青空と紅葉

どうして紅葉にはいろんな色があるの?素朴な疑問を気象予報士が解説!

2023/10/05

秋の深まりとともに毎年楽しみになる紅葉。赤やオレンジ、黄色などさまざまな色に染まる様子はまさに絶景です。

でもどうして、すべて同じ色ではなく異なる色になるのでしょうか。
そもそも毎年お約束のように秋になると紅葉するのはなぜ…?

今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、紅葉狩りがいっそう楽しみになる豆知識を教えてもらいます。

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

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紅葉のきっかけは「緑色の色素がなくなる」こと

植物の葉

私たちは普段目にする植物の葉が緑色なのは、もちろん葉に緑色の色素が含まれているから。
緑色の色素が何のためにあるかというと、懐かしい小学校の理科で習った「光合成」をするためです。

太陽の光を使って植物の体内でエネルギーを作り出す光合成ですが、冬に近づくと日照時間が短くなり気温も下がってくるとエネルギーを作る効率が悪くなってしまうため、一部の植物(=落葉樹)はもう緑色の色素を作らなくなります。

じつは植物の葉にはもともと緑色のほかに黄色の色素も含まれているので、緑色の色素が作られなくなると、それまで緑の存在の陰で目立たなかった黄色が目立つようになり、葉が黄色く変化したように見えるのです。

葉が赤くなるのは「糖分」が関わっていた!

赤いもみじの葉

秋に葉が黄色くなる植物があるのはわかりましたが、赤くなる植物もあるのはなぜ?という疑問が残りますよね。
これには、「糖分」が関係しています。

植物が葉で光合成をして手に入れるエネルギーの一部は糖分なのですが、通常は葉で作った糖分を枝や幹など全身に運んで使います。

しかし冬が近づき光合成をしなくなるとき、葉に残った糖分を最後まで運んで使い切る植物と、残りはもう使わずに葉に放置する植物があります。
放置された糖分は、日光が当たることによって赤紫色の色素に変化するのです。
(正確には、使われなくなった緑色の色素が分解された成分と糖分が化学反応を起こします。)

この赤紫色の色素が、葉が赤くなる鍵になります。

赤・オレンジ・黄色…色素の組み合わせがなせる綾

山の紅葉

紅葉が始まるきっかけは植物が緑色の色素を作らなくなることですが、その後はそれぞれの葉が持つ黄色や赤紫色の色素の割合で、葉が赤くなるか黄色になるか、はたまたオレンジになるかが決まってきます。

植物が生まれつき持っている色素の量ももちろん重要ですが、前述のように赤紫色の色素の誕生には日光が必要なので、その年の紅葉にどんな色が登場するかは、天気も含めた多くの要素が絡んでいます。

木々の紅葉は、科学と偶然が重なり合った一期一会の風景なのですね。

天気予報をチェックして錦秋を楽しもう!

紅葉する湖とボート

紅葉はだいたい最低気温が7度以下の状態が何日か続くと始まり、数週間かけて見頃を迎えます。

「今年はここの紅葉を見に行きたいな」と狙っている場所がある場合は、日々の天気予報でその場所の最低気温をチェックすると時期を逃さずにすみそうです。

ちなみに紅葉がすでに見頃になっている場所では当然ながら朝晩の気温が7度より低くなるわけですから、防寒対策をしっかりするか、冷える時間帯より早く帰れるよう余裕を持ったスケジュールを立てるなどして、風邪などひかないように楽しんでください!

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部

 
 

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