電話会議を通じて挨拶する専門家

あなたの夫は大丈夫?自宅で進行する「オンライン不倫」という不気味な現象

2020/07/28

コロナ禍によって、新たな男女の問題が生まれているようです。夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに解説してもらいます。

夫が家にいても安心できない時代に……

「うちの夫、浮気をしているかも」と妻が疑いを持つのは、たいてい夫が不在がちになるときです。

「繁忙期だから今日は夕飯いらない」と、会社からの帰宅時間が毎晩遅くなる。
「遠方の大きな案件が取れたから」と、泊まりがけの出張が増える。
「新しい部長がゴルフ好きだから、毎週接待ゴルフだよ」と、土日の外出が増える。

家を避けるようになる=浮気をしている可能性が高い、と考えるのは正しい思考です。逆にいえば、ずっと家にいる=浮気をしている可能性が低い、と考えるのも正しい。

ステイホームが続いた2020年の春、夫が在宅勤務になったり、出張が禁止になったりしたというご家庭は多いでしょう。そしてなかには、「家にいるから浮気なんてないよね」と安心した妻もいるでしょう。

……残念ながら、最新の不倫事情を見聞きしていると、コロナ禍の現代はたとえ夫が家にいても安心できない状態にあります。

そう「オンライン不倫」の誕生です。

夫婦の寝室で行われた「オンライン不倫」の実情

木製のテーブルとコーヒーカップとカフェレストランでノートパソコン。デジタルテクノロジーライフスタイル
Weedezign/gettyimages

ここからは、筆者が実際に話を聞いた「オンライン不倫」の実例をご紹介します。

三奈さん(仮名 42歳)は中堅建築会社勤務。建築業という業種柄、緊急事態宣言中も在宅勤務は週2回がせいぜい。一方で夫はIT系のため、3月の時点で早くも完全在宅勤務となりました。「休校中で家にいる子どもたちがうるさいから」と、夫は夫婦の寝室にパソコンテーブルや椅子を持ち込み仕事部屋に改造。「仕事中は邪魔しないでくれ」とドアをしめ切って、終日寝室でパソコンに向かっていたそうです。

そんな夫の異変に気づいたのは在宅勤務が始まって1カ月が経ったころ。その日は出勤だった三奈さんは得意先企業に立ち寄ったあと、そのまま直帰して、いつもより早めに帰宅しました。汗をかいたので着替えようと、服を取りに夫婦の寝室へ。閉まっている扉を開けようとしたとき、

「このまま、もうちょっといいかな?」

と、部屋の中からWEB会議中らしい夫の声が聞えてきました。

いつもよりトーンが高めで、ウキウキと楽しそうな夫の声

「このまま部屋に入ったら、夫のPCのカメラに自分の姿が映りこんでしまうのでどうしよう」と三奈さんが扉の前でためらっていると……

「なんでも相談してよ。俺はいつでも○○さんの味方だよ。こうやって話していると、会社にいるときよりリラックスできて、本音で話せるよね」

とさらに夫の声。

どうやら会議の相手は取引先ではなく部下の女性のようです。このまま扉を開けて部屋に入ろうかそれともあとにしようか、と思いながらも中の様子が気になり、扉の前で聞き耳を立てる三奈さん。

「え?……うん、うん。?……そうなんだ。ひどい男だね」

夫はヘッドセットを使っているようで、相手の女性の声は聞こえませんが、どうやら仕事の話ではなく、プライベートの話のよう。夫の声はいつもよりトーンが高めで、ウキウキと楽しそうです。

「いやあ、そんなことないって。○○さんみたいなかわいい彼女がいるのに浮気するなんて、そんな男、振っちゃいなよ。いや、マジマジ。○○さん、めちゃくちゃ俺の好みだから。ハハハ……え、ホントに!?じゃあ俺、○○さんの彼氏に立候補しちゃおうかな!……うん、まあ、うちも嫁さんとうまくいってないっていうかさ」

ここまで聞くと、三奈さんは寝室の扉を開けずに、そのままリビングにもどりました。

「オンライ不倫」の現場に乗り込んで……

その後、何食わぬ顔で夫から会社の様子をいろいろ聞いていると、数人いる自分の部下と毎日個別にWEB会議の時間を設けていることがわかりました。「在宅勤務が長くなると孤独感があるし、メンタルが弱ってくる社員もいるから、1人ずつフォローがたいへんだよ」と、いかにも面倒くさい、といわんばかりの夫。

そう言いながらも、スマホの着信をやたらと気にしたり、会議の前は洗面所で念入りに髪をセットしていたりなど、夫の行動は怪しさを増すばかり。

「オンライ不倫」の証拠をつかもうと仕事から早く帰った日はときどき寝室のドアの外で耳をすますようにしましたが、なかなかそのタイミングには出会えません。

しかし、5月下旬のある日の夕方、ついにその機会が巡ってきました。三奈さんが寝室のドアの前で耳をすますと、ウェブ会議中の夫の声が聞こえてきます。

「もう我慢できないよ……会ったらいきなり、押し倒しちゃうかも」

そして、そっと寝室のドアを開け、部屋に入りました。夫は扉に背を向けて座っています。ヘッドセットをしているので、ドアが開いたことに気づいていません。三奈さんはそのまま静かに夫の背中に近づきました。

夫の背中越しにモニターを見ると、そこには長い髪の女性と夫の顔が並んでいます。

パソコンのカメラに映った自分の顔の背後に妻の姿を見つけ、夫は「うわっ!」と振り向き、椅子から飛びあがりました。三奈さんはそのまま夫を押しのけてパソコンに近づき、画面の中で驚き、固まっている相手の女性を睨みつけながら黙ってウェブ会議の終了ボタンをクリックしたそうです。

「オンライン不倫」と「リアル不倫」は地続き

日本人のビジネスマン
Tony Studio/gettyimages

たとえオンラインでも、毎日1対1で話をしていれば親しくなるもの。ましてや場所に縛られないWEB会議は、2人の世界ができあがりやすいです。そして、外出できない、会えないという制約があると、よけいに思いが募るのが不倫というもの。なぜに禁欲は性欲を高めるのか……。

「ずっと家にいるから」と安心している妻の皆さんは一度、しっかりと夫を観察してみてください。仕事の打ち合わせ、部下との面談とはいっても、同じ相手と繰り返しオンラインで会って、しかも妙にうれしそうな顔をしたり、リラックスモードになっているようなら要注意。

家にいながらできる「オンライン不倫」の序章かもしれません。あるいは、自粛前からあった火種が、今回の状況で火力を増した可能性もあります。吊り橋効果のステイホーム版、とでもいいましょうか。

なかには「肉体的な接触はないわけだし、まあ別にいいんじゃない」と考える寛大な妻もいるかもしれません。しかし、オンラインで親交を深めた男女が、のちにリアルな場で再会したときに「いやー、自粛中は楽しかったね」だけで終わるでしょうか?「オンライン不倫」と「リアル不倫」は地続きなのです。

繰り返しますが、「家にいて不倫なんかするわけない」という常識は、いったん捨てましょう。

不可能なようで可能な「オンライン不倫」。今後、増えないことを願います。


◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

三松真由美新刊『「君とはもうできない」と言われまして』

 
 

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