梅雨と秋雨はどちらが雨多い?あなたの地域の傾向をチェック!気象予報士解説

2023/09/01

例年9月から10月頃にかけてやってくる、秋の長雨シーズン「秋雨」。

秋雨時期に気をつけることは、梅雨と同じでいいのでしょうか?そもそも梅雨と比べて雨の量は、多いのか少ないのか…?

今回は、意外と知らない梅雨と秋雨の関係について、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに解説してもらいます。

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

>>>植松愛実の記事をもっと見る

夏から秋に移るための通過点「秋雨」

夏から秋になるとき、夏の空気と秋の空気がすんなり交代してくれるかというと、そう簡単にはいきません。

北から秋の空気がやって来ようとするのに対して、まだまだ夏の空気が居座ろうとするので、性質の異なる2つの空気が押し合いになります。

この、空気が押し合っている境目では、上昇気流が起きやすく雨雲が発達しやすくなり、これが秋雨前線として長引く雨を降らせるのです。

雨が多いのはどっち?

梅雨時期(6~7月)より秋雨時期(9~10月)のほうが降水量が多い地域のおおまかなイメージ。なお、沖縄については秋に降る雨が秋雨前線ではなく台風によるものが主のため、図には含めていない。

梅雨と秋雨の雨量を比べると、だいたい西日本や日本海側では梅雨のほうが雨量が多い傾向にあり、それ以外では秋雨のほうが多くなる傾向になります。

2023年の梅雨シーズンには、九州北部などを中心に被害が大きくなったことが記憶に新しい人も多いと思います。一方で、関東を中心とした地域では秋雨の雨量のほうが多い傾向にあり、たとえば東京都では、9~10月の降水量の平年値は6~7月の約1.4倍になります。

そして秋雨の雨量が多い地域で特に注意が必要なのは、秋雨の期間中に台風が来ることです。

「秋雨+台風」はなぜ危険?

気象庁HPを基に筆者作成。

日本列島に秋雨前線がかかっている状態で台風がやって来ると、雨量が記録的に多くなる傾向にあります。
台風周辺の暖かく湿った空気が前線付近へ流れ込んで、前線の雨を降らす働きが活発になるためです。

ちなみに台風が1,000kmくらい離れていてもこの効果は絶大なので、秋雨の時期は台風が遠いからといって油断できません。

なお、じつはこのパターン、梅雨中にも同じことが起きていました。
つまり、日本列島に梅雨前線がかかっている状態で台風がやって来ることによって大雨になるケースです。

だったら「梅雨+台風」も「秋雨+台風」も同じでは?と思われるかもしれませんが、大きく異なるのは「その後の台風の進路」です。
梅雨時期には、梅雨+台風で大雨になったあと台風本体が上陸することは少ない一方、秋雨はもともと台風が上陸しやすい秋のシーズンなので、秋雨+台風ですでに大雨になったところへ、追い打ちをかけるように台風が上陸してくることがあります。

大雨や暴風のピークが複数回襲うことがあり、非常に危険です。

梅雨で苦労しなかった人ほど秋雨に備えて!

毎年、梅雨明けの時期になると「今年の梅雨は雨が少なくてイマイチ梅雨らしくなかったなぁ」という感想を聞くことが結構あります。

もちろん、例年と比べて実際に降水量が少なかった場合もあるとは思いますが、多くの場合は、そもそもその地域では梅雨より秋雨のほうが雨が多く降る傾向にあるのです。

つまり、梅雨の時期に雨による苦労が少なかった人ほど、秋雨時期は注意が必要。

大雨になる前に、身近な危険な場所を調べたり、防災用品を揃えるなど、早め早めに備えておきましょう。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND