年末、大掃除でパントリーやクローゼット、さまざま収納棚からモノを出して掃除する機会が増える時期ですが、そのとき出した水や保存食などの防災備蓄品、そのまま元通りにしまうのはちょっと待って!じつは、ほんのちょっとの工夫で、おうちの防災力を底上げするチャンスが隠れているかもしれません。
今回は、防災士・気象予報士の資格を持つライター・植松愛実が、大掃除のついでに少し手間でいざというときに役立つコツを解説します!
「まとめて収納」が危険な理由
地震や大雨などでライフラインが止まってしまったときに備えて、水や食料、電池や災害用トイレといった防災用品を備蓄する家庭は年々増えてきています。ただ、それらをどこかの棚や押し入れにまとめて収納しておくことにはリスクが。
というのも、たとえば地震で自宅のどこか1部屋だけが壊れて入れなくなってしまった場合、もしその部屋に備蓄をしていたら、せっかくの備蓄品を使えないですよね。そのため、備蓄品はできるだけ「分散して」配置することが重要。
キッチンの収納棚や、寝室の押し入れ、そして玄関など、複数の場所にわけて置きましょう。
その場所、誰が知っている?
さて、備蓄品を分散して収納し、これでOK!と思いきや、ぜひもうワンステップやってもらいたいことがあります。収納場所を、家族全員で知っておいてほしいのです。
災害時、家にいるのが誰なのか、災害が起きるまでわかりません。家族全員で自宅にいる間に災害が起きるとはかぎらず、子どもだけが家にいる、あるいはおばあちゃんだけが在宅している…そんなタイミングで停電などが突然起きて、防災用品が必要になることも。
そのため、備蓄品の収納場所は子どもも含め家族全員が知っておくようにしましょう。
家族で共有すると新たなメリットも
災害時に必要なものがどこに収納してあるのかを家族全員が知ることで、じつは別のメリットもあります。たとえば、自分にとっては出しやすい・使いやすい場所が、ほかの家族にとっては使いづらい場合も…。収納場所を共有することで、いざというときに取り出しやすい収納方法に改善することができます。
また、「このレトルトカレーはここに置いておくよ」と説明するとき、子どもが「じつはそのカレー、あんまり好きじゃない…」という会話になることも。ストレスのたまりやすい災害時、好みでない食品を食べ続けるのは負担が大きいので、この機会に確認できるといいですね。
ほんの少しの工夫が災害時の自分たちを救う!
「防災力向上」なんて大げさに言うと、なんだか手間もお金もかかりそうだし、ちょっと気が引けてしまいますよね。でも、大掃除のついでに「ちょっと場所を変える」「ちょっと家族と話す」、それだけで変われるなら、今日からでもすぐにできそうです。ほんの少しの工夫が災害時の自分たちを救ってくれることがあるので、ぜひやってみてくださいね。
■執筆/植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。
編集/サンキュ!編集部