25年間、日本全国を取材してきた編集部は、「暮らしや心が豊かな人は、いろんなことを"やめている"」と発見。なぜ、「やめる」と人生が好転するのか。各ジャンルのプロに、その秘密を教えてもらいました。

人は1日に平均3万5000回選択をしています。「やめる」ことは、選択を減らすことなんです
人は、「何を食べよう」「何を着よう」など、常に選択をしながら暮らしています。選択の回数は、1日に平均3万5000回という研究結果も。「選択の数を減らす=やめる」ことは、脳のリソース(容量)を残すことになるので、脳が疲れず正しい選択をできるようになるのです。やらなくてもいいことはできる限り「やめて」、脳にゆとりを持たせれば、暮らしや心が整い、家計管理の向上にもつながります。
<教えてくれた人>
【脳のプロ】
脳外科医 菅原道仁さん
菅原脳神経外科クリニック院長。脳と習慣の関係性を記した著書が、「暮らしに取り入れやすい」と人気。
『そのお金のムダづかい、やめられます』(文響社)
アップル創業者スティーブ・ジョブズさんは服のコーディネート考えるのをやめた!
ジョブズさんは、着る洋服をいつも同じにし制服化したそう。「服のコーデをやめる」ことで、仕事の効率が上がったのかもしれません。
その習慣はあなたにとって充電的ですか?放電的ですか?
一般的に悪習慣だといわれがちなことでも、自分にとって大切な習慣であれば、むりにやめる必要はありません。重要なのは、充電的(有意義な)習慣か、放電的(ムダな)習慣かを見極めることです。もし、プラスな感情になるなら充電的、マイナスな感情になるなら放電的習慣といえます。放電的習慣をやめれば、毎日をより気持ちよく過ごせるので、家計管理や家事を継続する力もつきますよ。
<教えてくれた人>
【習慣のプロ】
習慣化コンサルタント 古川武士さん
習慣化コンサルティング株式会社代表。海外でも講演を行い、著書が翻訳されるなど、世界規模で活躍中。
『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』(日本実業出版社)
古川さんの必要な習慣の見分け方
スマホでYouTubeを見る
→ 楽しかった!さぁ頑張ろう♪【充電的習慣】
→ はぁ……まただらだら見ちゃった……。【放電的習慣】
家計管理のプロが『サンキュ!』読者を震撼させる衝撃の真実を告白
人気の「貯めテク」でも、自分に合わなければすぐにやめてください!
家計管理の上達には、今やっていることを「やめる」のも有効です。世の中には、「貯蓄成功者が実践」と話題の貯めテクがたくさんあります。しかし、収入や家族構成は人によって異なるので、すべての人に100%合うわけではありません。むしろ自分に合わないことはすぐにやめて、別の方法を探すことこそ貯蓄成功への第一歩です。家計管理は継続が命。他人ではなく、自分が続けられるやり方を選びましょう。
<教えてくれた人>
【家計管理のプロ】
ファイナンシャル・プランナー 佐藤彰さん
佐藤彰FPコーチング事務所代表。家計管理から資産運用までサポート。感情や思考を行動に変えて目標達成を促す「コーチング」の資格を所持。
人は元々、何も持たずに生まれてきました
物理的にも精神的にも、身のまわりを窮屈にするのはよくありません。なぜなら、必要なときに必要なものを受け取れなくなるからです。他人をうらやんだり、「自分はこうでなければ」と思い込んだり、何かにこだわり続けると執着になります。やめることは、手放すことです。「ないものはない」「しょうがない」と受け入れ、手のなかをからにすることで初めて、今あるものの価値に気づけるのです。
<教えてくれた人>
【悟りのプロ】
全生庵 平井正修さん
臨済宗国泰寺派全生庵住職。坐禅会や企業研修、講演会などで、禅の教えを通じて、心身の調整法について説く。
『お坊さんにならうこころが調う 朝・昼・夜の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
40歳を過ぎたらやりたくないことに時間を使うなんてもったいないと思うの
40歳を過ぎたら、「やりたくないこと」は思い切ってやめちゃいませんか?だって、40年生きたうえでやりたくないことって、結局は「自分が苦手なこと」だから。家計管理も家事も、得意なことだけやったほうが効率がよいのは当たり前。苦手なことは、家族や文明の利器に頼ればいいんです。あなたに残されている時間は有限よ。大切な時間は「やりたい」と思える得意なことに使いましょ!
<教えてくれた人>
【悩み相談のプロ】
昼スナックひきだし代表 木下紫乃さん
40、50代の働き方、生き方を支援する会社「ヒキダシ」代表。「昼スナックひきだし」のママとしても活躍中。
『昼スナックママが教える45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』(日経BP)
参照:『サンキュ!』2021年9月号「人生がうまくいく人はみんなやめていました!」より。掲載している情報は2021年7月現在のものです。構成・文/出下真紀 編集/サンキュ!編集部