じつはプロもやってる!?「レトルトカレー」を本格派に変えるひと工夫
2024/06/04
同じメニューなのに、家とお店では味が全然違う……ということは日常的にあること。しかしその味の違い、じつはちょっとした“ひと工夫”で埋まるかもしれません。
グルメライターとしても活躍する増田剛己さんに、プロの料理人への取材を通じて得た、店の味に近づける“ひと工夫”を紹介してもらいます。今回のテーマは「レトルトカレー」!……って、レトルトカレーを店の味に近づけるって、どういうことなんでしょう?
じつはプロもやってるレトルトカレーのアレンジ
筆者はある喫茶店のカレーライスが好きでよく通っていました。野菜がたっぷり入っていて、食べ終わると額にうっすら汗をかくくらいの辛さが心地よいのです。
やがてマスターと話をするようになり、ある日「カレーライスのレシピを教えてくれないか」とお願いしたところ、あっさりと教えてもらえました。驚いたのはベースがレトルトカレーだということ。
マスターによれば、喫茶店ではレトルトのカレーを使っているところはけっこうあるそうです。ただしそのまま使うのではなく、自分の店なりにアレンジすることは欠かしません。「それって、家庭でもできますかね」とうかがうと「簡単だよ、冷蔵庫のあまりものでできちゃうよ」とのこと。さっそく教えていただきました。
なお、お話を聞いたマスターが使っているのは業務用のレトルトカレーですが、スーパーなどで売っている市販のレトルトカレーでも大丈夫だそうです。
工夫1:野菜をレンチンして加える
まずは、レトルトカレーには入っていない野菜を足します。冷蔵庫に入っている野菜ならだいたいは大丈夫だそうですが、おすすめはピーマン、パプリカ、ナス、れんこんなど。耐熱皿にラップをかけてレンチンします。味つけは必要ナシで、コツは火を入れすぎないことです。食感が少し残るくらいがベストです。
工夫2:輪切りの唐辛子をいっしょに入れる
マスターいわく、「レトルトカレーとは違った辛みをプラスすることで、複雑な味わいになりますよ」とのこと。なので、野菜をレンチンするときに輪切りの唐辛子を加えましょう。レンジでレトルトカレーを温めている場合は野菜のレンチンができないので、フライパンを使うといいそうです。
フライパンを使う場合は、ふたをして野菜を蒸し焼きします。ここへ輪切りの唐辛子を適量入れます。食べる人が辛いものが好きなら多めに。辛いのが苦手な人なら入れなくても大丈夫です。
工夫3:ガラムマサラをふりかける
レトルトのカレーはコクがありますが、香りはそれほど強くないので、ガラムマサラという香辛料を加えます。聞き馴染みがない人もいるかもしれませんが、スーパーの香辛料売り場にはたいてい置いてあります。分量はお好みですが、1皿あたり小さじ3/4くらいまでが適量でしょう。
工夫4:2つめの辛さとしてブラックペッパーを追加
辛みに輪切りの唐辛子を入れましたが、もうひとつ最後にブラックペッパーをかけましょう。「辛みも1種類ではなく2種類入れることで、より複雑な辛みになって、レトルトカレーに思えない味わいになりますよ」とマスター。たしかに食べる場所によっていろいろな味や辛みが出てくるところがおいしさのポイントかもしれません。
工夫5:野菜がよく見えるように配置する
野菜はご飯にカレーをかけたあとでよく見えるように飾りつけましょう。野菜たっぷり感を出せば、レトルトではないという感じに仕上がります。
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喫茶店のマスターいわく、このレトルトカレーアレンジは、食べる人をよく観察するのがポイントだそうです。そういえば、筆者もカレーライスを食べ終わったところで、マスターから「辛さ、大丈夫でした?」と何度か聞かれたことを思い出しました。つまり、食べ終わった人が「ちょうどいい辛さ」と言った辛みの分量をよく覚えておくのだそうです。
また、お子さんや辛いのが苦手な人には野菜だけ入れ、辛みは入れず牛乳を入れるといいそうです。1人分のカレーをさっとつくるときは、このレトルトカレーアレンジをぜひ試してみてください。「これがレトルト?」と驚きますよ。
監修・文/増田剛己
WEBや雑誌などで散歩関係の記事を書いているフリーライター。主な著書に『歩考力』(ナショナル出版)、『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎新書)などがある。