕事のこと、介護など、悩みも千差万別。だから本を読んで、あの人の参考になるかな?この人にはこのアプローチがいいかな?、と常にインプットしています」

引き出しにも心理についての本が入っていました。カーネギー『道は開ける』は、困難な時に勇気をくれる名著。

さらに今力を入れ始めているのが、学んだことを教えること。数人の生徒を集めて心理カウンセリングの教室も開催しています。
「人に教えることで私自身も成長できるし、学んだ人がまた誰かに伝えて、幸せな変化が連鎖していく。それがその人たちの家庭にも広がれば、幸せがもっともっと広がっていく。一人に教えたら、100人200人って幸せになる人が増えていくと思うと嬉しいですよね」

気に入った本は、なんども読んで頭に入れている。夫婦関係に悩む人には『妻と夫の向き合いかた』をよく参考に。

自分のために始めたことが誰かの役に立ち、それがやがて仕事になっていった若松美穂さん。「今はとにかく仕事がしたいんです」と笑います。
主婦だからと諦めることなく、自分で動いて自分で始めた若松さん。その生き方は、誰でも、いつからでも、”道は開ける”ことを教えてくれます。

撮影/林ひろし 取材・文/尾崎真佐子

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