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最悪破産も!?知っておかないとヤバい!4月から始まるお金の新制度

2020/03/15

2020年4月から「同一労働同一賃金」という制度が始まります(中小企業への適用は2021年4月から)。

「これはフルタイムで働く人すべてに関係する制度です。メリットを受ける人がいる一方、収入が減ったり、最悪の場合はリストラにあう可能性も」と話すのは、節約アドバイザーの丸山晴美さん。

「同一労働同一賃金」制度について、今知っておくべきことをお聞きしました。なお、今回ご紹介する情報はすべて2020年3月時点の情報を元にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「同一労働同一賃金のここに注意」!

目的は正社員と非正規社員の間の「いろんな不公平」をなくすこと

「同一労働同一賃金」とは、パート社員、契約社員、派遣社員(※)について、「正社員と比較して不合理な待遇差」を設けることを禁止するルールです。つまり、働き方が同じなら同じ待遇に、働き方に違いがあれば違いに応じたバランスのとれた待遇差にしなさい、ということです。

「正社員と比較して」なので、対象となるのは正社員と同じような仕事内容をフルタイムでやっている非正規社員のかたです。週1日だけの勤務や1日3~4時間といったパートのかたは、該当しないケースがほとんどです。

2020年4月からスタートしますが、中小企業への適用は2021年4月からです。

※派遣社員に関しては、派遣会社が派遣先の賃金(派遣先均等・均衡方式)か同地域で同業種の一般的な賃金に合わせる(労使協定方式)か選択するため、詳しくは派遣会社に確認するようにしてください。

【得する人】非正規社員は給料が上がり、キャリアアップの可能性も!

chachamal/gettyimages

今回の制度で最もメリットを受けるのは、非正規でフルタイム勤務している人。「正社員と同じような仕事をしているのに正社員より給料が安い」という状況だった人は、給料が上がる可能性があります。

ボーナスも、正社員だけに支給して非正社員はゼロ、というのは許されなくなります。住宅手当など正社員に支払われている諸手当があれば、それも非正規社員に同じ額を支給しなければなりません。

さらに、今回の制度では「福利厚生」や「教育訓練の機会」「人事考課」なども改善の対象となっています。

例えば、正社員が会社の教育訓練としてパソコンのレッスンを受けることができていた場合、今後は非正規社員にもその機会が与えられます。会社の費用でなんらかの資格を取得できるなどして、キャリアアップの機会が増えます。

人事考課も正社員と同等にされるようになるので、昇給・昇格の可能性が広がります。

【損する人】正社員は手当やボーナス縮小、非正規社員も契約変更などの可能性が!

消沈ビジネスウーマン
AH86/gettyimages

一方、非正規社員の賃金を上げるとなると、企業側は人件費の負担が大きくなります。それを避けるために、今まで正社員だけにあった諸手当が廃止されたり、縮小されたりする可能性もゼロではありません。

昇給・昇格の競争率が高くなるので、条件が今までより厳しくなり、給料がさらに上がりづらくなることが考えられます。

最悪の場合、社員数を減らすためにリストラを行うところも出てくるかもしれません。万一、自分か夫のどちらかがそうなったら、家計が苦しくなる程度では済みません。足りない生活費をキャッシングしたり、住宅ローンが支払えなくなるなど、負債を抱えて自己破産という可能性すら出てきてしまうのです。

また、デメリットが考えられるのは、正社員だけではありません。

非正規でフルタイム勤務していた人が、1日5時間までなど契約内容を変更させられる可能性もあります。そうすれば正社員とは異なる働き方になるので、同一賃金にする必要はないからです。

正社員と同じ給料、待遇になったらなったで、その分、正社員と同等の責任を求められることにもなります。今まで「非正規社員だから」と免除されていたことがあったら、それはなくなると思ったほうがいいでしょう。

また、この制度では担当する職務によって賃金が決まります。どこに配属され、どのような仕事に就くかによっては、同じ非正規社員の間で賃金格差が生じることも考えられます。同様に、男女間の賃金格差にも注目されるようになるでしょう。

とはいえ、4月からいきなり待遇や制度がガラリと変わるわけではありません。ガイドラインによれば、「基本的に労使で合意することなく通常の労働者の待遇を引き下げることは、望ましい対応とはいえない」としています。企業と正社員、または企業と非正規社員で徐々に折り合いをつけながらとなりそうです。

得?損?どちらに転んでも慌てないように家計の足固めを

このように同一労働同一賃金による影響は、良いシナリオと悪いシナリオの両方が考えられます。実際、収入や待遇がアップする人もいれば、逆にダウンしてしまう人もいるでしょう。

家庭を守るには、どちらになっても慌てないよう、まずは足元の家計を見直しつつ、しっかりやりくりしていくことが大切です

もともと4月は新年度でお金の流れが変わりやすく、家計の見直しをしなきゃいけないタイミングです。お子さんがいらっしゃるご家庭なら、進級・進学で教育費や交通費、おこづかいなども変化するでしょう。この機に4月以降の収入と支出を試算して、今後のやりくり法を考えてみると良いでしょう。

4月以降に給料が増えるご家庭は、増えた分を生活費で消費してしまうのではなく、しっかり貯蓄にまわすのがおすすめ。同時に、今後自分がどのように働いていくか、そのプランニングも立て直してみる良い機会かもしれません。

※同一労働同一賃金の詳細は下記のWebサイトを参照ください

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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