「存じます」はどう使う?よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説
2022/01/19
日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。
多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。
意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つライターのdanngoさんが解説します。
「存じます」の意味とは?
「存じます」という言葉は、「思います」や「知っています」のへりくだった言い方です。
「存じる」という動詞は、辞書において「思う」や「知る」の謙譲語となっています。
相手への敬意を強くした「存じ上げます」という言い方もあります。
「存じます」の正しい使い方、例文は?
「存じます」という言葉は、「思います」や「知っています」と言いたいときに置きかえて使うことができます。
「~と存じます」「~したく存じます」といった言い方が一般的。具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。
・昨年、このプロジェクトの担当者はうちの課長だったと存じております。
・早く田中様にお会いしたく存じます。
目上の人に使ってもいい?だめ?
「存じます」や「存じ上げます」は謙譲語のため、目上の人に使ってよい言葉です。敬意をあらわすことができるため、あらたまったシーンでは積極的に使ってよいでしょう。
ただし、便利な言葉だからといって繰り返し使いすぎるのは不自然。
「所存です」「承知しています」などの表現も似たようなシーンで使えますので、ときどき言い換えてみるのもよい方法です。
また、丁寧語とは違い目下の相手に使うと皮肉っぽく聞こえるので注意したいですね。
やりがちな「存じます」の誤った使い方
「存じます」の初歩的な間違いは、「ご存じです」との混同。
「ご存じです」は相手側を主語とする尊敬語であるのに対し、「存じます」は自分側を主語とする謙譲語。相手が主語の時、「存じます」は使えないのです。
性質的には真逆ですが、言葉の響きがよく似ているためまぎらわしいですね。また、「存じ上げます」の場合、相手を持ち上げるニュアンスが強くなるため、人以外(一般的な事実など)に対しては使えません。
したがって、以下のような使い方は誤りです。
・部長は今年入ったうちの部署の新人の名前を存じていますか。
・"begin"の過去形は"began"だったと存じ上げています。
みなさんは「存じます」という言葉を正しく使えていましたか?
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使うときはとくに気をつけましょう。
ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。
正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っているときは柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。