「つみたてNISA」と「iDeCo」を徹底比較!専門家に聞いた「投資のぶっちゃけQ&A」も
2023/03/10
投資に興味はあるけどどうしたらいいの?投資初心者におすすめなのが「つみたてNISA」と「iDeCo」。基礎知識から条件、実際の投資や運用までを専門家が詳しく解説。2つの投資のホントのところは必見です!
投資初心者はまずはここから!つみたてNISA&iDeCoの基礎知識
投資初心者におすすめの「つみたてNISA」と「iDeCo」。よく聞くけど詳しくは知らないという人のために、一覧表でやさしく解説!(監修/井戸美枝)
Q1 【基礎知識編】結局、何をすることなの?
●つみたてNISA →"時間"をかけて資産形成すること
「少ないお金からでも、安定的に資産形成できるように」と、金融庁が始めた非課税制度。毎月決まったタイミングで継続的に商品を買う積み立て投資で、元本割れのリスクを減らしながらお金を増やせます。
●iDeCo → 老後資金をさらに貯めること
正式名称は「個人型確定拠出年金」。自分で掛け金と運用方法を決めて長期運用し、私的年金として受け取る年金制度。60歳以降にしか受け取れません。老後の資産形成として活用できます。
Q2 まず、初めにすることは?
●つみたてNISA●iDeCo → 金融機関で口座をつくる
積み立て投資をする金融機関で口座を開設しましょう。開設できる口座は、1人1口座まで。開設までの手間で挫折してしまう人が多いので、金融機関に「開設に必要なもの」を事前確認してから申し込むのがおすすめです。
必要なものの例
■ 本人確認書類
■ マイナンバーカード
■ 銀行口座番号
■ 金融機関届け印
■ 基礎年金番号(iDeCoのみ)
etc.
Q3 金融機関の選び方のコツは?
●つみたてNISA → 投資信託の商品の品ぞろえをチェック!
信託報酬(投資信託を運用するための手数料)が、低い商品の品ぞろえを比べましょう。また、最低積立金額や積み立てできる頻度、金融機関のサイトの見やすさも大切です。
●iDeCo → 口座管理手数料を比較しよう
iDeCoは、口座管理に手数料が発生するため、なるべく費用が少ない金融機関を選ぶのがおすすめ。長期で運用するので投資信託の信託報酬もチェック!
Q4 【条件編】誰でも始められるの?
●つみたてNISA → 18歳以上の人ならOK
金融機関の口座開設をする年の1月1日時点で18歳以上であり、日本在住の人なら誰でも OK。成年年齢引き下げの民法改正に伴い、2023年1月1日から、口座開設をできる人の条件が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。
●iDeCo → 20歳から65歳未満までの人が対象!
20歳以上65歳未満の国民年金被保険者であれば、原則誰でも始められます。22年5月1日から、会社員や任意加入者は60歳未満から65歳未満に延長されました。また、国民年金に任意加入している海外居住者も対象になります。
Q5 いくらあれば投資できるの?
●つみたてNISA → 100円からOK!※金融機関によって異なる
積み立て可能額の最低金額は、なんと100円。掛け金の額は、インターネットで金融機関の口座管理ページから変更可能です。
●iDeCo → 5000円からOK!
積み立て可能額の最低金額は5000円。掛け金の額は年に1回まで、1000円単位で変更が可能です。
Q6 【条件編】年間いくらまで投資できるの?
●つみたてNISA → 40万円まで可能!
利益を非課税で受け取れる投資可能枠は、年間で40万円まで。その年の非課税投資枠の未使用分があっても、翌年以降に繰り越すことはできません。
※2024年より120万円に拡大予定
●iDeCo → 職種によって異なります
※企業型DCとは企業型確定拠出年金、DBとは確定給付企業年金、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済のこと
Q7 1カ月いくらまで投資できるの?
●つみたてNISA → 3万3333円まで可能!
月の投資可能額は3万3333円まで。年間40万円の枠を超えなければ、年2回まで「ボーナス設定月」として、指定月に投資額を増やすこともできます。
※2024年より10万円に拡大予定
●iDeCo職業によって異なります!
Q8 何年間投資できるの?
●つみたてNISA → 最長20年間できます
非課税で運用できる期間は、口座開設年から最長で20年です。
※2024年より無期限になる予定
●iDeCo → 65歳までOK!
現在、掛け金を拠出できる期間は65歳未満、運用できる期間は75歳未満までです。
Q9 【投資&運用編】何に投資するの?
●つみたてNISA
投資信託
ETF(上場投資信託)
etc.
金融庁の基準に該当した、"長期の積み立て、分散投資に適した株式投資信託、ETF"が対象です。
●iDeCo
投資信託
定期預金
保険商品etc.
「元本変動型商品」というカテゴリーである投資信託と、「元本確保型商品」というカテゴリーである定期預金、保険商品が対象です。
Q10 どうしてお金が増えるの?
●つみたてNISA → 運用益&分配金に税金がかからないから
お金が増える仕組みは、積み立て投資で得られる運用益と、株式投資信託、ETF を長期運用していくなかで得られる分配金。これらを非課税で受け取れるためです。
●iDeCo → 運用益に税金がかからない。所得税と住民税の節税
積み立て投資での運用益と分配金が非課税で受け取れるため。また、掛け金は所得控除の対象なので、年末調整や確定申告で、所得税や住民税の負担を減らすことができます。
Q11 月々の投資額は途中で変えられるの?
●つみたてNISA → 変えられます!
金融機関の店舗やネットバンキングの口座管理ページで、月に1回まで変更が可能です。
●iDeCo → 年に1回まで変えられます!
年に1回まで、1000円単位で変更が可能。金融機関(運営管理機関)に「加入者掛金額変更届」という書類提出が必要です。
Q12【投資&運用編】金融機関は途中で変えられる?
●つみたてNISA → 1年ごとに変えられます
1年ごとに変えられます。しかし、今まで運用してきた商品は新しい金融機関に移せないため、売却するか、通常の課税口座に移管する必要があります。
●iDeCo → 変えられます!
変更可能です。金融機関(運営管理機関)にある資産は現金化され、新しい金融機関に移されます。その際、現金を引き出すことはできません。多くの場合、移管手数料は無料ですが、4000円程度かかる運営管理機関もあるので確認しましょう。
Q13 投資自体を途中でやめられる?
●つみたてNISA → やめられます!
投資期間は現在は最長20年ですが、途中の売却は可能。しかし、長期投資の利益を充分に得られない可能性もあるため、掛け金を減額するなどして、できる限り続けるのが◎。
●iDeCo → 原則60歳まではやめられません!
でも、掛け金の減額や停止はできます60歳まで解約、現金の引き出しはできません。しかし掛け金の減額や、拠出を一時的に止めることは可能。停止するには、金融機関へ「加入資格喪失届」という書類を提出すればOK。
Q14 最後、お金はどうやって受け取るの?
●つみたてNISA → 金融機関からお金を引き出せばOK
投資信託を売却して現金化します。NISA口座に登録している金融機関の口座に現金を移し、引き出せば完了です。
●iDeCo → 一括or分割で受け取り方を選べます!
積み立てたお金は60歳から75歳までの間に、金額一括、または年金として複数回に分けて受け取れます。ほかの退職金の状況と合わせて選択しましょう。
つみたてNISA&iDeCoぶっちゃけ教えて!
やっぱり不安というあなたのために、2つの投資のホントのところ、聞きました!(監修/井戸美枝)
Q 今月赤字なんですが、それでも始めた方がいいですか?
A 正直、生活費1年分の貯蓄は欲しいです。
積み立て投資は、長期間投資することで利益が出る仕組みです。途中でくずさなくてすむよう、家族で1年間暮らせる程度の貯蓄を確保しておきたい。少額で無理のない範囲で始めましょう。
Q 「長期でやるとお金が増える」ってどういうこと?
A 複利="利子"にも"利子"がついてじわじわお金が増えるってこと!
掛け金が少額だと利子も少額ですが、その利子も含めて再び運用すると、利子にもまた利子がつきます。これを長期的に繰り返すことで、雪だるま式にお金を増やせるんです。
Q 専業主婦って、iDeCoをやる意味ありますか?
A あります!いずれパートでも働く予定があるなら今すぐ始めよう。
現在は専業主婦でも、子どもが巣立ったあとなど、環境が変わって働き始めたら、所得税が安くなります。また、長期運用での複利効果もあるので、1日でも早く始めてほしいです。
Q 50歳過ぎて始めるのは遅すぎるんじゃない?
A 遅くない!
60歳以降も働き続けるなら、運用益以外にもお得が!iDeCoは運用益が非課税になるだけでなく、掛け金が全額所得控除となるのも特徴。比較的若い世代よりも所得の多い50代は、掛け金の全額所得控除によるメリットも大きくなります。
Q 商品が多すぎて選べないんですけど
A おすすめは「バランス型×全世界」。
リスクを避けて利益を狙うなら、投資先を"分散"させましょう。"全世界"を対象にしている商品や、株式や債券などを組み合わせた"バランス型"の商品から検討してみて。
Q でも、損することもありますよね?
A あります!でも、長期運用すれば元本割れを避けられることも。
積み立て投資は複利で増える仕組みなので、短期でとり崩すと元本割れで損をする可能性が高くなります。リスクを回避するには、少額ずつでも長く運用し続けるのがコツです。
<監修>
井戸美枝さん
ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士。著書に『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』など。
※本書は『サンキュ!』17年3月号~ 22年11月号に掲載された記事を抜粋、加筆、再編集しています。読者やサンキュ!アンバサダーの名前、年齢、家計などについての情報は、取材当時のものです。それ以外の情報は特別な表記がない限り、2022年12月21日時点のものになります。
※名前は本人の希望により仮名を使用している場合があります。
※月収、年収は手取り額、ボーナスは年間の手取り額で記載しています。
※投資には元本保証はありません。損失のリスクも検討し、自己責任のうえで行ってください。
参照:『サンキュ!』2023年3月号「お金のきほんがわかる本」より。掲載している情報は2023年1月現在のものです。監修/井戸美枝 編集/サンキュ!編集部