「早食いは太る」はホント!じゃあ「よく噛んで食べる」は痩せるの?ダイエットにまつわる噂を現役医師が解説

2021/08/14

太りやすい食習慣の定番として語られている「早食い」。でも、なぜ早食いは太るのでしょうか?そもそも、本当に太るのでしょうか?

そんな疑問について、医療法人丸岡医院の医師で、フィットネスジム「GOOD-JOB-FITNESS」の運営も行う、カラダづくりのプロフェッショナル・丸岡悠先生に解説してもらいました。

早く食べると太るはホント!じゃあ、その逆は……?

早食いは太る――誰もが一度は耳にしたことがある話だと思いますが、果たしてそれは本当のことなのでしょうか?

結論から言えば「早食いは太る」はホントのことです。そしてこれは同時に「早食いをやめればダイエットになる」という可能性も秘めた事実になります。

サプリメントや、きびしいダイエットに頼らずとも「ゆっくり食べることが痩せる」という根本的な原則を理解して実行すれば、それこそ運動の必要もなく、食事内容も変えることなく「痩せ」につながるかもしれないのです。

それを裏付ける調査データをご紹介しましょう。

2006年に日本の公務員合計約5,000人の男女を対象に実施された、食べる速度と肥満の関係性についての調査。この調査では、食べる速度が「非常に早い」と感じる~「非常に遅い」まで、複数の段階に分けて自己申告で報告してもらったのですが、その結果は驚くべきものでした。

食べる速度が「非常に遅い」と回答した人の多くが、20歳の頃と比べてBMI(肥満度を表す体格指数)が減少していたのに対して、「早いもしくは非常に早い」と回答した人のほとんどはBMIが上昇していたのです。

早食いの人は早食いしやすい(太りやすい)食事を選びがち?

なぜそのような結果になったのかでしょうか?原因はふたつ考えられます。

ひとつは、早食いが太る原因としてよく言われている「満腹になる前に必要以上に食べすぎてしまう」というもの。

これは別の研究でも関連性が示唆されていて、健康な成人男性を対象にアイスクリームを5分、もしくは30分かけて食べてもらったところ、腸内から分泌される「食欲減退ホルモン」の分泌が30分かけてアイスクリームを食べた人たちの方が多かったそうです。


ふたつめは「早食いの人は早食いしてしまいやすい食事を好んで食べる傾向があるのではないか?」という可能性です。

早く食べられる食事とは、よく噛まなくても食べられて、ひと口のサイズが小さく、そして食物繊維の少ない物などがあげられます。食物繊維が少ない食べ物を具体的に挙げれば……アイスクリームやお肉、お寿司、ジュース、加工肉などで、たしかにこれらが中心の食生活は肥満予防とはほど遠そうです。

肥満リスクが最大16倍に!?子どもの早食いにも要注意

前述の公務員に対する調査は成人以上を対象にしたものでしたが、子どもを対象にした「早食い」に関する調査もあります。

韓国のある研究で、約260人の小学生を集めて体重などを調べてみたところ、約18%の児童が過体重で、70%の児童がメタボリックシンドロームの要素を持っていることがわかりました。そのなかでも「早食い」をする子どもを、そうでないない子と比べたとき、肥満のリスクが3倍も高いことがわかったのです。

沖縄のこどもを対象にした研究でも、食べる速度に比例して肥満のリスクが増えていくことがわかりました。食べる速度が「かなり遅い」子どもと、比べて「かなり早い」子どもでは、小学生で「およそ8倍」、中学生男子ではなんと「16倍」も肥満リスクが高いことが分かったのです。

このように多くの研究で早食いと肥満との関連が示唆されています。

「よく噛んで食べる」は最強のダイエット!?

ダイエットを行う人にとって「早食い」が絶対NGであることがご理解いただけかと思います。

早食いを回避するためにやるべきことはシンプルで、基本はよく噛んで食べること。それに加えて「しっかり噛んで食べる必要がある食物繊維の多い食事」を意識しましょう。

人によっては、これをするだけで体重増加が防げる可能性も高いです。よく噛んでゆっくり食べるだけで、お金もかからなければ、ましてや副作用もない!すばらしいダイエット方法ですよね。

ダイエットに悩んでる皆さん!今日からまた一食一食の食事を振り返って「基本」と「科学的な根拠を大切に」ダイエットしていきましょう!



■監修/執筆・・・

丸岡悠さん

総合病院に勤務しつつ、開業医としても生活習慣病などの治療にあたる医師。フィジーク大会への出場をきっかけに肉体改造に目覚め、その知識を生かして最強のダイエット法を探求中(※ただいま最強の健康を手にいれるためのフィットネスジムを建設中)。

参考文献

【1】
Eating slowly increases the postprandial response of the anorexigenic gut hormones, peptide YY and glucagon-like peptide-1.2010 Jan;95(1):333-7. doi: 10.1210/jc.2009-1018. Epub 2009 Oct 29.

【2】
Eating Fast Leads to Obesity: Findings Based on Self-administered Questionnaires among Middle-aged Japanese Men and Women

2006 Volume 16 Issue 3 Pages 117-124

【3】
The Effect of Eating Behavior on Being Overweight or Obese During Preadolescence J Prev Med Public Health. 2011 Sep; 44(5): 226-233.

【4】
Faster self-reported speed of eating is related to higher body mass index in a nationwide survey of middle-aged women

2011 Aug;111(8):1192-7. doi: 10.1016/j.jada.2011.05.012.

【5】
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【6】
Eating behaviors and overweight among adolescents: a population-based survey in Japan

. 2013;2013:717942. doi: 10.1155/2013/717942. Epub 2013 Jul 17.

【7】
.Association between eating rate and obesity: a systematic review and meta-analysis

2015 Nov;39(11):1589-96. doi: 10.1038/ijo.2015.96. Epub 2015 May 25.

【8】
佐々木敏著 栄養データはこう読む!疫学研究から読み解くぶれない食べ方

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