雨に濡れた落ち葉

落ち葉のすべりやすさは雪並み⁉モミジとイチョウはどちらがより危険?気象予報士が解説

2023/12/18

初冬を迎え、道のあちこちに色とりどりの落ち葉が見られる季節になりました。
紅葉が終わってしまった寂寥感と初冬の情緒にしみじみ浸りたい時期ですが…、その落ち葉、ちょっと注意が必要。
もしかしたら大きな事故やケガにつながるかもしれません。

今回は、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんが、意外とあなどれない"落ち葉の怖さ"について解説します。

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

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落ち葉はなぜすべる?

色とりどりの落ち葉

落ち葉が降り積もった道を歩いたり運転したりしていて、スリップしてしまった経験を持つ人は多いのではないでしょうか。

じつは落ち葉がすべりやすいのは、植物が自らを守るための知恵の結果。
植物は水がないと生きることはできませんから、せっかく体内に取り込んだ水分はできるだけ逃さないようさまざまな工夫をしています。その1つが、葉の表面を覆う「クチクラ層」と呼ばれるものです。

「クチクラ層」には、水をとおさないよう脂質が分泌されています。脂質、つまり油の仲間ですから当然ながらすべりやすいです。

一般に、落ち葉の積もった地面は積雪路面や凍結路面と同じくらいスリップしやすいと言われています。
歩くときはもちろん、自転車や自動車を運転するときも注意が必要ですし、とくに落ち葉が多くなる初冬の時期は電車がスリップして遅延する例もあるほど。落ちたあとの葉にあまり興味のない人もいるかもしれませんが、意外と私たちの生活への影響が大きいのですね。

とくに注意が必要な状況は?

紅葉したモミジと雨の路面に落ち葉

「クチクラ層」に含まれる油分が、表面から浮き出てくるという現象が起きるときがあります。それは、水にふれたとき。
ただでさえすべりやすい落ち葉が、まるでワックスをかけたようにさらにスリップしやすくなります。

前日あるいは当日に雨が降った場合だけでなく、冷え込む時期は朝露でぬれてしまうこともあるので、晴天続きのときでも油断大敵。
落ち葉が大量に積み重なった状態でなく数枚落ちているだけでもすべりやすくなってしまうので、いつも以上に慎重に歩いたり運転したりするのがおすすめです。

モミジとイチョウはどちらがより危険?

モミジとイチョウ

前述の「クチクラ層」の油分というのは、サラダ油のような油ではなくロウソクのロウに近いタイプの油分です。

モミジとイチョウを表面を比べると、イチョウのほうがロウのようなスベスベ感があります。
つまり降り積もった落ち葉ですべりやすくなる効果は、イチョウのほうが大きいのです。

もちろん落ち葉であればそれ自体注意が必要ですが、イチョウ並木のある道を通るときはさらに慎重になる必要があるのです。

今のうちに歩きやすい靴の用意を

公園の落ち葉と歩く人

このさき年が明けて1月から2月、いわゆる「真冬」とされる時期に入ってくると、都市部でも路面が凍結したり雪が降ったりすることが出てきます。
そうなると今のうちに、"落ち葉で練習する"つもりで、歩きやすい靴を用意したり、スリップしにくい歩きかたや運転方法を確認したりしておくのがよさそう。

もともとすべりにくい靴を買っていたつもりでも、長く使っていると底の溝が減ってしまって効果が失われている場合も。いつもは見ない靴の裏をしっかり確認して、早めに買い直すのも手です。

また、スリップしにくい歩き方というのは、できるだけ真上から足を踏み下ろして足の指で地面をつかむ感覚で、かつ小さめの歩幅で歩く、いわばペンギンみたいな歩き方です。これは積雪や凍結した道を歩くときにも役立ちます。

そしてスリップしにくい運転は、急発進や急ハンドルをしない、つまり「安全で正しい運転」。こちらに関しては季節を問わず習慣にしておきたいですね。

■執筆/植松愛実…身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。
編集/サンキュ!編集部

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

 
 

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