「ご尽力」はどう使う? よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説
2022/05/17
日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。
多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。
意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つライターのdanngoさんが解説します。
「ご尽力」の意味とは?
「尽力」というのは見たとおり「力を尽くす」ということ。
何かを実現させるために最大限努力する、精一杯がんばるといった意味合いで使われます。
「ご」をつけた「ご尽力」という言葉は、「目上の人が自分のために力を尽くす」という意味を持つ言葉です。
「ご尽力」の正しい使い方、例文は?
「ご尽力」という言葉は、誰かが自分のために最大限努力してくれたときに感謝の気持ちをあらわすために使います。
具体的には、以下のように使うといいでしょう。
・このたびは、弊社の図説の監修にご尽力をたまわり大変ありがたく存じます。
・皆様のご尽力により今回の企画が通りました。ありがとうございます。
目上の人に使ってもいい?だめ?
「ご尽力」は「ご」がついた表現なので、目上の人に対して使うのが一般的です。自分が力を尽くしたことを表現する場合は「尽力する」という言い方になります。
間違いやすい「ご尽力」の誤った使い方
「ご尽力」の初歩的な間違いには、「ご尽力を尽くす」と言ってしまうパターンがあります。
「尽力」に「力を尽くす」という意味があるのですから、「尽くす」という言葉をつけてしまうと重複表現になってしまいます。気をつけましょう。
また、言葉の意味合いからして全面的に協力してくれたことへの感謝には使えますが、目上の人への依頼表現には使えません。
したがって、以下のような使い方は誤りです。
・近々研究発表をひかえておりますので、先生にもご尽力いただきたいと思います。
・この件に関しましては室長主導でお願いいたします。よろしくご尽力くださいませ。
上記のような言い方では「目下の私たちのために精一杯努力しろ」と伝えているようなもので、大変失礼な印象を与えます。目上の人に協力をお願いする場合、「お力添え」という言葉なら問題なく使えます。
みなさんは「ご尽力」という言葉を正しく使えていましたか?
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使うときは特に気をつけましょう。
ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。
正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っているときは柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。