スマート フォンを持つ女性

ものづくりがしたくて転職した会社が倒産。次の会社は妊娠で退職。働きたくても保育園難民に……。そんな私のキャリアはどうなる?

2024/01/26

働く女性のリアルな声を聞く企画。2人目は、内装施工管理会社の正社員として働く奥田真美さん(38歳)です。

ここにたどり着くまでには数社の転職に加え、プライベートではシングルマザーになるなど紆余曲折がありました。今の仕事への思いをおうかがいします。

工学部を出て、やりがいを求めて3度の転職。それでも妊娠を機に辞めることになり…

編集部:現在のお仕事について教えてください

奥田さん(以下、奥田):内装施工管理会社の事務です。資材の発注、データ入力、支払書類作成、図面作成、電話応対などを担当しています。

勤務時間は基本は9:00~17:30ですが、コロナ禍を経て時差出勤ができるようになり、今も8:30~17:00で勤務しています。正社員で、お給料は額面の年収で370万円くらいです。

編集部:現在の会社は、派遣社員からのスタートだったとか?

奥田:そうです。紆余曲折ありまして…。

大学は工学部でした。リフォームとかリノベに興味があって、新卒で不動産業界に就職しました。でも、仕事は店舗でのいわゆる普通の営業だったので、思い描いていたのとは違うかなと思って、半年くらいで辞めました。

退職後、半年間、建設コンサルタント会社に派遣で入って、そこでCADの応援オペレーターをやりました。CADは大学の時に少し扱ったことがあったですが、ここでの経験が後で役に立ちました。

編集部:その後はずっと派遣で仕事をしてきたのですか?

奥田:いえ、ものづくりがしたいという気持ちがあったので、革製品のメーカーに転職しました。そこでは企画から制作までやらせてもらって楽しかったです。

でも、その会社が傾いてしまったんです。退職せざるを得なくなってしまって。面白くて好きなことでお金を稼ぐのって難しいなと痛感しました。

その後、ノベルティグッズを制作する会社に入りました。ぬいぐるみとかうちわとかそういうグッズです。商品の企画などを担当しました。

ただその頃、結婚して妊娠したんです。入社6ヶ月目での妊娠だったので、試用期間ということもあったと思いますが「半年で産休なんてダメ」と言われてしまい、退社することになりました。

働きたいのに、保育園が先か仕事が先かの壁にぶち当たる

仕事が先か保育園が先かのジレンマに陥る
仕事が先か保育園が先かのジレンマに陥る

編集部:ちょっとショックですね。

奥田 そうですね。仕事自体はしたいタイプですし、27歳だったので、まだまだやりたかったという思いはあります。

仕事を全くしていない状況では、時間がお金に変わらないことがすごく勿体無いと思いましたし、1日中誰とも話さなかったりするので世界が狭まるような気もして。悶々としてしまいましたね。

編集部:それで、お子さんが1歳半になった頃に派遣社員としてお仕事に復帰ですね?

奥田:すぐに働きたかったし、できれば正社員が良かったのですが、保育園が先か仕事を見つけるのが先かの壁にぶつかりました。仕事してないと保育園に入れてもらえない、保育園に入れられないと仕事が見つからない問題に、ほとほと疲れた覚えがあります。

結局、その状態で正社員お仕事を見つけるのは難しかったので、とりあえずと思って、派遣に登録しました。

転職を繰り返した末に辿り着いたのは、福利厚生や働きやすさを優先したホワイト企業

編集部:派遣先はすぐに見つかったのでしょうか?

奥田:CADの知識があったので、建設系の会社に決まりました。おかげで保育園に入ることができ、ホッとしました。

派遣社員として、1社目は2年間勤め、その後、現在も勤めている会社に派遣され、1年3か月後の2016年4月に契約社員として直接雇用になりました。

派遣は同じ会社で同じ仕事をするなら3年しかできないという規則があるのですが、これからもここで働きたい気持ちを会社に伝えて直雇用に変えてもらいました。3年半後の2019年10月には、事務職として正社員になりました。

編集部:会社を選んだ決め手は?

奥田:家から通いやすかったのと、土日祝休み、基本的に残業なし、というのが決め手でした。その少し前にシングルマザーになっていたこともあって、とにかく落ち着かなくちゃと。

大手の建設会社の関連会社で、福利厚生は親会社と同じで手厚かったんです。有給休暇も取りやすいし、ノー残業デーとかもあるし、財形貯蓄制度とかも充実していたり、ベースアップなどもちゃんとありました。

それまで勤めていたのが不安定な会社が多かったこともあって、ありがたいと思いました。
それと、これも実は大切だと思うのですが、社員に「変な人」がいなかったのも良かったです。

編集部:「変な人…」(笑)。でも、それは意外に重要ですよね。



会社の経営状態など、不可抗力での転職や退職が続いた奥田さん。派遣社員という働き方を経て、資格や経験といった技術を積むことで正社員という安定を手にしました。次回は、ワークライフバランスについてや、これからの仕事への考え方などをおうかがいします。

【お話を聞いた人】
●奥田真美さん(仮名・38歳)
小学6年生の長男と2人暮らしのシングルマザー。工学部卒業の知識を活かして、内装会社の事務員として勤務。ワー
クライフバランスを保てることが働く条件。

○お仕事データ
勤務形態 正社員
勤務時間 フルタイム(8:30~17:00)
年収 約370万円
お仕事内容 内装施工管理会社の事務。資材発注、図面作成、支払書類作成、電話応対など。

奥田真美さん(仮名・38歳)
奥田真美さん(仮名・38歳)

イラスト/すぎやまえみこ 取材・文/尾崎真佐子 企画/サンキュ!コメつぶ編集部

 
 

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