雲が空で交差する⁉気象予報士が秋支度を始める合図「行き合い」とは

2023/09/09

夏らしい雲といえば、もくもくと大きく成長した元気のいい雲。
一方で秋の雲といえば、ぽこぽこと浮かぶ小さな丸い雲や、ハケでサッと描いたような雲をイメージする人が多いのではないでしょうか。

じつは、この2タイプの雲が、空で「交差」するタイミングがあります。
今回は、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんが、秋支度を始める"空の合図"について解説します!

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

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違うタイプの雲が空ですれ違う

夏の間は、気温が高いだけでなく湿度も高いのが特徴。
気温が高いと上昇気流が起きやすく雲が発達しやすいですし、湿度が高いということは雨雲の材料である水蒸気がたっぷりあるので、もくもくと背の高い雲が育ちます。

一方で秋になると、地上から上空までどーんと伸びる大きな雲はできにくくなります。
かわりに、空の高いところだけにぽこぽことできる小さな雲や、サッと刷毛で描いたようなすじ状の雲が現れます。

そして…、これら2タイプの雲が両方出る期間、つまり夏の終わりから秋のはじめにかけては、両者が空中で立体交差するようにすれ違うのです。

こういった状況を古くからの日本語で「行き合いの空」と言い、何かがすれ違う様子を「行き合い」「行き合う」と言うこともあります。

秋支度その1:長雨に備える

空で夏と秋の雲が「行き合い」始めるころ、天気図には秋雨前線が登場します。

日本列島にまだまだ残ろうとする夏の暑い空気と、北から押し寄せようとする秋の冷たい空気とがぶつかりあって、雨が降りやすくなる「秋雨」シーズンの到来です。

秋雨はそれ自体が大雨になることもあるだけでなく、秋雨シーズン中に台風が接近すると大きな災害を引き起こすおそれも。
梅雨と秋雨では雨量が多くなる地域も異なるため、梅雨の間にあまり雨で苦労しなかったという地域の人は、特にしっかり雨への対策をしましょう。

秋支度その2:乾燥に備える

梅雨と比べると秋雨は短く、あっというまに終わる年もあります。
つかの間の秋雨シーズンが終わったら、「天高く馬肥える秋」というフレーズがよく似合う秋晴れの季節です。

秋晴れはさわやかで気持ちのいい気候ですが、同時にかなり乾燥します。
空気中の水分が減っていくにつれて、人の肌からの水分蒸発量はどんどん増加。

一般の人が「最近、空気が乾燥しているな」と実感するよりもかなり早い段階から、体からの蒸発は増えていきます。
気づかないうちに肌や喉がダメージを受けてしまうことがあるので、乾燥対策は早めに始めましょう。

秋支度その3:衣替えに備える

まだまだ暑いし、長袖を着るなんて全然考えられない…。そんな時期ではありますが、気温というのは徐々に下がるものではありません。
ある日ガツンと大幅に下がってはまた暑さが戻り、また大幅に下がっては戻り…を繰り返して徐々に秋そして冬へと向かっていくのです。

つまり、そろそろ突然冷える日が来るぞ!と心構えをしておくのはとても有効。
夏の空と秋の空の立体交差「行き合い」を目撃したら、早めに準備をしておきましょう。

■執筆/植松愛実…身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。
編集/サンキュ!編集部

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

 
 

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