足りなくても摂りすぎても太る!?「体によさそう」だけでタンパク質を摂ってない?
2023/11/22
健康や美容のために、意識してタンパク質を摂る方が増えました。では「なぜ私たちにタンパク質が必要なのか?」をご存じですか。
タンパク質の役割や必要な摂取量について、糖尿病や腎臓病などの専門家である、戸塚西口さとう内科院長の佐藤孔信氏に聞きました。
- Q.タンパク質とはどのようなものですか。また健康や美容に必要と言われるのはなぜですか
- Q.30代、40代女性に必要なタンパク質の量を教えてください。また、タンパク質を多く含む食材を教えてください
- Q.タンパク質は、プロテインドリンクなどの栄養補助食品で摂取してもいいですか
- Q.タンパク質が不足すると、どのような健康トラブルが起こりますか
Q.タンパク質とはどのようなものですか。また健康や美容に必要と言われるのはなぜですか
タンパク質は人間の体を作る上で大切な栄養素であり、筋肉や臓器・肌・髪の毛・爪などの材料として使われています。また、体内の酵素やホルモンの材料にもなります。
タンパク質は20種類のアミノ酸からできています。そのうち、必須アミノ酸である9種類は体内で合成されません。そのため、食事から摂る必要があります。
タンパク質は日々合成と分解を繰り返しており、古くなったものは体の外へ排出され、食事から摂ったタンパク質によって新しく合成されています。髪の毛や爪が伸びるのも新しく取り入れたタンパク質によって起こっていることです。
上の理由から、健康や美容のためにタンパク質の摂取は必要不可欠なのです。
Q.30代、40代女性に必要なタンパク質の量を教えてください。また、タンパク質を多く含む食材を教えてください
30~40代の女性の方は1日に50gのタンパク質を摂るよう推奨されています。目標量は総エネルギーの13~20%です。
タンパク質は、肉類・魚介類・乳製品・卵などの動物性の食品、そして植物性である大豆製品に多く含まれています。これらは体で合成することのできない必須アミノ酸が豊富に含まれた、良質なタンパク質です。
タンパク質は動物性・植物性どちらかに偏らず、さまざまな食材を組み合わせて摂るようにしましょう。
Q.タンパク質は、プロテインドリンクなどの栄養補助食品で摂取してもいいですか
食事からのタンパク質が不足しているときや、トレーニング後のタンパク質補給として、手軽にとれる栄養補助食品はおすすめです。最近ではプロテインドリンクの他にゼリーやお菓子など、さまざまな種類の商品が売られています。
プロテインには牛乳を原料とする「ホエイプロテイン」「カゼインプロテイン」と、大豆を原料とする「ソイプロテイン」の大きく3つの種類があり、それぞれの特徴のひとつに吸収スピードの違いがあります。
「ホエイプロテイン」は吸収スピードが速いため、運動後の摂取がおすすめとされています。「カゼインプロテイン」と「ソイプロテイン」は吸収スピードが遅く時間をかけて体にタンパク質を補給するため腹持ちがよく、効果を長時間維持するメリットがあります。目的に合わせて摂取のタイミングも意識し、種類を選ぶと良いでしょう。
食事からのタンパク質摂取を基本とし、必要に応じてプロテインなどの栄養補助食品を有効活用しましょう。
Q.タンパク質が不足すると、どのような健康トラブルが起こりますか
タンパク質が不足すると、体はまず筋肉に蓄えられているタンパク質を分解してエネルギーを生み出そうとします。筋肉量が減ることで基礎代謝の低下や、高齢の方の場合ADL(日常生活活動:日常生活を送るために最低限必要な、移動・食事・入浴などの活動)の低下を招く恐れがあります。
また、上述の通りタンパク質は肌や髪の材料でもあるため、美容に関するトラブルも起こしやすくなります。
Q.タンパク質を摂りすぎることで、起こる健康トラブルはありますか
タンパク質過剰による健康被害は明確には示されていませんが、体へのさまざまな影響が考えられています。
タンパク質は量を多く摂れば摂るほど吸収量が増えていくわけではありません。食事から摂ったタンパク質は合成と分解を繰り返し、過剰な分は体に吸収されずに窒素となり体外に排出されます。窒素を体外に出すためには肝臓・腎臓の働きが必要不可なので、過剰分が多いと肝臓や腎臓の負担になってしまいます。
またタンパク質にもカロリーはあるため、摂りすぎると摂取カロリー過剰となり肥満につながりやすいと言えます。
取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部