「ぜんごさく」は「前後策」と「善後策」どっち? よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説

2022/07/18

日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。

多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。

意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つ ライターのdanngoさんが解説します。

国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの主婦でライター。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です...

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「善後策」の意味とは?

「善後策」という言葉は、「うまく後始末をつけるための方策」という意味を持つ言葉です。
「善後」だけだと「後始末をよくすること」という意味。

「善後策を講じる」という表現でよく使われます。

自分達にとって不都合な事態が起きていて、それをなんとか解決するために講じる手段というニュアンスを持ちます。

「善後策」の正しい使い方、例文は?

電卓で計算する税理士の手で
kazuma seki/gettyimages

「善後策」という言葉は何らかの問題が発生した後、事態が悪化しないようにうまく処理する方法について言及するときに使います。

具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。

・こちらの勘違いで先方に迷惑をかけてしまった。早急に善後策を講じなくてはならない。
・お客様がお怒りのようだ。こういうときはお客様の話をよく聞いて善後策をさぐるべきだ。

目上の人に使ってもいい?だめ?

「善後策」は目上の人にも使える言葉です。

敬意を含む表現ではないので、上下関係を気にせず使って問題ありません。

間違いやすい「善後策」の誤った使い方

「善後策」を文章で書く場合、変換ミスで「前後策」としてしまうことがときどきあります。気づかずにそのままにしてしまうと恥ずかしいので、よく確認するようにしましょう。

何か問題があったときに考える策のことなので、問題が生じる前の段階で使うことはありません。したがって、以下のような使い方は誤りです。

・今回のお客様のご要望は以上です。理想に近づけるよう善後策を練りましょう。
・A案がベストだとは思うけれども、善後策としてB案を用意しておかねばならない。

1つめの例文は「最善の策」と言うべきところ。

2つめの例文は「次善の策」が適当です。「次善の策」とは、「最善ではないがその次によい方法」という意味です。

みなさんは「善後策」という言葉を正しく使えていましたか?

世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使うときは特に気をつけましょう。

ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。

正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っているときは柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。

◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。

 
 

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