「承知する」はどう使う? よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説

2022/08/27

日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。

多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。

意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つライターのdanngoさんが解説します。

国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの主婦でライター。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です...

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「承知する」の意味とは?

「承知する」という言葉は、相手の言ったことや事情などを知って理解することをしめす表現です。

「承知」という言葉を分解すると、「承る」と「知る」という2つの動詞が出てきます。

「承る」は「うけたまわる」と読み、古くから「うけたまはる」という形で使われていました。「受ける」という意味の「受く」に謙譲語の補助動詞「たまはる」がついてできた動詞で、「目上の人の言葉などをつつしんで受ける」という意味の言葉です。

そこから「承諾する」「拝承する」の意味で使われるようになっています。

「承知」は「承って知る」ということなので、目上の人に対して話の内容や事情などを知って理解したことをしめすニュアンスを持つのです。

「承知する」の正しい使い方、例文は?

「承知する」という言葉は、目上の人に対して「理解した」「知っている」ということを伝える時に使います。
具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。

・17時から2名のご予約、窓側の席ですね。承知しました。
・明日からA社は休暇に入るのですよね。承知しております。

目上の人に使ってもいい?だめ?

「承知する」は謙譲の意味を含む言葉なので、目上の人に使える表現です。取引先や上司など、丁寧な対応を心がけたい相手に使うといいでしょう。

より丁寧にしたい場合は「承知いたしました」が使えます。

「承知する」という言葉だけでもへりくだったニュアンスが出るので、単独で使っても問題ありません。

注意したい「承知する」の誤った使い方

「承知する」という言葉は本来謙譲表現であり、自分側を主語にして使うのが普通です。相手側を主語にして使うのは、厳密に考えれば適さない表現といえます。

したがって、以下のような使い方には注意しましょう。

・社会情勢の変化による物資不足のため、納品が遅れる可能性が出ていますことを承知願います。
・次回のミーティングは都合により来週に延期したいと思います。ご承知おきください。

以上の表現は一見すると丁寧な印象を与えますし、実際に見かけることも多いです。一般的には許容されているようですが、「承知する」という言葉に謙譲の意味が含まれていることを考えると少し引っかかるところがあります。

人によっては、押しつけがましいと感じたり皮肉っぽいと受け取ったりすることもありえます。できれば相手側を主語にして使うのは避けたいところです。言いかえの表現として「ご理解ください」「ご認識ください」を使うといいでしょう。これであれば謙譲の意味を含まないので、相手側を主語にしても違和感がありません。

みなさんは「承知する」という言葉を正しく使えていましたか?

世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使う時は特に気をつけましょう。

ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。

正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っている時は柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。

◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。

 
 

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