母と子の日没、子育てで手を繋いで

ひとり親家庭が受けられる支援とは?最新の公的サポート制度をチェック

2020/02/14

離婚や死別でひとり親になったとき、最も不安なのがその後の生活ですよね。ひとり親家庭への補助や手当はさまざま設けられていますが、随時、変更・改正が行われています。そこで今回は、ひとり親家庭への公的サポートについて、最新事情を節約アドバイザーの丸山晴美さんに教えてもらいました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2020年1月の情報を元にしています。そのため一部内容が現在とは異なる可能性があります。

みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「最新版・ひとり親家庭の公的サポート」!

ひとり親家庭の平均年間収入は、母子世帯243万円、父子世帯420万円!

日本のひとり親家庭の数は、2016年度調査では母子世帯約123万世帯、父子世帯約19万世帯。その平均年間収入(母または父自身の収入)は、母子世帯が243万円、父子世帯が420万円となっています(厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」より(※1))。

未成年のお子さんがいるひとり親家庭の場合は、国や自治体のサポートが欠かせません。

ひとり親家庭が受けられる公的支援は、主に行政から一定の金額がもらえる「手当・助成」と、払うべき税金などから一部または全額を免除してもらえる「減免・割引」とがあります。その中には最近制度内容が改正されたものもあるので、最新の情報を知っておきましょう。

行政から一定の金額がもらえる主な「手当・助成」

日本の家計を維持します。
takasuu/gettyimages

児童扶養手当

児童扶養手当は国による制度で、離婚・死別などによるひとり親家庭で、子どもを育てる家庭を対象とする手当です。子どもが18歳になった年の3月31日まで(子どもに障害がある場合は20歳まで)支給されます。

支給金額は、前年の全国消費者物価指数の変動に応じて変わります。親の年間所得額によって制限があり、一部のみの支給になる場合もあります。
2019年4月分以降の支給金額は、全額支給の場合で以下です。

■児童扶養手当の支給額(2019年4月分〜、全額支給の場合)
・子どもが1人の場合:1カ月あたり4万2,910円
・子どもが2人の場合:1万140円が加算されて5万3,050円
・子どもが3人目以降:1人につき6,080円が加算され、3人の場合で5万9,130円

子ども1人の場合で年間約51万円ですから、大きいですよね。ただ、これまでは支給が年3回(4カ月に1回)のため、支給がない月のやりくりがむずかしいなどの問題点がありました。
それが2019年11月より、2カ月分ずつ年6回の支給に見直されました(※2)。

一見、地味な改訂に思えますが、支給を受けているご家庭にとっては大きな違いです。これでより児童扶養手当が生活費として使いやすくなりました。

ひとり親家庭医療費助成制度

ひとり親家庭の親や子が病院や診療所で診察を受けたときに、健康保険自己負担分の一部を減額する制度です。子どもは18歳の3月31日までが対象範囲です。

自治体によって内容が異なりますが、年間の助成額は外来で上限14万円前後が多いようです。保険がきかない健康診断、予防接種、薬の容器代、入院時の差額ベッド代、食事療養費は助成の対象外です。

この制度もやはり所得制限があり、かつ毎年「現況届(げんきょうとどけ/養育状況などを確認するための書類)」を提出する必要があります。

また、子どもがいる全家庭を対象とした「こども医療費助成制度」と重複して助成を受けることはできません。

母子父子寡婦(かふ)福祉資金貸付金

中学生で勉強を詰め込む学校
Milatas/gettyimages

生活のためのお金や子どもを教育資金、就職などで資金が必要になったときなど、この制度を使って無利子(または低利子)で自治体からお金を借りることができます。

借りられる金額、利子、返済期間などは自治体によって異なり、保証人を立てれば無利子になるという自治体もあります。

ただし、給付ではなく貸与の制度なので返済する必要があります。きちんと返済ができるかの審査もあり、落ちた場合には借りられません。

この制度は修学資金だけではなく、開業資金、技能習得資金、就職支度資金、医療介護資金、生活資金、住宅資金などの貸出もしているので、困ったときは各自治体の福祉担当窓口に問い合わせをしてみましょう。

ひとり親家庭の住宅手当

20歳未満の子どもがいるひとり親家庭で、家族で居住するための住宅を借りて月額1万円を越える家賃を払っている人を対象としている制度です。

支給される金額は市区町村によって異なり、東京都千代田区では最大5万円、東京都武蔵野市は月額1万円(家賃が1万円以下の場合は支払家賃相当額)、神奈川県鎌倉市は月額家賃から1万5,000円を控除した額(9,000円を限度)などさまざまです。

自治体によっては家賃手当の代わりに、公営住宅へ優先的に入居できるようにしているところもあります。

いずれの場合も所得による制限があります。

児童育成手当

児童育成手当は東京都が、東京に住む方を対象に行っている独自の支援制度です。児童の福祉の増進と健やかな成長を図る目的で行われている事業です。

対象は18歳までの児童を扶養するひとり親家庭で、児童1人につき月額1万3,500円が支給されます(自治体により金額が多少異なる場合があります)。年に3回、4カ月分ずつに分けて受け取ります。

ただし、親の年間所得が限度額以上の場合は支給されません。また、継続して受給するためには、毎年「現況届」を提出する必要があります。

なお、東京以外の地域でも、独自に似たような制度を設けている自治体もあります。

払う税金の一部or全額を免除してもらえる主な「減免・割引」

お父さんと息子のアウトドア
Vasyl Dolmatov/gettyimages

寡婦(寡夫)控除

寡婦(寡夫)控除(かふこうじょ)とは、離婚や死別によってひとり親となった場合に受けられる所得控除です。

以下の2点の条件のいずれかを満たしていると、所得が27万円、住民税26万円の控除を受けることができ、2つとも満たしている場合は、所得税35万円、住民税30万円の控除(特別寡婦控除)が受けられます。

■寡婦(寡夫)控除を受ける条件
・離婚や死別などで配偶者と別れ、同居する子どもがいて、その子どもの総所得金額が38万円以下の場合
・離婚や死別などで配偶者と別れ、合計所得金額が500万円以下の場合

ただし、同居の親族などがいる場合、その方の所得にも制限が設けられており、また、養育費を受け取っている場合はその8割が所得として算入されるなどの制約があります。

この寡婦(寡夫)控除、これまでは離婚・死別したひとり親家庭だけを対象としていた制度でした。つまり、未婚のひとり親家庭には適用されなかったのです。でも、現代は未婚のケースも少なくなくなりました。

そこで、2020年度から婚姻歴の有無に関わらず、ひとり親家庭全体にも広く適用する方針となりました。

加えて、現在はシングル・ファーザーだけに年間500万円以下という所得制限が設けられていますが、男女間の格差をなくす観点から、女性にも同様の制限を設けることが決まっています。

課税所得から差し引く額も、男性のみ一律27万円となっているのを見直し、子どもがいる場合は35万円に引き上げられるなど、男女間の差を減らして平等に近づけられています。

児童扶養手当受給世帯向け割引制度

児童扶養手当を受給している人やその世帯に対し、公共料金などが割引きされるケースがあります。主なものは下記です。

■電車やバスの割引制度
JRなどの公共交通機関の割引を受けられる制度です。内容は市区町村によって異なります。

■上下水道料金の減免
一部の市区町村で実施しているもので、水道料金の基本料金が免除になったり、基本料金+一定の料金が免除になったりするものです。内容は自治体によって異なります。

■粗大ごみ手数料の免除
これも自治体が行なっているもの。手数料が無料となる個数が、年間で決められている場合もあります。

就職のための資格取得などを支援する制度もあり

ビジネス女性の手のクローズアップ画像ノートパソコンのキーボードで作業し、タイピング
SB/gettyimages

これまでご紹介したのは金額的なサポートですが、他に、ひとり親家庭の自立支援を促すことを目的とした制度もあります。それが「ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金」です。

20歳未満の子どもを養育しているひとり親で、以下の4つの条件を満たす人が対象です。さらに、雇用保険制度の教育訓練給付事業の指定講座(医療事務、パソコン資格、簿記資格など)を受けた場合に適用されます。

■ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金を受ける条件
・児童扶養手当受給者、または受給条件と同じ所得水準にある
・雇用保険法における教育訓練給付の受給資格がないこと
・これまでのキャリアなどから考えて、仕事に就くために教育訓練受講が必要であると認められること
・これまでに同様の訓練給付金を受給していないこと

給付金は受講費用の60%(最大20万円まで)で、講座修了後に支給されます。

今は家族の形態も多様になってきていて、ひとり親家庭も珍しくなくなりました。国や自治体によるサポートもさまざま行われています。
ただ、多くは自ら申請の手続きをしないと受給対象にならなかったり、所得が制限を超えると受けられなかったりと、いくつか注意点もあります。
まずは住んでいる自治体に問い合わせ、活用できるものはしっかり活用して、より充実した生活を送れるようにしたいですね。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

関連するキーワード

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND