【予報士解説】市街地の集中豪雨に備えよう!「一番低い場所」を知っていますか?

2023/08/21

大雨による災害でまず思いつくのが土砂災害や川の洪水…という人が多いと思いますが、意外と身近なのに見落としがちなのが「浸水」の被害です。
梅雨明けして夏空が続くようになっても、ゲリラ豪雨のように突発的な大雨はむしろ多くなっていきますし、例年9月から10月にかけては秋雨シーズンとなって梅雨よりも雨量が多くなる地域があります。
今回は、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんに、今のうちに確認しておきたいポイントを教えてもらいました。

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

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水は素直に動く!?「浸水」とは

アメリカ合衆国 フロリダ州フォートローダーデールの浸水した近所の通り。
JillianCain/gettyimages

「浸水」とは文字通り、水に浸っている状態です。
雨が降ると、通常その雨水は側溝などから排水されていきますが、降る量が多くなると排水が追いつかずに溜まってしまい、あたり一帯が水浸しになってしまいます。

また、雨の量自体がさほど多くなくても、降る激しさが一時的に下水の処理能力を超えた場合も同様に、周囲が水浸しに。
(日本の多くの地域では、報道で「非常に激しい雨」と言われるレベルの雨で下水の処理能力を超えてしまいます。)

「水浸しの道路なんて見慣れているしふつうに歩ける」と思われるかもしれませんが、大雨時はその水に「流れ」が加わるため、意外と低い水深でも、子どもはもちろん大人が足を取られることもあり、決して油断できません。
もちろん車で通行するのも危険です。

こういったとき、水は比較的素直に、より低いところへ低いところへと集まりやすい性質があります。
人は道に迷うことがありますが、水は迷わず低いところへ向かうのです。

そのため、ふだんから「低い場所」を知っておくことがとても重要になってきます。

意外と実感できる「低い場所」

「低い場所って言われても、素人が測量できるわけないし…」、そんな声が聞こえてきそうですが、じつは歩き慣れた道でも改めて意識しながら歩くと、プロでなくても意外と高低差を実感することができます。

家や職場、あるいはお子さんの学校のまわりの道を、ちょっと意識して歩いてみましょう。
「あ、微妙にこっちの道の方が低いんだ」
「そういえばこの道ちょっと坂になっていて行きより帰りのほうが歩くのしんどい」
などなど、小さな気づきがあるはず。

そうやってまわりより「低い場所」がわかれば、いざ大雨になっても、まわりより「浸水しやすい場所」がわかるので、大雨時でもより安全に歩くことができるのです。

もし余裕があれば、お休みの日にお子さんといっしょに歩いてみるのもおすすめです。

ハザードマップも助けになる

自治体のなかには、土砂災害や洪水のハザードマップとは別に、浸水のハザードマップを作成し公表しているところがあります。
(正確には、法律ですべての自治体に作成が義務づけられているのですが、完成している自治体とそうでない自治体があります。)

この記事で解説している浸水は「内水氾濫」という種類の現象による浸水なので、「〇〇市 内水氾濫 ハザードマップ」と検索すれば、自分の自治体のハザードマップが公表されているかどうかがわかります。

実際に自分で歩いてみた感覚とハザードマップの両方をつき合わせてみると、危険な場所がよりはっきりとわかるので、ぜひ探してみてください。

また、いざ大雨になった際には、気象庁ホームページの「キキクル」でリアルタイムの浸水リスクを知ることができます。

「学校→家」「職場→スーパー」「駅→コンビニ」…場面を想像して

大雨災害に遭うのは平日かもしれないし、休日かもしれません。
また、朝かもしれないし、昼や夕方や夜かもしれません。

つまり、災害に遭遇するのは学校と家の間である可能性もあれば、駅とコンビニの間の道である可能性もあるのです。

「この場所で水浸しになってしまったらどう動くのがいいかな?」
「どこで浸水被害に遭うのが一番ヤバそうかな?」
そうやってさまざまなパターンを想像してみることで、いざというときの行動がぐんとスムーズになります。

梅雨が終わってもまだまだ大雨リスクの高い季節は続きます。
被害に遭ってしまう前に、ちょっとずつでいいので備えていきましょう。

■執筆/植松愛実…身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。
編集/サンキュ!編集部

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

 
 

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