【自分・夫が借りた奨学金の返済】返済期間が延長できる?わが子の教育費はどうするの?
2024/03/24
大学や専門学校など、進学費用の頼みの綱となる奨学金制度。実際に利用した人は、その後どうなっているの?
『サンキュ!』読者で、自分や夫が奨学金を借りて返済経験がある人に、やりくりの苦労やどれくらい負担なのかなど、詳しく聞いてみました。
<教えてくれた人>: ファイナンシャル・プランナー 竹下さくら
なごみFP事務所にて個人のコンサルティングを主軸に講演・執筆活動を行っている。2児の母。著書に『奨学金 上手...
- Case.1 【自分が借りた】共働きしながら、昨年残債を一括で返済。肩の荷が下りました
- Case.2 【自分が借りた】新入社員のころは月4万円超の返済が苦しかった~。結婚後、繰り上げ返済して少しラクに
- Case.3 【夫が借りた】一馬力家計なので、奨学金返済は結構な負担。返済がなければ、教育費がもっと貯められるのに……
- Case.4 【自分が借りた】結婚後、奨学金を借りて看護学校に入学。資格を取得し、働きながら返済中
Case.1 【自分が借りた】共働きしながら、昨年残債を一括で返済。肩の荷が下りました
<教えてくれた人>
『サンキュ!』読者 Uさん(兵庫県 29歳)
夫(30歳)、長男(3歳)、二男(0歳)の4人家族。会社員。
■世帯月収 35万円
■世帯年収 550万円
■年貯蓄額 60万円
【奨学金の詳細】
貸与型・第二種
借入額約140万円(月返済額1万円弱)
残債0円
返済額は月1万円弱ですが、結婚後も正社員として働いて、自分の給料から返済してきました。昨年末、思い切って借入金の残りを一括返済してスッキリ!それまで、「奨学金の返済がなくなれば、子どもに習い事をさせてあげられるかも」と心苦しく思っていたので、返済が終わって、金銭的にも精神的にも余裕が生まれました。でも、奨学金返済があったことで、計画的な給料の使い方を考えられるようになり、自立心を高める良いきっかけになりました。
わが子の教育費はどうする?
できるだけ奨学金を借りなくて済むように、積立貯蓄とNISAで貯めています。進学費用のほか、塾代なども合わせて、1人につき400万円を目指しています。
Case.2 【自分が借りた】新入社員のころは月4万円超の返済が苦しかった~。結婚後、繰り上げ返済して少しラクに
<教えてくれた人>
『サンキュ!』読者 Hさん(埼玉県 38歳)
夫(38歳)、長男(8歳)、長女(4歳)の4人家族。パート&在宅ワーク。
■世帯月収 35万円
■世帯年収 550万円
■年貯蓄額 150万円
【奨学金の詳細】
貸与型・第一種、第二種
借入総額約800万円(月返済額MAX4万円超)
残債約84万円(月返済額1万円×残り約7年)
高校生のとき、父に多額の借金が発覚。進学費用と1人暮らしの生活費、さらに高校の授業料も合わせて、奨学金の借入額は総額800万円に!社会人になった当初は、手取り24万円で月4万円超の返済がとてもきつく、時にはカードローンに頼ったほど。結婚後も自分の給料で返済し続け、長男の出産後、会社を辞めたときの退職金と貯蓄で第二種の残債を一括返済。今は第一種の返済だけなのでかなりラクに。多額の奨学金を抱えた自分を理解し、支えてくれた夫にも感謝しています。
わが子の教育費はどうする?
子ども1人につき500万円は貯める予定。子どもが私立の医学系や大学院へ進学したいと言ったら、自分で返済する必要があることを説明したうえで奨学金を借りることを検討します。
Case.3 【夫が借りた】一馬力家計なので、奨学金返済は結構な負担。返済がなければ、教育費がもっと貯められるのに……
<教えてくれた人>
『サンキュ!』読者 Nさん(神奈川県 36歳)
夫(32歳)、長男(2歳)の3人家族。専業主婦。
■世帯月収 25万円
■世帯年収 380万円
■年貯蓄額 100万円
【奨学金の詳細】
貸与型・第二種
借入額576万円
残債約320万円(月返済額約2万6000円×残り10年)
夫の奨学金返済が月約2万6000円。現在は専業主婦で夫の収入しかなく、そこから返済額を捻出するのが辛いです。「この支払いがなかったら、もっと子どもの教育費に充てられるのにな~」と思ってしまうことも。奨学金は固定費の一部と考え、グッと耐えるしかない。残りの予算で少しでも貯蓄を殖やそうとNISAを利用したり、ポイ活で支出を減らすなどでやりくりしています。
わが子の教育費はどうする?
奨学金は利用したくないので、教育資金は700万円貯めるのが目標!子どもが生まれてからジュニアNISAとつみたてNISAで積み立てを。今年から新NISAも活用していきます。
Case.4 【自分が借りた】結婚後、奨学金を借りて看護学校に入学。資格を取得し、働きながら返済中
<教えてくれた人>
『サンキュ!』読者 Rさん(埼玉県 43歳)
夫(41歳)、長女(21歳)の3人家族。看護師。
■世帯月収 55万円
■世帯年収 850万円
■年貯蓄額 不明
【奨学金の詳細】
給付型、貸与型・第二種
借入額 給付型240万円、貸与型・第二種約120万円
残債約32万円(月返済額8000円×残り4年)
7年前まで准看護師として働いていましたが、正看護師へのスキルアップを目指して退職。看護学校の進学費用として奨学金を利用しました。給付型の看護奨学金は卒業後、給付を受けた病院に4年間勤務することで返済免除に。貸与型で借りた分だけ返済しています。今は、大学生の長女の学費もかかっているため、なかなか貯蓄できないのが悩みです。
わが子の進学費はどうする?
仕事を辞めて通学していたこともあり、教育費が貯められず、長女の大学進学時にも奨学金を借りることに。奨学金のおかげで、希望する進学ができたことは有難いなと感じています。
TAKESHITA’s advice
繰り上げ返済をすれば、返済総額が減らせます
返済期間の途中で、残りの借入額の全額または一部をまとめて返すことが可能です。貸与型・第二種の場合は、繰り上げ返済したほうがお得!早く返すほど利子の額が少なくなり、返済総額を減らせるメリットがあります。
返済額を減らしたり、返済期間を延長できる制度も
失業などで返済が難しい時は以下の制度を利用して。(1)減額返還制度…月返済額を2分の1または3分の1に減らし、その分返済期間を延長。(2)返還期限猶予制度…返済完了期間が最長10年まで延長できる。年1回申請が必要。
※日本学生支援機構で奨学金を借りて返すことを“返還”と言いますが、本記事では便宜上“返済”という表記で揃えています。
<教えてくれた人>
ファイナンシャル・プランナー 竹下さくらさん
なごみFP事務所にて個人向けのコンサルティングを主軸に、講演・執筆活動を行っている。2児の母。著書に『奨学金 上手な借り方新常識』(青春出版社)など。
参照:『サンキュ!』2024年4月号「奨学金を借りたらど~なる?」より。掲載している情報は2024年2月現在のものです。構成・文/宮原元美 編集/サンキュ!編集部