「夕焼けは晴れ」ってことわざはホント?暮らしに役立つ豆知識を気象予報士が解説
2023/08/18
「夕焼けは晴れ」
多くの人が一度は聞いたことがあるフレーズですよね。
しかし実際には、天気に関係なく夕焼けを目撃することが多いと思いますし、そもそも夕焼けの翌日が晴れるというのが正しい場合どういったメカニズムなのでしょうか。
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、誰かに教えたくなる天気の豆知識を解説してもらいます。
「夕焼け」は「夕焼け」でも…
もともと「夕焼けは晴れ」と言われるのは、天気が西から東へと移り変わることを根拠にしています。
これから天気が下り坂、というときには、まず西側の空が雲で埋め尽くされ、それがだんだん自分の頭上へ移動してくるはず。
つまり、夕焼けが見えるのであれば、西側の空が雲で埋め尽くされていないということなので、すぐに天気が崩れることはないだろう、という理屈なのです。
でも…話はこれだけでは終わりません。
じつは、たとえ「夕焼け」が見えたとしても、翌日が晴天になりそうな「夕焼け」と、天気が下り坂になりそうな「夕焼け」があるのです。
夕焼けの「色」に注目!
ひとくちに夕焼けと言っても、さまざまな色の夕焼けを見た記憶があるのでは。黄色に近いオレンジ色だったり、温かなオレンジ色だったり、燃えるような赤だったり…。
夕焼けの色には、空気中の水蒸気の量が関係しています。空気中に水蒸気が少ないほど夕焼けは黄色に近く、逆に水蒸気がたっぷり含まれているほど赤に近づくのです。
つまり、真っ赤に燃えるような夕焼けが見られる日は、空気が湿っているということ。
そんなときは、たとえ夕焼けが見えたとしても天気は下り坂に向かっていて、翌日あるいは翌々日には雨が降る確率が高いと言えます。
紫色の夕焼け!?
空気が非常に湿っていることに加え、空が薄い雲に覆われていることなどいくつか条件が揃うと、夕焼けが紫色になることがあります。
台風が接近している際にこの条件が揃いやすいため、「台風が来ると空が不吉な紫色になる」といったSNS投稿を見かけることもありますが、実際には台風と直接の関係はありません。
ただ、紫色の夕焼けが現れるときというのは、とにかく空気が湿っているのは間違いないので、天気が崩れるだけでなく、激しい雨をもたらす可能性もあり、天気予報をいつもよりしっかり確認しておくのがおすすめです。
刻一刻と移り変わる夕空を楽しんで
夕焼けは太陽が沈む際に見られる空ですが、太陽が完全に沈んでしまった後も、空の色の移り変わりを楽しむことができます。
たとえば日没後30分ほどの間は「マジックアワー」と呼ばれ、地平線付近にオレンジ・黄色・青が強いコントラストで現れますし、同じ頃に太陽と反対側の空を見ると、地平線付近がうっすらピンク色に染まる「ヴィーナスベルト」を見ることができます。
またマジックアワーが終わる頃には、空全体が鮮やかな青色に染まる「ブルーモーメント」がやってきます。
夕焼けの色で明日の天気を予想した後は、刻一刻と表情を変える空を、ぜひ楽しんでください。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部