在宅勤務で腰痛を負う日本人男性ビジネスマン

今日は何時間座っていますか?毎日の「座りっぱなし」が招く深刻な健康トラブルとは

2024/10/30

デスクワークやパソコン作業で、気づけば1日の大半を座って過ごしている……なんてことはありませんか。

実は、長時間の座りっぱなしは、心身の重大なトラブルを引き起こしかねない危険な行為なんです。

今回は「座り過ぎ」が私たちに及ぼす悪影響や対処法について、なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック院長の樋口直彦氏に聞きました。

Q.座り過ぎが健康に良くないとされるのはなぜでしょうか

長時間座り続けていると、筋肉がほとんど使われなくなります。筋肉が使われないと、体内のエネルギー消費が少なくなり血流が悪化して、糖や脂肪の代謝が効率的に行われなくなります。

その結果、肥満や糖尿病・心血管疾患のリスクが高まります。また、姿勢が悪くなることで腰痛や肩こりも引き起こされます。

これが、座り過ぎが健康に悪いとされる理由です。

Q.座り過ぎが原因で起こる健康トラブルには、どのようなものがありますか

座り過ぎが原因で起こる主な健康トラブルには、以下のようなものがあります。

・心血管疾患(心臓病や高血圧)
・糖尿病
・肥満
・メンタルヘルスの問題(うつ症状やストレス)
・筋骨格系の障害(腰痛や首や肩の痛み)
・深部静脈血栓症(特に長時間動かないと血栓ができやすくなる)

Q.1日に何時間以上座っていると「座り過ぎ」になるのでしょうか

「座り過ぎ」の基準として、1日に6~8時間以上座っている場合が問題視されることが多いです。特に8時間以上の座りっぱなしは、心血管疾患や代謝異常のリスクを高めるとされています。

ただし、これには個人差があり、座り方や体質によっても影響は異なります。

Q.座っている時間が長くても、週に何度か運動をしていれば問題ありませんか

残念ながら、週に何度か運動をしているだけでは、座りすぎによる健康への悪影響を、完全には相殺できないことが研究で示されています。

運動は重要ですが、座りすぎそのものが健康リスクを高めるため、定期的に立ち上がって体を動かすことが大切です。

Q.座り過ぎによる健康トラブルを防ぐためにできるセルフケアを教えてください

人間工学的スタンディングワークステーションで働くビジネスウーマン。
Epiximages/gettyimages

座り過ぎによる健康トラブルを防ぐためには、以下のセルフケアが有効です。

・定期的な休憩 :30〜60分ごとに立ち上がり、軽いストレッチやウォーキングをする
・姿勢の改善 : 椅子の高さや姿勢に気をつけ、背筋を伸ばして座る
・デスク環境の工夫 : 立ち作業ができるスタンディングデスクを導入する
・軽い運動 : オフィスでも足を伸ばしたり、膝を曲げたりする運動を行う

これらの工夫を取り入れることで、座りすぎによる健康リスクを軽減できます。

教えてくれたのは・・・

樋口直彦 院長

医療法人藍整会 なか整形外科 理事長。医療法人藍整会 なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 院長。帝京大学医学部卒業、日本整形外科学会認定専門医。Vリーグ「サントリーサンバーズ」チームドクター。

帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。Vリーグ サントリーサンバーズの選手の治療の経験を含めて、スポーツ整形外科医として、患者さんの個々のケース、タイミングを共に考え最善の治療を行なっている。クリニック運営にICTを推進し、お待たせすることない診療が信条。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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