じつは意外とダイエット向き?もっともカロリーが低い牛肉の部位はステーキやカツで人気の部位

2024/10/03

当記事の執筆は、管理栄養士 白石香代子が担当しました。

何となく特別感を感じる牛肉。

日本では古墳時代から牛が飼われ、そして明治初期には福沢諭吉の「牛肉は滋養に良い」という教えの影響もあり、牛鍋が大流行しました。

部位によって脂の入り具合や食感などの違いを楽しめる所も、牛肉の魅力のひとつと言えるのではないでしょうか。

そんな牛肉は、近年の健康志向もあってか、5年前に比べると霜降り肉より脂肪の少ない赤身肉を好む人が増えたそうです。

また結論を先に申しますと、一般的に見て牛肉のカロリーは高いが糖質は少なめです。

それでは当記事では、牛肉の部位別の具体的なカロリー・糖質量や、牛肉の栄養素について分かりやすくお伝えしていきます。牛肉を使ったダイエットレシピもご紹介しますので、最後までお付き合いください。

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和牛・国産牛・輸入牛の部位別100gあたりのカロリー一覧(肩・肩ロース・ロース・サーロイン・バラ・モモ・ヒレ・ランプ)

一般的にカロリーは高いが糖質は少なめと言われる牛肉。早速、和牛・国産牛・輸入牛の部位別カロリーを具体的に見てみましょう。

肩    :和牛/258kcal、国産牛/231kcal、輸入牛/160kcal
肩ロース :和牛/380kcal、国産牛/295kcal、輸入牛/221kcal
リブロース:和牛/514kcal、国産牛/380kcal、輸入牛/212kcal
サーロイン:和牛/460kcal、国産牛/313kcal、輸入牛/273kcal
バラ   :和牛/472kcal、国産牛/381kcal、輸入牛/338kcal
モモ   :和牛/235kcal、国産牛/196kcal、輸入牛/148kcal
ヒレ   :和牛/207kcal、国産牛/177kcal、輸入牛/123kcal
ランプ  :和牛/234kcal、国産牛/234kcal、輸入牛/214kcal
*100gあたり
*ヒレのみ赤身、残りは全て脂身付き

上の表から、どの部位を比べても和牛のカロリーが1番高く、次に国産牛、輸入牛は1番カロリーが低いとわかります。なんと、和牛は輸入牛より約1.5倍カロリーが高いのです。

減量やダイエット中でカロリーが気になる場合は、輸入牛を選ぶと良いでしょう。

参考までに、部位別の特徴と調理方法をご紹介します。

①肩
筋肉なので肉質は硬め。薄切り肉だとすき焼きやしゃぶしゃぶ、角切り肉だとカレーやシチューなどの煮込み料理に向いている。

②肩ロース
筋がやや多く歯ごたえはあるものの、適度に脂肪を含む。薄切り肉で、すき焼きやしゃぶしゃぶ、焼肉にすることが多い。

③(リブ)ロース
やわらかく筋も少ない肉質で、霜降りが入りやすい。ロースと表示されているものは、リブロースのこと。ステーキやすき焼き、しゃぶしゃぶとして、食べることが多い。

④サーロイン
きめ細かく、やわらかい肉質。ステーキに向いている。

⑤バラ
肉質はきめ細かいが、やや硬く脂肪が多い。カルビとも呼ばれる部位。薄切りでは炒め物や牛丼、厚めに切って焼肉、塊ではポトフなどにも。

⑥モモ
きめは粗く硬めの肉質で脂肪が少ないのが特徴。塊ではローストビーフ、薄切りにして焼肉など幅広く使用できる。

⑦ヒレ
脂肪が少なく、もっともやわらかい肉質が特徴。ステーキやカツにすることが多い。

⑧ランプ
肉のきめが細かく、やわらかい肉質。もも肉の次に脂肪が少ない部位。牛肉料理全般に使用できるる。

和牛・国産牛・輸入牛で一番カロリーが高い&低い部位

和牛ではロース、国産牛と輸入牛ではバラのカロリーが1番高いです。なお、いずれも1番カロリーの低い部位は、ヒレです。

あなたの健康状態や気分によって、うまく組み合わせて食べると良いでしょう。

<産地によってカロリーが異なる理由>
産地によってカロリーが異なるは、牛が食べている餌(えさ)や飼育管理法によって脂肪含有量に違いが出るためです。

なお、和牛は日本で食肉専用に改良された牛、国産牛は20ヶ月以上育ったオスや乳の出なくなったメス、輸入牛は海外から輸入されたもののことです。

和牛は3種の中でもっとも脂質が多い、つまり霜降りが多く肉質がよいといわれています。和牛は脂質が多いので、カロリーが高くなるのです。

部位によりますが、和牛100gあたりの脂質は輸入牛に比べて2~3倍も多く含まれます。

ジューシーで柔らかく脂肪由来の甘い香りを楽しみたい時は和牛を、牛肉を食べたいけど脂質を抑えたい時は輸入牛を選ぶと良いですね。

●赤身と脂身付きでカロリー量は異なるのか
赤身と脂身付きでは、カロリー量が大きく異なります。

なぜなら脂質はカロリーが高いからです。とはいえスーパーで販売されている牛肉で、赤身だけのものは少ないでしょう。

脂質の量やカロリーが気になる方は、脂身を取り除いて調理すると良いですね。

●豚肉&鶏肉と比較
牛肉・豚肉・鶏肉を比較すると、牛肉>豚肉>鶏肉の順にカロリーが高いです。

牛肉(輸入・バラ) 338kcal
豚肉(こま切れ)  230kcal
鶏肉(皮つきモモ) 190kcal
※100gあたり

今回は、それぞれ一般的によく使用される部位で比較しました。

●牛肉の糖質は全般的に少なめ
牛肉の糖質は少ないです。そもそも、肉類は脂質やたんぱく質が多く、糖質は少なめのものが多いです。

肩    :和牛/0.3g、国産牛/0.3g、輸入牛/0.1g
肩ロース :和牛/0.3g、国産牛/0.2g、輸入牛/0.1g
リブロース:和牛/0.1g、国産牛/0.2g、輸入牛/0.4g
サーロイン:和牛/0.3g、国産牛/0.4g、輸入牛/0.4g
バラ   :和牛/0.1g、国産牛/0.3g、輸入牛/0.2g
モモ   :和牛/0.5g、国産牛/0.4g、輸入牛/0.4g
ヒレ   :和牛/0.3g、国産牛/0.5g、輸入牛/0.4g
ランプ  :和牛/0.4g、国産牛/0.6g、輸入牛/0.3g
※100gあたり

このように牛肉の糖質量はどの部位でも少ないので、糖質が気になる方にとって安心して食べられる食材といえます。

しゃぶしゃぶやステーキにするとカロリー量は変わるのか

しゃぶしゃぶ料理
vichie81/gettyimages

結論から申し上げますと、同じ部位でもしゃぶしゃぶやステーキにするとカロリー量は変わります。

というのも調理方法には、「揚げる」「焼く」「煮る」「蒸す」等があり、調理油の量や使用する調味料により、カロリーも「揚げる」>「焼く」>「煮る」>「蒸す」の順に低くなるからです。

「煮る」調理法に入るしゃぶしゃぶは、ゆでることにより肉の脂が水に溶け出るためカロリーも低くなります。

またステーキは「焼く」調理法ですが、フライパンや鉄板で焼くより網で焼いた方が、脂が流れ出るため脂肪の摂取量が少なくなります。

肉の部位だけでなく調理法によってもカロリーは変わるので、カロリーが気になる方はステーキよりしゃぶしゃぶ、またステーキでもフライパンより網焼きを選ぶと良いでしょう。

●牛肉の栄養素 
牛肉には、以下のようなビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

①ビタミンB2
私たちの身体のエネルギー産生に必要な水溶性ビタミンです。また「発育のビタミン」とも呼ばれ、皮膚や髪等の細胞再生に関与しています。

②鉄分
貧血の予防に関係するミネラルです。

肉のミオグロビン(※)に含まれる鉄はヘム鉄と呼ばれ、ほうれん草などの野菜に含まれる非ヘム鉄より身体への吸収率が良いと言われています。

(※)赤い色素たんぱく質のことで、牛肉の赤色が濃いほどミオグロビンがより多く含まれている

③亜鉛
味覚を感じる味蕾(みらい)細胞に関与するミネラルです。さらに骨の成長や肝臓・膵臓等、新しい細胞が作られる組織でも重要な働きをしています。

④カルニチン
ビタミン様物質で、体内で脂質をエネルギーとして利用する働きにかかわっています。

⑤オレイン酸
牛肉の脂肪を構成する不飽和脂肪酸のひとつです。牛肉に多く含まれるオレイン酸は、LDLコレステロールを減らし動脈硬化の進行を抑える働きが期待されています。

牛肉には、脂肪が多く含まれるため控えた方が良いというイメージがありますが、身体の機能を保つためには必要不可欠な栄養素です。脂肪の摂りすぎは肥満の原因になりますが、適度に牛肉の脂質を摂る事は健康の維持にも大切と言えますね。

美味しさを追求!牛肉を活用したダイエットレシピ

[牛肉のおろしポン酢かけ]
出典:シンクヘルスブログ

手に入りやすい上に、脂質が少なくカロリーの低め牛もも肉を使った、ダイエットにぴったりのメニューです。

[牛肉のおろしポン酢かけ]
【材料】〜作りやすい分量〜
・牛もも肉(しゃぶしゃぶ用) 100g
・お湯        適量
・料理酒        大さじ1
・大根        5cm
・青じそ      1枚
・ポン酢        大さじ3

【作り方】
①鍋で湯を沸かし、料理酒を入れてから牛肉を湯通しして、キッチンペーパーを敷いた皿にうつす
②大根は皮をむいておろし器ですりおろし、青じそは千切りにする
③器に粗熱が取れた①の牛肉、大根おろし、青じそを順に盛り付けポン酢をかけたらできあがり

[ポイント]
・牛肉を湯通しする時に酒を入れることで、牛肉の臭みが取れます。
・牛肉を湯通しした後、キッチンペーパーを敷いた皿に入れ粗熱を取ると、氷水で冷やすより柔らかくしっとりと仕上がります。

まとめ

以上、牛肉は食品の中でカロリーが高く糖質が低めのとわかりました。なお、和牛と比べて輸入牛の方がカロリーが低く、部位によってもカロリーが違います。

また和牛・国産牛・輸入牛ともに、糖質が低いのもポイントです。

さらに、牛肉にはビタミンのほか、鉄分や亜鉛といったミネラルが豊富に含まれます。

今回の記事により、あなたの健康な生活に牛肉をうまく活用していただけると嬉しいです。


■参考文献
実教出版 オールガイド食品成分表2023
文部科学省 食品成分データベース
カロリーSlism
東京都食肉事業協同組合 お肉の良さ 牛肉編
神奈川県農業技術センター畜産技術所 25~35 歳の牛肉に対する嗜好、購買行動に関する実態調査
農林水産省 特集2 牛肉(2) 誰かに話したくなるお肉の豆知識
農研機構 農業技術事典
厚生労働省eJIM カルニチン

■教えてくれたのは・・・

シンクヘルスブログ編集部

糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マインドフルネスなど幅広い健康情報について、管理栄養士や臨床心理士、運動指導士などの専門家陣が確かな根拠をもとに執筆している。

 
 

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