「丑三つ時」って本当に怖いの?怖いと言われる理由、意味、由来、時間について完全解説
2022/07/11
「丑三つ時」とは、時間を表す表現であり、午前2時〜2時半の30分間に該当します。丑三つ時と聞くと怖い、不吉といったイメージを抱く方は多いのではないでしょうか。
この記事では丑三つ時の言葉の由来と、なぜ怖い、不吉と言われるようになったのかについて解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
丑三つ時とは?
丑三つ時とは、時間を表す言葉として使われていました。その時間帯は、午前2時〜2時半の30分間を指します。ここでは、なぜ午前2時〜2時半が「丑三つ時」といわれるようになったのか、その由来などについて解説します。
丑三つ時の意味
「丑三つ時」は午前2時〜2時半の30分間のことであり、読み方は「うしみつどき」です。
現代のような時計がなかった江戸時代の日本では、時間を表す方法として十二支が使われていました。1つの干支を2時間として、24時間を十二支で表し、時間を把握していたのです。
丑三つ時の「丑」は、十二支の中の丑のことを指します。丑の時間、つまり「丑の刻」は午前1時〜3時までの2時間です。その丑の刻を30分間隔で4等分したときに、3番目にくる時間帯が午前2時〜2時半までの「丑三つ時」になります。
丑の刻:午前1時〜午前3時
一つ時:午前1時〜午前1時半
二つ時:午前1時半〜午前2時
三つ時:午前2時〜午前2時半
四つ時:午前2時半〜午前3時
丑三つ時の由来
前述したように、江戸時代の日本人は、十二支を使って時間を表していました。この十二支で時間を表す方法を「辰刻法(しんこくほう)」といいます。「辰刻法」では一つの干支を2時間と考え、24時間を十二支で示していました。
「辰刻法」の起点、つまり子の刻が始まるのは23時です。各干支の始まる時刻を初刻(しょこく)、中間の時間を正刻(せいこく)と呼びます。
辰刻法が指す時間帯
子:午後11時〜午前1時
丑:午前1時〜午前3時
寅:午前3時〜午前5時
卯:午前5時〜午前7時
辰:午前7時〜午前9時
巳:午前9時〜午前11時
午:午前11時〜午後1時
未:午後1時〜午後3時
申:午後3時〜午後5時
酉:午後5時〜午後7時
戌:午後7時〜午後9時
亥:午後9時〜午後11時
西洋の24時間制が日本に入ったあとには、それまで辰刻法で2時間ずつで表されていた方法が、1時間、30分ごとに細分化されるようになりました。
辰刻法で「丑の刻」は「午前1時から3時」の2時間を指します。丑の刻を30分間隔で4等分したときに、3番目にくる時間帯が午前2時〜2時半であり「丑三つ時」と言われるようになりました。
丑三つ時の類義語は「夜分」「深更」「夜半」
丑三つ時は、午前2時〜2時半のことを指し、真夜中に該当します。真夜中は、「夜分」「深更」「夜半」ともいわれ、「丑三つ時」の類義語になります。
他にも丑三つ時の類義語には、以下のような言葉があります。
・夜分
・深更
・夜半
・深夜
・夜更け
・夜遅く
・夜深く
なぜ丑三つ時は怖いと言われている?
「丑三つ時」と聞くと、「怖い」「不吉である」と連想される方は多いのではないでしょうか。
丑三つ時が怖いと思われるようになった理由は以下3つの影響が考えられています。
それぞれ、具体的に解説します。
1.「鬼門」の方向であるため
十二支を方角に当てはめたときに、丑の刻の方向は北東の「鬼門」の方向にあたります。この鬼門の方角から鬼が出入りするといわれています。
午前2時〜2時半は「鬼門方向である」ということを理由に、丑の刻は「あの世に通じる時間」と言い伝えられ、現代では「幽霊が出る時間帯」と語り継がれているのではないかと考えられています。
2.「陰」の強い時間であるため
「陰陽説」という、この世に存在する全てのものは陰と陽という相反する性質に分けられるという古代中国でうまれた思想があります。陰陽説では、寅が陽で、丑は陰になるといわれています。また、昼間は陽で、夜は陰に属しているとも考えられています.。
このことから、特に午後10時〜午前2時の間は最も陰の強い時間となっているようです。
3.呪いの儀式「丑の刻参り」の影響
丑の刻参りとは、丑の刻である午前1時〜午前3時に、呪いたい相手に見立てた藁人形を神社の御神木に釘で打ち込むという日本に古来伝わる呪いの一種です。
正式な方法には諸説ありますが、白装束を身にまとい、丑の刻の午前1時〜午前3時に相手の髪の毛などの体の一部を入れた藁人形に五寸釘を打ち込むという方法が一般的といわれています。呪われた相手は、藁人形に打ち付けた部分から発病するともいわれています。
なお、この呪いの儀式「丑の刻参り」の効果については科学的に実証されているわけではありません。
丑三つ時にやってはいけないと言われていること
ここで解説することはあくまでも言い伝えであり、科学的な根拠があるわけではありません。丑三つ時に以下のことをやることは昔からタブーとされてきているようです。
1.盛り塩をする
2.合わせ鏡をする
3.お経を唱える
なぜタブーとされてきたのか具体的に解説します。
1.盛り塩をする
小皿に塩を盛って玄関や部屋の隅などに置くことで、悪い運気を取り除いてくれるのが盛り塩です。「怖い、不吉とされている丑三つ時に盛り塩をすれば、悪いものを取り払ってくれるのでは?」と思われる方もいるのではないでしょうか。
しかし、丑の刻に盛り塩をすると家の中にいる霊や悪いものを閉じ込めてしまうことになるといわれてきたようです。
そのため、丑の刻に盛り塩をすることはタブーとされてきました。このことから、盛り塩は明るいうちに済ませておいた方がよいといわれています。
2.合わせ鏡をする
合わせ鏡とは、2枚または複数枚の鏡同士を向かい合わせに配置することです。1枚の鏡で自分の姿を写すと、自分だけが写ります。
自分の背中を見たいときは、自分を正面から写す鏡と背面に鏡を設置して背中を写すことで、正面の鏡から背中側の鏡に写った像を見られます。このとき、鏡に映った鏡の中に鏡が写り、その中にまた鏡が写るというように鏡の中に無限の広がりが見えます。
深夜に合わせ鏡を覗くと未来の自分の顔が見えるとの言い伝えがあります。しかし、丑三つ時にこの合わせ鏡を覗くと霊界へと道が通じてしまい、この世のものでないものがこちらに来てしまうと言われているため、タブーとされているようです。
3.お経を唱えて水を飲む
お経を唱えると、その周囲にいる霊が水の中に取り込まれてしまうといわれています。その水を飲むことで、水に入り込んだ霊を自分の体内に取り込んでしまうと考えられてきたようです。
このことから、多くの霊がさまよっているとされている丑三つ時にお経を唱えて水を飲むのはタブーとされています。
丑三つ時のことわざ
ここでは、丑三つ時が使われる代表的なことわざ「草木も眠る丑三つ時」について解説します。
草木も眠る丑三つ時
読み方は「くさきもねむるうしみつどき」です。
「深夜、静まり返った様子」「真夜中のこと」を表します。
人だけではなく、草木までも眠り静まり返った不気味な様子を表した夜のことで、幽霊が出る時間を表す表現として、このことわざが生まれたようです。
丑三つ時の英語表記・発音とは?
丑三つ時は日本独自のものなので、正確に表す英語表記はありません。ここでは、近い意味を表せる表現を紹介します。
(in )the dead of night
発音:(イン)ザ デッド オブ ナイト
意味:(死んだように)静かな夜、静まり返っている、真夜中
the witching hour
発音:ザ ウィッチング アワー
意味:魔女の横行する夜半
midnight
発音:ミッドナイト
意味:真夜中
丑三つ時に関する疑問
丑三つ時は、「怖い」「不吉」といわれていることから、「これって、丑三つ時と関係あるの…」と不安に思われている方もいるのではないでしょうか。ここでは、丑三つ時に関する疑問について5つ紹介します。
丑三つ時によく目が覚めてしまうのは心霊現象でしょうか?
丑三つ時は、陰陽五行の思想や丑の刻参りの影響で怖い、不吉といったイメージを抱かれている方が多いです。そのため、午前2時〜2時間に目が覚めてしまうと悪い方に考えてしまう方もいると思いますが、心霊現象という根拠はありませんのでご安心ください。
丑三つ時にトイレには行かない方がいい?
丑三つ時であっても、トイレに行って大丈夫です。丑三つ時は幽霊が出るからと思われている方もいるかもしれませんが、科学的な根拠はないためご安心ください。
眠れないことと丑三つ時は関連がありますか?
丑三つ時と眠れないことには科学的根拠はありません。身体の不調によるものやたまたま眠れない時間帯が丑三つ時と重なってしまった可能性が高いでしょう。
丑三つ時には幽霊が出るものなのでしょうか?
丑三つ時に幽霊が出るという科学的な根拠はありません。丑三つ時=幽霊といったイメージを抱かれている方は多いと思いますが、記事内でも解説しているように古来の思想や行いが影響していることが考えられます。
現代における丑三つ時は迷信ですよね?
丑三つ時に関して言われていることは、昔の思想や行いによるものが影響しているだけであり、科学的な根拠はありません。現代では、丑三つ時に関する言い伝えは迷信とされています。
まとめ
この記事では、「丑三つ時」の意味と由来などについて解説しました。丑三つ時は午前2時〜午前2時半の30分間を指します。
丑三つ時が「怖い」「不吉」といったイメージがあるのは、古来受け継がれている思想や行いによるものであり、現代においては迷信であることがほとんどです。
「丑三つ時」に関する情報については、科学的な根拠はありませんが、由来やその意味を知ることは歴史や文化を学ぶうえで大切なことになるでしょう。