年金は若いうちからもらうほうが元取れる?離婚しても夫の年金はもらえる?【意外と知らない年金のウソ・ホント】
2021/09/09
お話を聞いた人・・・井戸美枝さん
ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演を通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金、社会保障問題を専門とする。『私がお金に困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)ほか著書多数。
Q.パートなのに厚生年金に加入したら損するの?
A.ウソ 「長生きすればするほど入っていたほうが得ですよ」
厚生年金に加入すると、年金保険料だけでなく、健康保険料も天引きされるので手取りが少なく感じますよね。ですが、将来の年金額は確実にアップ。仮に老後、毎月2万円の厚生年金が支給される場合、30年受け取れば総額は720万円もプラスになるのです。女性は平均寿命が長いので、損得は生涯の単位で考えていきましょう。
Q.離婚しても夫の年金が もらえるって聞いたけど……
A.ホント 「離婚後2年以内に申請すれば夫分の一部をもらえますよ」
婚姻期間中の厚生年金を分割できます。請求期限は離婚して2年以内。専業主婦だった期間については、年金事務所で申請すれば、夫の厚生年金の半分を自分の年金に記録してもらえ、相手に連絡する必要もありません。共働きでお互い厚生年金がある期間は合算して分割でき、割合を自分たちで決めることができます。
Q.「繰り下げると額が増える」っていうけど、若いうちからもらうほうが元取れるんじゃ?
A.ウソ 「平均寿命※以上生きると繰り下げ受給のほうが総額も多いんです」
年金額は繰り上げる(下段の「受給の繰り上げ・繰り下げ」参照)と減り、繰り下げると増えます。早く受け取っても、長生きすれば受給総額は繰り下げのほうが断然有利。仮に平均寿命※まで生きた場合の総額は、受給開始が60歳で約1697万円、65歳で約1833万円、70歳で約2054万円です。ただし、繰り上げると障害年金を原則請求できなくなるなどデメリットも大きいので、慎重に。
※女性の平均寿命:87.45歳(出所:厚生労働省 2019年)
参照:『サンキュ!』2021年10月号「ところで私の年金、いくらもらえますか?」より。掲載している情報は2021年8月現在のものです。 監修/井戸美枝 編集/サンキュ!編集部