【管理栄養士監修】賞味期限切れの「羊羹」はいつまで食べられる?
2020/05/27
賞味期限を過ぎた羊羹を食べるべきか、諦めるべきか迷ったことはありませんか?羊羹の賞味期限はどうして長いのだろうと不思議に思ったことはありませんか?今回は羊羹の種類や羊羹の保存方法も合わせて、賞味期限の過ぎた羊羹を残さず消費するための方法を紹介します。
羊羹は賞味期限を過ぎても食べられる?
贈答用や日本の伝統的な和菓子として有名な羊羹ですが、一度に食べきれず残ってしまうことや、食べきれないからと手をつけないまま賞味期限をむかえてしまうこともあるでしょう。
この記事ではそのような賞味期限を過ぎてしまった羊羹は食べられるのかどうかについて解説しています。
賞味期限と消費期限の違い
ここで消費期限と賞味期限の違いについてまとめます。
賞味期限とは、未開封で保存方法をしっかり守って保存した場合に、記載されている年月日、または年月まで「おいしく食べられる」期限のことです。
賞味期限はスナック菓子・インスタントラーメン・缶詰など、製造・加工されてから、おおむね6日以上期限のある傷みにくい食品に記載されています。またこの期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。※1
消費期限とは、賞味期限と同じように保存してた食べ物などが、記載されている「年月日」まで「安全に食べることのできる」期限になります。※1
お弁当・サンドイッチ・生菓子など、製造・加工されてから、おおむね5日以内の傷みやすい食品に記載されています。※2
もちろん賞味・消費期限ともに、開封してしまうことで、食品の保存状態が変化してしまうため、表示されている期間に関わらず、できるだけ早めに消費するようにご注意ください。
羊羹の状態別・保存方法別の賞味期限
羊羹の賞味期限は、一般の和菓子のなかでは長く設定されています。
この項目では「羊羹の状態や種類、保存方法」ごとに大まかな賞味期限を解説しています。これはあくまで一般的な賞味期限になるので、ご自身でしっかりと商品の賞味期限を確認するようにしてください。
未開封の羊羹の賞味期限
市販の未開封の羊羹の保存方法は、直射日光などによる高温多湿を避けて常温保存します。冷蔵保存の必要はありません。冷蔵保存をすると硬くなり、風味も落ちてしまいます。
未開封の羊羹は小豆など餡のみのものの賞味期限は、およそ1年となっています。しかし、羊羹の中に餡以外の栗など具材が入っている場合、賞味期限はメーカーにもよりますが、数日~1カ月と短くなります。※1
この違いは、羊羹に含まれる水分量の違いによるものです。そのため、水羊羹や蒸し羊羹は、糖度も練り羊羹に比べて低くなることから、長期保存にはむかないとされています。
開封した羊羹の賞味期限
開封した場合の羊羹の賞味期限は、開封前の羊羹の包装にある賞味期限と同じではありません。開封した場合、砂糖が再結晶化し食感が変化し風味も落ちます。
湿気や浮遊している菌にさらされてしまうため、カビなどが繁殖し腐敗していくため、賞味期限は極端に短くなります。空気に触れないように開けた部分を密閉し、早めに食べるのがよいでしょう。※1
冷蔵庫で保存した場合の賞味期限は?
羊羹を開封した場合だけでなく、切ってしまった場合、冷蔵庫で保存することが多いことでしょう。しかし、先述のように実際にはきちんと密閉していれば羊羹を冷蔵庫に入れる必要はありません。
切ってしまった羊羹は、断面は空気に触れないようラップなどで個々をきちんと包んで常温で保存しましょう。冷蔵庫に入れたからといって賞味期限が延びることはありません。
それどころか、砂糖が結晶化して表面が硬くなり、食感が変わってしまうことがあります。
手作り羊羹の賞味期限は?
夏、冷たい水羊羹を家庭でもつくることがあるでしょう。家庭で手作りした水羊羹は、市販のような加熱や殺菌処理はなかなかできません。また保存料を添加できませんので、おのずと賞味期限は短くなります。つくった人の判断となりますが、冷蔵保存でその日のうち、遅くとも3日以内には食べきるようにしましょう。
賞味期限切れの羊羹はいつまで食べられる?
市販の羊羹の場合、賞味期限を過ぎた羊羹でも定められた保存状態がきちんと守られていれば、自己責任のもと食べることはできます。ただし当然ながら、賞味期限内の羊羹よりも風味は落ちます。
とらやの公式ホームページによると、未開封できちんと保存されていれば賞味期限のあと1年間は問題なく食べられるという記述があるので、参考にしてください。※1
羊羹の賞味期限が長い理由
羊羹の賞味期限が長いのは、以下の4つの理由があるからです。
十分な加熱殺菌処理がされている
煉り羊羹の製造業者が煉り羊羹をつくるときには小豆を炊き上げますが、この工程で100℃を超える温度で加熱し水分をとばしながら煉り続け、最終の煉り上がるまでにはおよそ1時間かかります。その過程で殺菌されることがひとつの要因です。
砂糖を多く使用している
食品成分表によると一般的な羊羹に含まれる糖類の量(炭水化物70g-食物繊維3.1g)は、羊羹100g中66.9gです。その割合の多くは砂糖です。砂糖は水分とくっつきやすく、一度くっつくと離れないという特性があるため、防腐効果があるのです。※1
なぜなら腐敗の原因となるカビなどの腐敗物質は、水分がないと増殖できないのです。羊羹は小豆を炊く過程で、その砂糖を多く使用しているため、長期間の賞味期限が保証されているのです。
包材の進化
市販の煉り羊羹の包材を、だれでも一度はご覧になったことがあるでしょう。かつては竹皮で包まれていましたが、現在では多くの製品が密封性の高いアルミ製のものになっています。
この進化によって雑菌の侵入を防ぐことができます。
製造工場の優れた衛生管理
羊羹をつくる施設内の衛生管理は、消費者へ送り届けるまでの工程全般で、とても大切なものです。施設内が雑菌などで汚染されていては、製造工程のすべてを台なしにしてしまいかねないからです。
製品工場の優れた衛生管理もまた、羊羹の賞味期限を延ばしているひとつの要因になります。
賞味期限切れの羊羹には要注意!無理して食べないようにしよう!
羊羹を残らず食べきるために賞味期限や消費期限、そして保存方法について紹介しました。
さまざまな製法や努力によって、羊羹の賞味期限は長く保たれています。その特性を活かすことで、羊羹は保存食や非常食としても使われています。災害時に備え、羊羹を非常袋に入れておくのもよいでしょう。
羊羹をムダなく食べきれるポイントは保存方法にあります。保存方法をしっかりと守り、おいしく食べましょう。