山が “おめかし”する秋!市街地へ紅葉が降りてくるのはいつ?事前に知る方法を気象予報士が解説
2023/10/26
秋が深まるとともに紅葉の話題も増え、まるで木々が華やかに着飾っているようなこの時期は、なんだかワクワクする季節ですよね。
山が紅葉する時というのは、遠くから眺めるだけだったり、あるいはニュースで見るだけだったりする人が多いかもしれませんが、じつは山の紅葉に注目していると、市街地でいつ紅葉が見頃になるかが予測できるそうです。
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、紅葉ピークを逃さず楽しむためのコツを解説してもらいます。
「山粧う」秋
「山粧う」と書いて「やま・よそおう」と読む、この表現。古い時代に中国から伝わり日本の俳句でもよく使われる言葉で、秋になって山の木々が赤や黄色に色づく様子を表しています。
たしかに、これまで緑1色だった山が一気にカラフルになる様子は、さしずめ山がおめかししているみたいで、ぴったりな表現ですよね。
秋が深まり、通勤途中などに見える山の色がだんだん変わってきたり、あるいはニュースで自分の住む地方の山が紅葉した様子が報道されていたりすると、「もうすぐ市街地にも紅葉が降りてくるのかな」と待ち遠しい気持ちになる人も少なくないのでは。
じつは、紅葉が山から平地へと降りてくる時、そのスピードはだいたい決まっていることがわかっているのです。
紅葉は約1カ月かけて山を降りる
標高が高い場所では、当然ながら低い場所よりも早く寒くなります。そのぶん紅葉も早く始まり、だんだん日が経つとより低い場所でも紅葉が始まっていきます。
そのペースは、1週間でおよそ数百m。
つまり、ある高さの場所で紅葉が始まってから1週間ほどすると、そこより数百m低い場所でも紅葉が始まる、という具合です(もちろん、どんな種類の植物が生えているかにもよりますが、だいたいの目安だと考えてください)。
テレビのニュースでよく紅葉の様子が報じられる山々は標高1,500m前後のものが多いので、紅葉が山頂付近からふもとまで降りてくるのにおおむね4~5週間、つまり約1カ月かかるということになります。
近くの山が紅葉し始めたらカウントダウン!
子どもが小さかったり、高齢の親が一緒だったりすると、山沿いまで紅葉狩りに行くより平地の公園などで紅葉を楽しみたい、という人も多いと思います。
そんな時は、近くの山がきれいに色づいていたり、紅葉のニュースを見たりしたらカウントダウン開始。
たとえば関東地方だと、紅葉の名所として栃木県の日光は毎年必ずと言っていいほどニュースに登場します。ニュース映像に流れるのは中禅寺湖という湖周辺であることが多く、そのあたりは標高約1,300m。
つまりそこから市街地へ紅葉が降りるには、1カ月ほどかかります。
ほかの地域でもやはり1カ月が目安で、より詳しく知りたい場合はインターネットで標高を調べてみるのもいいですね。
市街地でも、紅葉ピークを狙えば十分秋を満喫できます。山が教えてくれるカウントダウンの合図に注目して、いい時期を逃さずに楽しみたいですね。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部