「ご容赦ください」とはどんな意味?言い換え方や例文、英語での表現方法をご紹介
2022/07/10
「ご容赦ください」という言葉は、簡単な言葉に言い換えると「お許しください」と同じ意味です。自分の過失や失敗について、相手に許しを乞うときに使います。
新商品や新サービスの案内メールや店頭での掲示板など、さまざまな場面で目にする「ご容赦ください」ですが、いざ使おうとするときに「ほかの言葉に言い換えられないのか」や「英語では何て表現するのか」など、疑問を持つ方もいるかもしれません。
そこで、「ご容赦ください」の意味や言い換え方、例文や英語表現について詳しく解説します。
「ご容赦ください」の意味とは?
「ご容赦ください」の意味を詳しく解説します。英語での表現方法や例文もご紹介します。
「容赦」の意味と読み方
「ご容赦ください」の「容赦」は、「ようしゃ」と読みます。『大辞林』によると、容赦の意味は次の2つです。
(1)相手の過ちや失敗などを許すこと
(2)相手の事情を考慮して、手加減すること
「ご容赦ください」では、(1)の相手の過ちや失敗などを許すことの意味合いがあります。「ご容赦」は容赦という単語に、丁寧にするための接頭語「ご」をつけた形です。
(2)の「手加減すること」の意味では、「相手が子どもだからといって容赦しない」のような使い方をします。
「ご容赦ください」は相手に許しを乞う表現
「ご容赦ください」は「お許しください」とほぼ同じ意味の言葉で、どちらも相手に許しを乞う表現です。自分が犯してしまった過ちや相手にかけてしまった迷惑に対して、相手に許してもらおうと思うときに使います。
「ご容赦ください」を英語でいうと?例文は?
日本語で書かれた文章を英訳するときに、「ご容赦ください」をどのような英語で表したらよいのか悩む人は多いでしょう。容赦や許しは、「pardon」や「forgive」という英単語で表現できます。
次のような例文が挙げられます。
Please pardon me if I troubled you.
(もしご迷惑をおかけした場合は、ご容赦ください)
Please forgive me for my poor English.
(つたない英語をご容赦ください)
「ご容赦ください」の使い方・利用シーン
「ご容赦ください」の使い方や利用するシーンについて解説します。
期待に応えられなかったときに使う
「ご容赦ください」は、相手の期待に応えられなかったときに使うことが多い言葉です。利用シーンと使い方の例を2つ挙げます。
・取引先から電話が入ったが、担当者が出張中だったとき
「本日は〇〇が不在です。代理で私が承りますが、どうぞご容赦くださいませ」
・オフィスビルやマンションなどでエレベーターがメンテナンス中のとき
「ただいまこちらのエレベーターはメンテナンス中です。ご迷惑をおかけしますが、何卒ご容赦ください」
将来起こる可能性のある過失に対して使う
「ご容赦ください」は、将来起こるかもしれない過失を予想して、事前に断りを入れるときにも使われます。例として、次の2つの場面での使われ方を挙げます。
・支払いを請求するメールを送ったが、行き違いの可能性があるとき
(メールの文末に)「本メールと行き違いですでにお支払い済みの場合には、何卒ご容赦くださいますようよろしくお願いいたします」
・数量限定の商品を販売する旨を知らせるメッセージにて
「本日〇〇時から△△のグッズを数量限定で発売します。予定数量に達し次第終了となりますので、売り切れの際はご容赦ください」
「ご容赦ください」と一緒に使われる言葉や敬語表現
「ご容赦ください」には、一緒に使われることの多い言葉や敬語表現があります。よく一緒に使われる言葉を3つご紹介します。
何卒ご容赦ください
「何卒」は「なにとぞ」と読み、動詞を修飾する副詞です。「どうぞ」や「どうか」と同じように、相手に強くお願いする気持ちを表しています。
ご容赦賜ります
「賜ります」は「賜る」を丁寧にした言葉で、「たまわります」と読みます。「賜る」は「もらう」の謙譲語、もしくは「与える」の尊敬語として使われる言葉です。「ご容赦賜ります」の場合は、「許しをもらう」というニュアンスの謙譲語の表現になっています。
申し訳ございませんが、ご容赦ください
「申し訳ございませんが」も、よく「ご容赦ください」と一緒に使われます。ご容赦くださいの前に、自分の過失に対する謝罪の言葉を入れた形です。
「ご容赦ください」を言い換えるなら?
メールや文書を作成していて、何度も「ご容赦ください」という言葉が並んでしまうとしつこい印象になってしまいます。同じような意味のほかの言葉を知り、適宜言い換えられるようにしましょう。
ご了承ください
「ご了承ください」は、「ご容赦ください」と同じように使われる言葉です。「了承」とは、「事情をくんで納得すること」。このため、「ご了承ください」には、相手に仕方がないからと納得してもらうというニュアンスがあります。
「ご容赦ください」では自分の過失を認めていますが、「ご了承ください」はとくに申し訳ない気持ちなどは含まれていません。何らかのミスや迷惑をかけたという事実がある場合には、「申し訳ございません」という謝罪の言葉を一緒に使うとよいでしょう。
お許しください
「お許しください」は「ご容赦ください」をわかりやすい言葉で表現しています。意味は同じですが、「ご容赦ください」のほうがややかしこまった言葉です。ビジネスシーンではどちらの言葉も使えますが、フォーマルな文章では「ご容赦ください」のほうがよりふさわしいでしょう。
ご理解ください
「ご理解ください」も「ご容赦ください」と同じように使われることが多い表現です。しかし、「ご容赦ください」とは異なり、自分のミスを認めたり迷惑をかけたことを謝罪したりというニュアンスは含まれていません。
「ご容赦ください」を使う際の注意点
気軽に使いがちな「ご容赦ください」ですが、使用する際に注意すべきポイントがあります。次の2つの点に注意しましょう。
大きな失敗や迷惑のときには使わない
「ご容赦ください」は、小さな過失や迷惑を許してほしいときに使う言葉で、大きな失敗や重大な迷惑に関しては不適切です。
大きな失敗をしたときは、「大変申し訳ございません」と伝えるようにします。許しを乞うよりもしっかり謝罪するのがマナーです。
「ご容赦ください」と書かれたメールをもらったときに特別な対応は必要ない
「ご容赦ください」と書かれたメールをもらったとき、どのように対応したらよいのか悩むかもしれません。基本的には、特別に対応する必要はありません。
たとえば、取引先からのメールの最後に「8月〇〇日~■■日は夏季休暇のため全社休業させていただきます。メールへのお返事は△△日から行いますので、ご容赦いただきますようよろしくお願いいたします」と書かれていた場合は、相手に特別に返信をする必要はなく、心に留めておくだけでよいでしょう。
同じことを電話など口頭で伝えられたときは、「かしこまりました」や「承知いたしました」などと、答えましょう。
まとめ
ビジネスシーンでよく使う「ご容赦ください」という言葉について、意味や言い換え方法などを解説してきました。
「ご容赦ください」とは、簡単な言葉で言うと「お許しください」ということ。自分の過失や相手にかけてしまった迷惑について許しを乞う表現です。
軽微な過失や迷惑に関して使うのが一般的ですが、重大なミスについては好ましくありません。大きな迷惑をかけてしまったときは、「申し訳ございません」などと謝罪の言葉を伝えましょう。
参考書籍
『広辞苑 第六版』岩波書店
『明鏡国語辞典 第二版』大修館書店
『ジーニアス英和辞典 第4版』大修館書店