自分の意志で買ったものにくわえて、いただきものや無料でもらったものまで。日々の暮らしでは、「出ていくもの」より「入ってくるもの」の方がずっと多いですよね。流れにまかせていると、あっという間にものがたまり、手がつけられない状態に。
だからこそ、家にものを入れるときの小さなルールを決めたり、意識的に手放すタイミングをつくることが大切です。
わが家は夫婦そろって元クルーズ船の乗組員。1年の2/3を狭小船室で過ごす生活が、ものの持ち方を見直すきっかけになりました。そこでコンパクトな暮らしの心地よさを実感したことから、陸に上がって家族が増えた今でも、「ものを持ちすぎない」がモットー。結果的に余計な出費が抑えられて、家計にもプラスの効果が。
今回は、そんなサンキュ!STYLEライター・Kota(コタ)が、ものと家計をコンパクトに暮らす3つのヒントをご紹介します。
1. 買いだめせず、使い切ってから補充する
食品や日用品は購入頻度が高く、暮らしに欠かせないアイテム。特売になることも多いので、「どうせ使うから」と、ついまとめ買いしがちではありませんか。
けれど、無計画なまとめ買いでものが増えると在庫管理がしにくくなって、同じものを二重に買ったり、食品なら気がついたら賞味期限が切れていたり…。家計にマイナスなだけでなく、収納スペースを圧迫。暮らしにくさにもつながってしまいます。
さらに、在庫が豊富だと「まだたくさんあるから」と気がゆるんで、ムダ使いを招く可能性も。ふだんより贅沢に使って消費ペースが上がり、オトクを狙ったはずが逆効果に。
そこで、わが家では「使い切ってから補充する」を基本に、アイテムごとにゆるく購入サイクルを決めています。たとえば、油・しょうゆなど、切らすと困る調味料はストックを1本常備。そのほかの使用頻度が低い調味料は、なくなりかけたときに買えば十分。場所を取るボックスティッシュ・キッチンペーパーは、最後のひとつを使い始めたら次を買う...といった具合。
これなら余計な出費を抑えられるうえ、出番待ちのものに貴重なスペースを取られてしまうこともありません。
2.ものを置く空間より、人が過ごす空間を優先する
家はものを置くための倉庫ではなく、人が主役の場所。大物や収納家具を増やしたくなったら、「居住スペースを削ってでも置きたい?」と考えてみるのがおすすめです。
すると、そこまで必要ではなかったり、ほかを整理すれば今ある収納で事足りるケースも多いはず。自然とムダな出費も回避できます。
それでも購入するなら、兼用できるものや背が低いもの、コンパクトなものを選ぶと、居住スペースを圧迫せずに居心地のよさをキープしやすくなりますよ。
たとえば、わが家は4人家族ですが、余白を残すことを優先し、ソファはあえて2人掛けをチョイス。座面が低いローソファにすることで、リビングが広々と見える効果も。また、テレビ台には専用家具ではなく、シンプルなオープンボックスを使っています。ほかの用途でも活用できて、高さ35cmと背が低く圧迫感がないのも◎。
この発想のベースになっているのは、ものを置くたびに目に見えて空間が窮屈になった船室での暮らし。人が心地よく過ごす空間を優先すると、ものと家計も自然とコンパクトに整っていきます。
3. ものを循環させる
意識的にものを手放す機会をつくることも大切なポイント。お子さんがいるご家庭は特に、成長に合わせて必要なものがどんどん変わっていくから、定期的な見直しは欠かせません。
サイズアウトした子ども服はその代表格。ほかにも「また始めるかも」としまい込んだやめた習い事のグッズや、長らく2軍落ちしてもう遊ぶ気配のないおもちゃ。気づけば役目を終えていたお名前スタンプや算数セット、理科用の植木鉢...などなど、お家に眠っていませんか。
手放すことで新たに必要になったものを迎えるスペースが生まれ、ものの総量も一定をキープできます。
手放すのが苦手なわが家の小3次女は、誕生日やクリスマス前におもちゃの見直しをするのがルーティーン。新しいおもちゃへのワクワクが高まっているタイミングだと、比較的スムーズに手放せます。
最近は、フリマアプリや宅配買取、地域のお譲り掲示板から支援団体への寄付まで、ものを循環させられるサービスも豊富。余裕があるときは、捨てる以外の方法も取り入れられると良いですよね。
コンパクトな暮らしで、ココロと家計にゆとりを
乗組員時代に、必要に迫られて始めたコンパクトな暮らしが思いのほか快適でした。まず、ものの管理がしやすく、「見つからない!」といったストレスが激減。散らかりにくくなり、掃除や片づけもぐっとラクに。さらに、不必要なものを買わなくなることでムダ遣いが減って、その分を貯金にまわせるようにも。
そんな発見から、「持ちすぎない暮らし」は、今も毎日をスムーズにまわすためのベースになっています。
家族構成やライフスタイルによって、ものの持ち方はそれぞれ。正解はありませんが、「ものが増えすぎて困っている...」という方は、今回ご紹介した中からまずひとつ、試してみてはいかがでしょうか。
■執筆/Kota
元クルーズ船乗組員。狭い船室で、4カ月の乗船勤務をスーツケースひとつでこなした経験から、厳選したもので心地よく暮らすヒントを発信。10年以上の完全ワンオペ育児で身につけた、ムリなく続けられる家事アイデアの紹介も得意としている。
編集/サンキュ!編集部