「夫婦ラブラブ」の実情と夫婦仲を維持する5つの秘訣

2018/10/15

「いつまでもラブラブでいたい」と思っているものの、なかなかうまくいかないのが夫婦仲の難しいところ。「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに、「夫婦ラブラブ度」の奥深さと、良好な夫婦仲を維持するための秘訣を教えてもらいました。

7年間レスでもラブラブ!?「夫婦ラブラブ度」の奥深さ

“日本の夫婦は3組に1組離婚する”といわれる時代に、「私たち夫婦は仲よしだよ」とまわりに言えるのはまことに幸せなこと。

人口1000人当たりの離婚件数を示す離婚率(厚生労働省調べ)は、現時点での最新データとなる平成29年の調査では1.7%。離婚率の上昇がピークを迎えたのは平成14年の2.3%なので、それと比べると、近年は離婚が増加しているとはいえない現状です。

つまり、冒頭に挙げたような“仲よし夫婦”は実際問題として増加している……と、言いたいところですが、「離婚をしないから仲よし夫婦!」と決めつけてはいけません。仲よし夫婦という定義はあいまいで、ひとによってまったく違うからです。

筆者はよく「夫婦ラブラブ度」という表現を使います。ラブラブ度が高いと自己申告している夫婦でも、実際の夫婦生活を詳しく聞いてみると……

「毎日、朝食のときしか会話がありません」
「休日はお互い別々に過ごします」
「7年間セックスレスです」
「相手の実家に10年間帰省していません」
「妻だけ子どもと一緒に暮らしています」

などなど、「本当にこの夫婦は愛し合っているのか?」と頭にはてなマークを浮かべてしまうときがあります(最近はすっかり慣れてきました)。ここからわかるのは、ラブラブ度に関するイメージは夫婦によって多種多様ということ。他人が簡単に判断できるものではないのです。

小さな不満が溜まって「夫婦ラブラブ度」を押し下げる

ラブラブ度の多様さを強く感じるエピソードはほかにもあります。例えば、筆者が専門とするセックスレス相談に「毎月2回くらいしかないんです……このセックスレス、治るでしょうか?」と暗い顔で悩みを打ち明ける妻がいました。

「いやいやいや、それ、2年間のセックスレスに悩むカップルが聞いたら怒りますよ!」と突っ込みたくもなりますが、ご本人は真剣に寂しいと訴えている。つまり、この夫婦のラブラブ度は低いということになるのです。なぜそうなってしまったのか、考えてみましょう。

夫婦の関係性は経過年数と、環境変化、子どもの誕生、アクシデント発生(リストラ、浮気、借金など負の出来事)によって変動していきます。

新婚当初は異性としてのラブラブ度が高く、家庭を持った責任感も強いのでさほど不満は出てきません。不満があっても胸の奥の袋にしまいこんで「まあ、いいか」と抑える術を使える時期です。

しかし、10年、20年経つうちに“不満袋”は徐々にふくれ上がっていき、やがて小さな穴があいてしまう。ひとつひとつの不満は、本当に小さな不満です。しかし、不満袋の小さな穴から小さな不満がプシュプシュとこぼれ出ることで、夫婦ラブラブ度は押し下げられ、よくいうマンネリ夫婦、冷淡夫婦を形作るのです。

さきほど紹介した“月2回でセックスレスに悩む”かたも、自分でも意識していないレベルの小さな不満が溜まり、不満袋がいっぱいになっていたのでしょう。夫婦ラブラブ度は奥深いです。

人生100年時代、イマドキ夫婦に必要なのは「ラブシフト」

結婚すると愛情の形が家族愛に変わるといわれます。「男と女のラブラブ度は減少したけれど、家族としてのラブラブ度は増加したからいい!」という考え方、もちろんOKです。子どもの成長をファミリー一丸となって見守ることは、素晴らしいことです。

実際のところ、子育て中は必然的に働き盛りですので、仕事・家事・子どもの3案件にほとんどすべての時間と体力を注ぎ込み、妻や夫を異性として見ることはできなくなります。そして、この多忙な時期(おそらく30〜40代前半)を「家族としてラブラブ度が高いからいい」と解釈して、お互いを同志のような気持ちで見てしまいます。

しかし、そんな夫婦ほど子どもが旅立つ時期にフッと寂しさを感じてしまうのも事実です。

今や人生100年の長寿時代。夫と妻の2人きりになったときのことを見据えて、家族ラブラブ度だけでなく、夫婦ラブラブ度も忘れないライフスタイルにシフトしていきましょう。ライフシフトというよりも“ラブシフト”です。

つぎの項では、夫婦ラブラブ度をキープする秘訣を、チェックシート方式でご紹介します。

夫婦ラブラブ度を100年キープする秘訣

□Check1.夫婦の未来年表を作る

仕事・家事・子どもの3案件が多忙すぎると、2人だけの未来について想像する余裕がなくなります。腰を据えて大きな紙かパソコンに未来の予定と推測される環境変化を書いてみましょう。

100歳までの夢と目標だけでなく、移転、子どもの結婚、退職、年金、病気、親の介護など現実問題も書き込んでください。 

□Check2.「なぜ夫は(妻は)私を選んだか」を聞き出し、その強みを磨く

2017年に実施された「いい夫婦の日アンケート」の結果では「生まれ変わったら今の相手を選ぶ」割合は4割弱。6割強は「あなたを選ばない」でした。この現状を踏まえ、夫が好きな自分の長所(妻が好きな自分の長所)は徹底的に磨き、継続させることが肝になります。生活全体で相手の理想になるなど無理な話です。まず相手が好きな自分の長所をできるだけたくさんリサーチしてください。

□Check3.家事分担の不満をただちに改善する

家事分担の調査(リンナイ調べ)によると世界5カ国で家事分担率がいちばん高いのはアメリカで93%。一方、日本は56%で5ヵ国中最下位という結果に。家事が好きな男性はアメリカ9割、日本5割。

筆者が運営する夫婦仲相談所にも「夫が家事をしない」という不満を持つ妻は増加中です。なぜニッポン男子は家事が苦手かを考えていても直らないので、家事フローを図解して夫にレクチャーしましょう。家事の出来栄えが期待値の7割以上なら、褒めて褒めて褒めまくるのです。

□Check4.リアクション型スキンシップ“ポン”を続ける

ラブラブ夫婦でも、子どもや猫とのスキンシップしかできていない場合があります。今さらどうやって夫(妻)に触れればいいのかわからない。そんなときは、会話の途中でポンと手を出すレベルのリアクションを入れ込みましょう。

「ああ、そうそう」と言いながらポン。サッカーや格闘技を見ながら「やったー!」とポン。自然なリアクションだと思えばスキンシップのハードルが下がります。スキンシップがなくなって20年経過する夫婦の行く末を私は知っています。侮るなかれスキンシップ。

□Check5.「セックスレスでも仲よし夫婦」はアリかナシか討論する

夫婦間セックスがあるにせよないにせよ、2人で意見を交換するのは自分のセックス観を見直すきっかけにもなります。長年セックスレス相談を受けていると、自分のセックス観を棚に上げて、原因をすべて相手のせいにしているケースも数多く、「それ……奥さんが悪いから抱いてもらえないんですよ」と警告することも多いです。

セックスレスでない場合も、もっと素敵なセックスにステップアップさせるためにも夫婦でセックス討論は重要。夫も妻もセックス感がブレず、セックスの自立をしている夫婦は、ミドルエイジになってからそれはそれはにこやかな関係を継続しています。

夫婦の愛は、言葉で伝えなければ決してわかりあえない

あらためて言いますが、夫婦ラブラブ度は人それぞれ。夫が職場の女性にLINEでハートマークを送っているのを見つけて怒り心頭に発する妻もいれば、それが刺激になってますます夫と燃え上がる妻もいるのです。

よその夫婦と自分たち夫婦は別物です。自分たち夫婦なりのラブラブ要素を見つけ、その状況を「しあわせ!あなたと一緒にいてよかった」と言葉に出してください。言わなくてもわかるのは、境地に達した仙人夫婦しかいません。ひよっこ夫婦のわれわれは、言葉で伝えなければ決してわかりあえないのです。

こっぱずかしい言葉でも、ドン引きされるかどうか不安でも、まずは愛の言葉を口にすることです。今日から練習してみてください。ラブラブ度は、上の5カ条の実践を踏まえ、愛の言葉を口に出すことでますますアップするはずです。

■参考資料
・平成 29 年(2017) 人口動態統計の年間推計
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei17/dl/2017suikei.pdf

・「共働き」に関する意識調査(リンナイ調べ)
https://www.rinnai.co.jp/releases/2018/0208/

・2017年度いい夫婦の日」アンケート調査結果
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000001589.html

◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

 
 

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