国公立の大学費用が安いのは昔の話!?リアルな教育費を知っておこう
2020/02/21
「大学受験はせいぜい3校。国公立なら安いでしょ?」そんな感覚がありますが、それはもう昔の話。進級や進学などいざというときに慌てないために、今のリアルな教育費についてプロに教えてもらいました。
<教えてくれた人>
竹下さくらさん
ファイナンシャル・プランナー。2人のお子さんの受験を経験。ママ目線での実践的なアドバイスが大人気!著書に『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など。
約20年前と比べ受験関係の費用はうなぎ上りに!
ひと昔前までは、大学の〝学費〞がメインだった教育費。でも今は、入学前の〝受験費用〞でつまずく家庭が増えていると竹下さん。「大学受験は、受験料だけで数十万円かかる時代。さらに塾代や模試代も上がり、高3の1年で150万円は見ておくべきです。一方で、給付型奨学金など助かる制度の拡充も。早めの対策と情報収集力で家計の明暗が分かれると言えます」。
【小学校・中学校・高校】受験スタートの時期が低年齢化
■小学校から塾・習い事費※1がじわじわとアップ!
文科省の調査によると、公立小学校6年間の学校外活動費(習い事や塾など)は、ここ16年で年約2万円増加。「最近は、小学校から英語などの塾通いが目立ちます。この背景にあるのが実は大学受験の変化。昔より推薦入学が圧倒的に増え、いい大学の推薦枠を多く持つ高校が人気に。高校受験では中1からの内申点を見るところもあるので、入学直後から後れを取るまいと、小学生の塾通いが過熱。小3から英語が始まる20年度は、さらに低年齢化が進みそうです」。
【高校】1回の受験で10校(学部)以上、出願が当たり前
私立大は、同じ学部でも入試方式を変えて複数回受験することが可能に。「現役志向が高まり、滑り止めを含めると出願が10校(学部)以上になるのも珍しくありません。受験料は1出願につき3万5000円の大学が多いので、10校(学部)の試験を受けるだけで35万円以上。浪人すれば翌年も同様にかかります」。
今は出願もWebと書類で複雑に。親の負担が増加!
「大学受験はネットで出願後、必要書類を郵送するのが主流。入試の方式が増えて複雑になり、分厚い入試要項を読むだけでもひと苦労。確認や手続き面での親の負担も増えています」。
【大学】授業料が上がり、家計をダイレクトに圧迫!
今の私立大学の年間授業料平均は約90万円、国公立大学は約53万8000円と、昔と比べ大幅にアップ。「この20数年の間に、年金など社会保険料の増加があったため、親の手取り額は減っています。教育費が家計に占める割合は確実に増え、昔より苦しくなっているのが現実です」。苦しいのはみんな同じ……?
(22年前の授業料は年間平均私立大学約75万7000円、国公立大学約46万3000円※2)
【大学】国公立でも越境組は入学金アップ!?仕送りで私立以上の負担も
「地方の国公立大学に進学する場合、入学金は県内入学者より高くなります。学校によ
っては、50万円を超えるなど、私立大学以上になることも。昔のように安い下宿先は少
なく、仕送りも多くなりがちです」。国公立なら親孝行……は、条件によりけりかも!?
【高校・大学】返済なしの奨学金制度が増えた!
現実の厳しさに、意気消沈したあなたに朗報!「昨年から〝給付型奨学金〞が拡充され、返済不要の奨学金を受け取れる家庭が増加。大学の授業料が70万円も減免になる制度も始まっています。情報をどれだけつかんで動けるかで、大きく左右される時代に!」。
※1 文部科学省の「子供の学習費調査(平成30年度、平成14年度)」より
※2 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移(平成30年度)」より平成29年度、平成9年度の金額を抜粋
参照:『サンキュ!』3月号「教育費で飛んでいくお金をどうにかする本」より。掲載している情報は20年1月現在のものです。イラスト/髙栁浩太郎 構成/竹下美穂子 編集/サンキュ!編集部
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