報道で耳にする「激しい雨」ってどんな雨?車の運転は大丈夫?身を守るために知っておきたいポイントを気象予報士が解説
2023/08/08
夏の間、ニュースや天気予報で「明日は激しい雨に注意してください」というフレーズをよく聞きます。でも、激しい雨とは、実際どのような雨で、何に気をつければよいのでしょうか。
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、身を守るために知っておきたいポイントを解説してもらいます。
歩いていたら・運転していたら何が起きる?
「激しい雨」というのは、1時間30mm以上50mm未満の雨のことを言います。
報道では「バケツをひっくり返したような雨」と表現されることも。この強さの雨が降ると、道には水たまりができる程度ではなく、もう全体が水びたしになってしまいます。
また、傘をさしていてもぬれてしまう強さですから、外を歩くのは結構大変です。
小さなお子さんを連れて外を移動するのはできるだけ避けたい状況ですし、足が悪い人も外を歩きづらくなる雨です。
車を運転している場合は、ワイパーを速く動かしても前が見えづらいレベル。歩行者が見えづらくなってしまうので、いつもより慎重に運転する必要があります。
さらに高速走行時は、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる「ハイドロプレーニング現象」という現象が起きやすくなります。高速道路を使うような長距離の移動は、できれば避けたいレベルの降り方です。
山や崖の近くでは災害の危険性も
一般に、「激しい雨」が短時間降るだけでは、すぐに命にかかわる災害が引き起こされることは少ないです。
しかし、山や崖の近くでは話は別。
「激しい雨」が2~3時間降るだけで、災害の危険性が増す場合があります。
自宅が山や斜面の近くにあるという場合は、テレビやスマホで情報を取れるようにしておきましょう。また、寝ている間に「激しい雨」が降ると、だいたい半数くらいの人が音に気づいて目を覚まします。
夜中に目が覚めるような雨音を聞いたら、念のため避難情報などが出ていないか確認しましょう。
「激しい雨」と聞いたら自分のなかのスイッチオン!
「激しい雨」は、それよりも弱い雨に比べると、生活のさまざまな場面でいつもより慎重にならないといけない雨になります。
そのため、ニュースや天気予報で「明日は激しい雨になるでしょう」と言われたら、自分のなかでの注意ランプを「スイッチオン」するようにしてください。
そして、お子さんが小さい場合や、車の運転が苦手な場合は、外での用事や移動を別の日に変えることを考える基準にもなります。
なお、「激しい雨」よりもさらに強い雨には、「非常に激しい雨」と「猛烈な雨」があります。ここまでくると、山や崖が近くになくても災害のおそれが高まりますし、車を運転すること自体が危険です。
ニュースなどで聞こえてくるちょっとしたキーワードに注目することで、用事や移動がスムーズになったり、命を守る行動につながったりします。
ぜひ日々の生活で役立ててください。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。