「バナナ」を食べすぎるとどうなる?知っておきたいバナナのメリット&デメリット
2024/07/23
バナナに含まれる栄養素には、健康によい作用を持つものが多い反面、とり方を間違えてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、バナナの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安について紹介してもらいます。
抵抗力アップやアンチエイジングに!バナナを食べる「メリット」
わたしたちが普段食べているバナナは、東南アジアの熱帯地域が原産とされるバショウ科の植物の実です。
手で簡単に皮がむけて食べやすく、甘味とでんぷんを多く含むのが特徴。世界には300種類以上もの品種があり、大きく生食向きのものと調理向きの種類に分けられます(※)。
そんなバナナには、おもに次のような栄養素が多く含まれています。
・ビタミンB6
・ビタミンC
・カリウム
・銅
・マグネシウム
これらには、健康な肌を維持する、老化や日焼けを防ぐ、ストレスや風邪などの抵抗力を高める、血圧を下げる、活性酸素を除去する、酵素の働きを助ける、などといった役割がありますよ。
なお、皮に青みの残るバナナには、食物繊維と似た役割のある「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」が多く含まれています。
通常のでんぷんは、消化酵素によって分解されてエネルギーなどとして使われるのですが、レジスタントスターチは腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を改善。さらに、腸内の不要なものを便として排出する役割もありますよ。
バランスよくとることが難しい2種類の食物繊維、そのどちらもの役割を持つことから、レジスタントスターチはスーパー食物繊維と呼ばれることもあるのです。
このように、バナナを上手にとり入れることで健康増進だけでなく美容にもよい影響が期待できるでしょう。
※……国内では生食向きがほとんどなので、この記事では生食向きのバナナについて言及しています。
結石の原因や肥満にも?バナナを食べすぎる「デメリット」
多くのメリットが得られるバナナですが、過剰に摂取することで思わぬデメリットが生じることもあります……。
体が冷えやすくなる
バナナは熱帯などの暑い地域で栽培されていることに加え、含まれているカリウムの多さによって、食べすぎると体を冷やししてしまう可能性があります。
暑い地域の食材は体を冷やす作用を持つ傾向にあり、カリウムの利尿作用で体熱が放出されやすくなるのです。
冷えている場所や涼しい時季に多く食べたり、冷えたものと組み合わせて食べたりする場合には作用が強まりやすくなる可能性があるため注意してください。
体の冷えが強くなると自律神経の働きが乱れ、内臓機能や睡眠の質などが低下しやすくなることも……。
冷房で体調をくずしやすいという人、手足やお腹が冷たいという人は、とくに食べすぎに気を付けましょう。
結石の原因になる
バナナには、腎臓に結石(石のような結晶の塊)をつくるもととなる、シュウ酸という成分も含まれています。
シュウ酸は未熟のバナナに非常に多く含まれ、生のほうれん草と同じくくらいといわれています。熟すことによって少なくなると考えられていますが、完熟バナナであっても食べ過ぎてしまえばシュウ酸のとりすぎは避けられません。
結石ができて尿管などで詰まると、のたうち回るような激しい痛みを感じたり、尿道が詰まって尿が出なくなることも……。
とくに、過去に結石ができたことがある人、肥満の人、食事が偏っている人などは、リスクが高くなるので食べ過ぎに要注意です。
脂質異常症や肥満の原因になる
バナナ100gあたりの糖質量は、中程度の大きさ1本(皮付き160g、果肉のみ100g相当)で21.4g含まれています(※)。これは、白米のごはん60gと同じ数値です。
糖質をとりすぎてしまうと、血中の中性脂肪を上昇させたて脂質異常症になったり、脂肪が蓄積して肥満の原因に……。
そもそも、バナナは果物の中では高カロリー。100gあたり93kcalのエネルギーが含まれており、これも白米のごはん60gとほぼ一致します。
手軽に食べられるバナナは何本も食べやすいですが、エネルギーや糖質のとりすぎにならないように注意しましょう。
バナナを楽しむ量とタイミングは?
上記のとおり、バナナに含まれている栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。
そこでここからは、安心してバナナを楽しめる量とタイミングについて解説していきます。
健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?
とりすぎることでデメリットのあるシュウ酸ですが、完熟のバナナに含まれる具体的な量についてはデータが見つかりませんでした。
専門家によっては、2本程度なら問題ないという意見もあるようです。
一方で、具体的な摂取量の目安になるのが、厚生労働省と農林水産省が発表している食事バランスガイド。それによれば、1日の果物の適量は200gとされています。これは中くらいの大きさのバナナ2本分に相当しますが、健康な人の場合に限ります(※)。
このほか、エネルギーや糖質のとりすぎによる肥満の可能性も忘れてはいけません。
バナナ100gにエネルギー93kcalと糖質21.4gを含んでいることを念頭に、食事や間食をとり過ぎた日はバナナを食べる量を少なめにする、などと調整して1日の中でバランスを考慮することもおすすめします。
※……糖尿病の人の場合は、糖尿病学会によって果物の適正量が80kcalとされているため、中くらいのバナナではカロリーオーバー。小さめのバナナ1本に留めておくようにしましょう。
どのタイミングで食べるのがいい?
甘みのあるバナナは、食後のデザートや間食として食べている人が多いかもしれません。
ですが、効果的に取り入れたいのであれば、朝食がおすすめです。
バナナにはアミノ酸の一種であるトリプトファンが含まれており、一緒に含まれているビタミンB6の働きによってセロトニンという精神安定作用のある脳内物質をつくり出します。このセロトニンは、夜になるとメラトニンというホルモンを生成し、わたしたちの眠りの質を高めてくれるのです。
トリプトファンからセロトニンがつくられるのには時間を要します。このことから、夜に深い眠るためには朝食でバナナをとっていてはいかがでしょうか。
反対に、夕食や夜中に食べるのはあまりおすすめしません。
体内では夜間にかけて脂肪を溜め込む働きが強くなるため、日中に食べるよりも肥満になりやすくなることが考えられるからです。
このように正しい量を把握できていれば、バナナはメリットが多い食品です。バナナのメリット・デメッリトを理解し、上手にとり入れていきましょう。