インテリアライター絶賛!暮らしのストレスを減らせる「舞台裏」のある家とは

2019/09/21

「家が整うと、暮らしが整う」とはよく言われることですが、整えるために効果的な「間取り」があるとしたら、気になりませんか?住まいを取材して20年の住宅・インテリアライターは、取材先や誌面に掲載されたお宅の「間取り」がついつい気になってしまうそう。

その中から「これなら暮らしがスムーズに回る」と太鼓判を押せる間取りを厳選、ポイントについて解説してもらいます。

メインとサブの2つの玄関が暮らしをスムーズに

住宅・インテリアライターの志賀朝子です。今回ご紹介したいのは、「サンキュ!」2019年6月号に登場した大阪府のKさん(38歳)のお宅。夫(40歳)、長女(14歳)、長男(12歳)の4人家族で、築9年になるマイホームにお住まいです。

Kさん宅の間取り図で注目してもらいたいのは、実は「玄関」なんです。1階の玄関を入ると左手方向のLDKへと進んでいく間取りになっていますが、それとは別に玄関のたたき部分から奥の小部屋にもつながっているのが分かるでしょうか?

ご存知の人も多いと思いますが、この小部屋は「シューズクローゼット」や「シューズクローク」などと呼ばれるスペース。靴だけでなく、ベビーカー、外遊び用のおもちゃ、スポーツ用品、キャンプ道具などをしまっておけると、一戸建てやマンションを問わず今、とても人気です。

Kさんのお宅の場合、シューズクローゼットが単なる収納スペースにとどまらず、靴を脱いでそのまま部屋に上がれる間取りになっているのが秀逸!つまり玄関がお客さま対応などに使う「メイン玄関」と、収納を兼ねた家族用の「サブ玄関」の2WAY仕様になっているんです。

サブ玄関のおかげで、“住まいの顔”であるメイン玄関に、靴やサッカーボールなどが放置されたままになることはありません。私は、このサブ玄関のようなスペースを住まいの「舞台裏」と呼んでいるのですが、住まいにこのような「舞台裏」を設けることで、暮らしのストレスをかなり軽減できるのではないかと思っています。

Kさん宅のシューズクローゼットを兼ねたサブ玄関。靴のほかに、アウター、スポーツ用品、クーラーボックスなどをしまっています。姿見をここに置いているのもGOODアイディア!カーテンを下ろすとスペースごと目隠しできます。

いやなものを視界に入れなくてすむ「舞台裏」

「舞台裏」は言葉どおり、おもてだって人には見せない前提の場所。スポットライトの当たるステージがリビングやダイニングだとしたら、「舞台裏」は収納や家事などに使われるスペースで、扉やカーテンを閉めれば視界からシャットアウトできる場所です。

たとえばリビングなら、散らかっているものがチラチラと目に入ると心からくつろげませんが、「舞台裏」は「多少ぐちゃぐちゃでもOK」と割り切りやすいのがメリット。

家じゅうをいつでもすっきりピカピカにしておくことは理想的ですが、そこまでできる人はきっとごく少数ですよね。

住まいに「手を抜ける場所」「来客時にサッと隠せる場所」があると、「片づけなきゃ」「掃除しなくちゃ」というプレッシャーが軽減されて、「今日はキッチンだけ掃除をがんばろう」と、かえって前向きになれる気がします。

「舞台裏」があると収納場所を家族と共有しやすい

シューズクローゼットのほかにも、食品ストックや食器などを収納するパントリーや、衣類を収納するウォークインクローゼットなどが住まいの「舞台裏」と呼べるスペースです。

ここで改めてKさん宅の間取り図を見ると、キッチンには、ダイニング側から死角になる場所にパントリーがあり、2階には広いウォークインクローゼットが設けてあります。

Kさんは、自分たちの暮らしには不要と考えたキッチンのつり戸棚やトイレの温水洗浄便器の代わりに、その分の予算をこれらの収納スペース(→舞台裏)に回したそう。その選択、間違ってなかったと思います!

キッチン内部にパントリーを設けて出したままにしておきたい家電置き場に。オープンキッチンでもLD側からものが見えにくく、見た目すっきり、くつろぎの邪魔もしません。(画像提供:Kさん)
家族みんながアクセスしやすい2階の廊下に面して設けたウォークインクローゼット。舞台裏は多少ぐちゃぐちゃでも…と言いましたが、Kさん宅は舞台裏もキレイ!(画像提供:Kさん)

「舞台裏」があると、「屋外で使うもの→シューズクローゼット」、「ファッション関係のもの→ウォークインクローゼット」などと、カテゴリーごとに自然と収納場所が定まるため、きっちり仕分けや表示をしていなくても、「あの中にあるはず」という安心感を持てるというメリットもあります。

たとえ家族に「○○はどこ~?」と聞かれても、「シューズクローゼットの中を見て~」と返事をすればOK。なんとなく気持ちが軽くなるのは、私だけでしょうか(笑)。

新築時に費用の節約もできる「舞台裏」

「舞台裏」は、新築時のコスト調整にも貢献します。人が過ごすスペースではないので、フローリング材や壁紙などは安価なもので充分。内部で使う収納家具や収納グッズは、わざわざ新調しなくても、もともと持っているものの使い回しで充分だと思います。

シューズクローゼット、パントリー、ウォークインクローゼットに代表される「舞台裏」のある家は、暮らしのストレスをぐ~んと減らしてくれる救世主。マイホーム計画のある人は、ぜひ検討してみてくださいね。

Have a try!

□玄関のたたきに出しておいていい靴は、1人1足までにする
□目隠しできる収納スペースは「中は多少ぐちゃぐちゃでもOK」とおおらかに構えてみる

イラスト/長岡伸行
撮影/キムアルム
取材・文/志賀朝子
インテリア&住宅誌の編集部に19年在籍したのち、フリーランスのライターに。自分好みにリフォームした自宅で過ごすのが至福の時間のインドア派。趣味は自宅のインテリア&収納をあれこれ考えること、不動産のチラシチェック。家計管理や資産運用にも関心があり、この春ファイナンシャルプランナー資格を取得。

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