《ひでこの部屋 ゲスト:桐山漣さん》「また会いたいと思ってもらえる役者であり続けること」
2024/03/08
俳優の桐山漣さんは昨年秋、長年所属していた事務所を独立。恵まれた環境をあえて手放し、新たなスタートを切りました。好奇心旺盛で多趣味な桐山さんのもっかの悩みは、物が多いのに収納が少ないこと。さぁ、ひでこ先生、どうしましょう?
捨てられない空き箱、それって生きてる?
ひでこ:桐山さんはファッション、音楽、キャンプ、車など、かなり多趣味だそうですね。やはり持ち物も多いのかしら?
桐山:多いですね。今、デザイナーズ賃貸に住んでまして、とても気に入っているんですが、唯一困っているのが、収納が極端に少ないことで。
ひでこ:おしゃれな物件にありがちな状況ですね(笑)。
桐山:引っ越して2年も経つのに、趣味でコレクションしている物をどう収納するかがいまだに悩みの種です。例えば、スニーカーは透明の収納ケースをスタッキングしてお店のようにディスプレイしているんですが、問題はスニーカーの空き箱。楽器ケースやゴルフバッグを収納している大型のクローゼットにパンパンに押し込んでいる状態で……まあ、捨てろよって話なんですが(汗)。
ひでこ:箱には「中に入れた物を守る」という役割があります。その役割を果たせるなら、その箱は生きていることになるわ。でも、空き箱のまま収納に押し込まれているとしたら、死んでいるも同然だし、何よりスペースのムダ。その空き箱を持ち続けたいなら、何かを入れるのに活用したらいかがかしら?
選び抜く人は選ばれる人になる
桐山:うーん……すみません、潔く捨てます(苦笑)。ひでこ先生はコレクションはするほうですか?
ひでこ:好きな物は集めたくなるけれど、「もうそろそろいいかな」と思ったら、その丸ごと誰かに譲っちゃうわね。いくら好きでもこれ以上はその物を生かせないと思ったら、そこが分岐点。
桐山:僕、実は一時期ヴィンテージの食器集めにハマって、それを今後どうしようかと悩んでいるんです。以前は使っていたんですけど、今は当時より価値が上がっているから、もったいなくて使えなくなってしまって。
ひでこ:器には使うだけでなく、飾るという楽しみ方もあるわよね?
桐山:それが、今の家に引っ越してからは収納の奥にしまったままで。正直、昔より興味が薄れているんだけど、せっかく集めたと思うと……。
ひでこ:ズバリ、「せっかく」は過去への執着よ。
桐山:そうだ~~~(と頭を抱える)。
ひでこ:心変わりしたならさっさと手放して、今好きなものに集中しましょうよ。気持ちが変わるのは自然なこと。だからそのつど、どの趣味を続けて、どの趣味をやめるのかを選び抜く。そんな取捨選択を繰り返していくことで、桐山さんの感性が磨かれて、今度は自分が「いつでも選ばれる人」になっていくわ。自分を大切に扱っている人は、他人からも大切に扱われるようになりますからね。
役者以外の道を捨てたから成長できた
桐山:ひでこ先生の今の話、めっちゃ刺さります。というのも、僕の今の目標は「また会いたいと思ってもらえる役者であり続けること」なんです。
ひでこ:ふむふむ。そう思うようになったのには、何かきっかけが?
桐山:30代になる頃、30歳を節目に役者を辞めて別の道に進んだ同期が何人かいました。でも僕は、役者を続けたいと思った。ならばこの先は「また一緒に仕事がしたい」と望んでもらえる人間にならなくては、と思いまして。芝居で結果を出すのはもちろん、現場でプロとしてのたたずまいや言動を意識していこうと決めたんです。
ひでこ:役者以外の道を断捨離する覚悟を決めたら、新たな目標が生まれたんですね。
桐山:ハイ。それからは以前よりも社交的になりました。現場がいいムードになるように、収録の準備や待ちの時間に自分からスタッフの方々に話しかけて、たわいのない会話を楽しんだりして。
ひでこ:人間としてひと回り成長したんですね。素敵だわ。
17年間所属した事務所から独立した理由
ひでこ:昨年の秋には17年間所属した事務所から独立して、フリーランスとして活動をスタート。さらに大きな断捨離にチャレンジしましたね。
桐山:不満があったわけではなく、むしろ恵まれた環境で仕事し続けたからこそ、外に飛び出さないと見えてこないものもあるんじゃないかなって思いまして。今は仕事のオファーへの対応からスケジュール管理、請求書の作成まで、全部自分でやっています。
ひでこ:うわ~、それは大変ね。
桐山:こんなにたくさんの作業を事務所の方々がやってくれていたんだな、というありがたみを感じます。いずれまたご縁があれば状況は変わるかもしれませんが、今は毎日が勉強で、いい経験です。
ひでこ:フリーランスは周りから求められて初めて成立するもの。そろそろ40歳が見えてきて、「求められる役者になりたい」という思いがさらに強まったからこその選択だったのかもしれませんね。あっぱれです!そんな桐山さんに、私からひとつアドバイス。物を主役に考えるのではなく、空間に合わせて物を新陳代謝しませんか?空間という器を基準にして、常に新しい物がやってくる余白をつくれば、自分という器にも新しい仕事がどんどん舞い込んでくるわよ。
桐山:なるほど……。住空間に余白をつくることでチャンスが舞い込んでくる、と。これは試してみないと。帰ったらさっそく、箱から断捨離するぞー!
ひでこ:行動派の桐山さんだから、すぐにうまくいくはず。応援していますよ!
「求められ続ける役者」を目指して独立、フリーランスに。――桐山漣
恵まれた環境をあえて断捨離。その成長意欲、お見事!――ひでこ
<教えてくれた人>
・やましたひでこさん
断捨離(R)提唱者。1954年、東京生まれ。子育てや介護を経験した後、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」から着想を得た「断捨離」理論を構築。BS朝日『ウチ、“断捨離”しました!』(毎週火曜夜9時)にレギュラー出演中。
・桐山 漣(きりやま れん)さん
俳優。1985年、神奈川県出身。2006年のデビュー以降、ドラマや映画、舞台、ラジオなど幅広いジャンルで活躍中。2024年1月スタートのドラマ『パティスリーMON』(テレビ東京系)加瀬総一郎役や『極限夫婦』(カンテレ/ DMM)玉川直樹役などレギュラー出演も多数。
衣装:TAAKK(問い合わせ先/JOYEUX 03・4361・4464)
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参照:『サンキュ!』2024年3月号「断捨離(R)トーク ひでこの部屋」より。掲載している情報は2024年1月現在のものです。撮影/木村文平 取材・文/志村香織 編集/サンキュ!編集部