「スポーツの秋」とはよく聞きますが、なんとなく涼しくなるから運動しやすいのかな?と思っていませんか。
じつは秋の気温をひもとくと、単に「涼しい」だけではない理由がそこにはあります。
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、「スポーツの秋」にぜひランニングを始めたい理由を教えてもらいます。

「最適温度」になる時間帯が長くなる
一般に、ランニングのように外で体を長時間動かす運動に最適な気温は、5度から15度くらいが目安とされています。
たとえば例年9月までの東京都心だと、気温が15度を下回るのは夜かなり遅くなってからですが、10月そして11月にかけては夕方のうちから15度くらいまで下がる日が出てきます。
おおむね関東から西日本にかけての地域は、朝や夕方に運動しやすい気温になり、東北や北海道では昼間のうちからランニングができるような気温の日も多くなるのです。
夜遅い時間、特に就寝直前の時間帯での運動は睡眠に悪影響を及ぼすこともあるため、「最適温度」の時間帯が長くなる10月以降は、これからランニングを始めたい人にぴったりの季節です。
「秋バテ」防止にもおすすめ
「夏バテ」ならぬ「秋バテ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
夏の間に暑さや長期休暇のストレスが溜まったり、冷房や冷たい食べ物で内臓を冷やしすぎたりした結果、秋になってから食欲不振やめまいなどの症状が出るもので、いわゆる “現代病”のひとつとして近年わりと一般的に言われるようになってきました。
この「秋バテ」対策には、適度な運動や食事、そして湯船に浸かる入浴が効果的なのですが、ランニングを習慣化すると、これらの条件を満たしやすいのです。
運動はもちろん、その後はおなかがすくのでしっかり食事をとることができますし、汗をかいたらシャワーでなくしっかりお湯に浸かりたいという動機ができます。
秋の運動は一石二鳥なのです。
自然の多い場所では注意が必要なものも
せっかくランニングするなら木々や草花を眺めながら走りたいと思って、森林公園など自然の多いところでランニングをする人もいるかと思いますが、この時期ちょっと注意したいのがスズメバチです。
スズメバチは秋に活動のピークを迎え、攻撃的になります。
木の真下を通るときや、公園の東屋のように開放的な小屋で休憩をするときは、周りをよく見るようにしましょう。
もしスズメバチを発見した場合は、手で払うなどの動作では刺激してしまうので、そっと静かにその場を離れるようにしてください。
「スポーツの秋」を楽しもう!
ダイエットや健康維持のため「運動しなきゃ…」とは思いつつも、なかなか重い腰が上がらないのが現実。でも「10月の気温が最適」と聞いたら、今始めなきゃ!という思いになりますよね。
秋は「食欲の秋」「収穫の秋」にちなんでおいしそうな商品が店頭に多く並ぶ時期でもありますが、そういったグルメをおなかいっぱい食べる罪悪感を減らすためにも、「スポーツの秋」を楽しみながら実践していきましょう。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部