え、そんなことで?専門家が目撃した夫婦仲が“再燃”する意外なきっかけ
2022/05/18
長年連れ添い、不仲というわけでもないがすごく仲よしというほどでもない夫婦。そんな夫婦仲が、ちょっとしたきっかけで再燃することがあるんだとか。「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに解説してもらいました。
日常が少しずつ戻り、夫婦仲にもよい変化が?
数年ぶりとなる行動制限のない春。皆さんはいかがお過ごしですか。相変わらず「ウィズコロナ」の日々ではあるものの、少しずつ日常が戻ってきている方も多いことでしょう。
ここ数年のコロナ禍の中では、人と人との接触が制限されたり、旅行や外出が思うようにできずストレスがたまったり、在宅勤務になって家の中で家族がギスギスしたりなど、夫婦仲にもマイナス影響を及ぼすことが数多くありました。
そして、少しずつ日常が戻ってくる中で、夫婦仲にもよい変化が出てきた、という声が私の主宰する恋人・夫婦仲相談所でも聞かれるようになってきました。
今日はあるきっかけから「夫婦仲が改善した」「夫/妻に惚れ直した」という事例をご紹介してみましょう。
陰キャな夫が巻き込まれた痴漢騒動で惚れ直す
麻美さん(37歳 仮名)にはこの春から私立中学に通うようになった1人娘がいます。住まいのある郊外から都心に向かう電車は、毎年「通勤電車混雑ワーストランキング」上位に入る路線。2年ほど続いた在宅勤務期間が終わり、通勤が復活した夫の悠斗さん(仮名)も都内の学校に通う娘さんも、毎日乗車率200%近い電車を利用しているそうです。
「じつは、その電車のことでびっくりしたことがあって」と切り出した麻美さん。
「夫が、痴漢を捕まえたんです。電車の中で泣きそうな顔をしている制服の子と目が合って、その子が痴漢の被害にあっているらしいと気づいたそうです。とにかく朝の時間は手に持っているカバンを放しても下に落ちないぐらい混んでいる車内。その気がなくても男性が女性に密着してしまうこともあります。本当に痴漢行為なのか、それともたまたま男性の手が女性の下半身に押しつけられてしまったのかは判断しにくく、痴漢行為を発見するのは簡単ではありません。しかも夫は小柄で細身でヒーローに不向きな陰キャタイプなんです。
でも、駅についてドアが開き、乗客が動き出した瞬間に、勇気を出して人を掻き分けその女子学生のところへ行き、真後ろにいた男性に注意をしたそうです。相手は180cmを超える大柄な男性。当然、『なんだとう!?』と夫に凄んできて、つかみ合いになったそうです。しかし周囲の人の助けもあって、何とか駅員さんに男を引き渡すことができました」
基本的に争いごとは嫌い、面倒なことは避けて通るタイプである夫の、意外な「武勇伝」に麻美さんはとても驚いたそう。
なぜそんな悠斗さんが、今回がんばったのかを本人に聞いてみると
「うちの娘も同じような被害にあっているかもと思ったら、見て見ぬふりはできないと思ってがんばった。正直、超ビビったけど」と恥ずかしそうにつぶやいていたそうです。
「『へえ、そんな一面があったんだ。意外とかっこいいかも』って、ちょっと夫に惚れ直しました」と照れた麻美さんの笑顔が印象的でした。
いつも子どもの味方だった妻が取った意外な行動
信一郎さん(48歳 仮名)夫婦は、結婚20年目。共働きで3人の娘を育ててきました。
「先月、大変なこととうれしいことが同時にあったんです」と教えてくれたのは信一郎さん。
「5月生まれの長女の誕生日と彼女の大学の合格祝いを兼ねて、家族で食事をしようと、あるレストランのランチを予約したんです。そこは妻と長女が昔から行きたがっていた一軒家レストランで、予約が取れないので有名なオーベルジュ。2カ月から予約をしてやっと取れたんです。
当日、朝早くから車に乗り、おしゃれをして家族で出かけたところ、レセプションで予約がないと言われました。そんなはずはないと調べてもらったところ、僕が何と日付を勘違いしてその日の1カ月後に予約していたことがわかりました。しかも、その間違った予約の入っている日は、すでに長女には予定のあるNGな日で、当日はもちろん、予約の入っている日もその店での食事はできないことになってしまいました」
わざわざ数時間もかけて来たのに、念願のお店に入ることもできず自宅に戻る車中で、ハンドルを握る信一郎さんは、まさに針のむしろでした。せっかくの誕生祝いが台なしになってしまって泣き出した長女をはじめ、次女、三女も、後部座席で大ブーイングが止まりません。
「信じられない!最低!」
「ホントに使えないよね。何考えてんだろ」
「もう、お父さんとは2度と出かけたくない」
などと、自分のミスに落ち込む信一郎さんに容赦ない言葉を浴びせ続けていました。そのとき、黙って助手席に座っていた信一郎さんの妻が急に「車を止めて」と信一郎さんに告げました。
車が路肩に止まると妻は黙って助手席から降り、後部ドアを外から勢いよく開けました。驚いた娘たちに向かって奥さんは
「いつまでもゴチャゴチャうるさいっ!誰だって失敗することぐらいあるでしょ。お父さんのことを文句言うなら、車から降りてここから歩いて帰りなさい!」
と大声で叱りつけたのです。その勢いに圧倒され、娘たちは後部座席で沈黙。妻の意外な態度にあっけにとられている信一郎さんに向かって
「家に着いたらウーバーでおいしいお寿司でも頼もうか」
とにっこり微笑んでくれたそうです。
「僕と娘たちが対立すると、妻は大抵子どもたち側について、僕は孤立無援になるのがふだんの家庭内の雰囲気だったのですが、このときは、妻が失敗した僕をかばってくれました。妻自身も本当はガッカリしていたと思うのですが、娘たちに同調せず、僕を立ててくれて本当にありがたかったです。妻と結婚してよかった。若いとき、妻を選んでよかったと思いました」
誰かが失敗したときにそれを責めるのは簡単です。でもそんなときにミスを黙って受け入れて笑顔でリカバリーしてくれた妻。信一郎さんのやらかした大失敗は、結果として、夫婦の絆を強くする効果を生んだようでした。
相手をガチでリスペクトすれば絆は絶対に深まる!
こんな風に意外なことから絆が強まることも、夫婦関係のおもしろいところ。ただ、意外なできごとはそう簡単には起こりません。
「夫婦愛リカバリー」を目指したいと一瞬でも思ったらまず動く。マンネリ化をなんとかしたい、もう1度見つめあえる2人になりたい、と感じたときがチャンスなのです。どうすればいい?
動き方は簡単です。
・毎晩5分間、相手の話をじっくり聞いて、「すごい」ところを1個褒める
・相手の日常を観察し、困っているときを察して助ける
・過去のデートスポット巡りを年2回提案する
まとめると、初心を忘れず、相手をガチでリスペクトしようということです!
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。