「善処する」はどう使う?よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説
2022/05/23
日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。
多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。
意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つ ライターのdanngoさんが解説します。
「善処する」の意味とは?
「善処する」という言葉には、「物事を適切に処理する」という意味があります。「できるだけ努力する」「うまく取り計らう」といったニュアンスを持ちます。
「善処する」の正しい使い方、例文は?
「善処する」という言葉は、依頼や問題解決などに対して前向きに検討する姿勢を示すときに使います。
達成する数値などを提示しない、あいまいさを持つ言葉でもあります。具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。
・本日うかがった案件につきましては、今月中をめどに善処していきたいと思います。
・今回起きた問題については、システム改善の必要性を感じます。善処してください。
目上の人に使ってもいい?だめ?
「善処」という言葉は「善処します」「善処いたします」といった丁寧な表現をつけ加えれば目上の相手にも使えます。
「善処願います」というように、相手への依頼に使うことも可能です。ただし、頻繁に使ってしまうと具体的に何をするかが伝わらないという問題も。
便利な言葉だからといって、使いすぎないようにしましょう。
注意したい「善処する」の誤った使い方
「善処する」という言葉は、はっきりと断りにくいときに「できるだけがんばってみるが結果は保証しかねる」という気持ちを暗に示すときにも使います。
場合によっては消極的であいまいな雰囲気も感じられる表現です。積極的にアピールしたいときには不向きで、やる気がないと受け取られかねません。
したがって、以下のような使い方は避けるようにしましょう。
・御社に就職できたあかつきには、売り上げに貢献できるよう善処したい所存です。
・受注した商品に関しましては、締め切り日に間に合うよう善処いたします。
1つめの例文なら「邁進(まいしん)」や「尽力」を使ったほうがよいですし、2つめの例文なら「対応」や「対処」と言ったほうが誤解を与えません。
みなさんは「善処する」という言葉を正しく使えていましたか?
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使うときは特に気をつけましょう。
ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。
正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っているときは柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。