1年でいちばん晴れやすい日はいつ?気象予報士が解説
2023/09/27
毎年「スポーツの日」には、さまざまなスポーツ関連イベントが開催され、まさに「スポーツの秋」を感じる時期です。
現在は、10月第3月曜日と定められている祝日「スポーツの日」は、かつて「体育の日」という名前で10月10日に固定されていました。そういえば当時「体育の日」は晴れやすいなんて言われて、よく運動会の日程が組まれていたのを覚えている人も多いのでは。
10月10日は本当に晴れるのか?あるいは、ほかにもっと晴れやすい日があるのか…?
気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、お天気にまつわる素朴な疑問を解決してもらいます!
実際どのくらい晴れるの?
かつて「体育の日」が10月10日に固定されていたのは、1964年に開催された東京五輪の開会式がその日だったことにちなんでいます。
ただ、もともと10月前半というのはまだ秋雨シーズンが続いている年もあり、場合によっては台風がやって来ることすらあるので、じつは特別晴れやすいと言える時期ではありません。
実際に「天気出現率」(日ごとの晴れ・くもり・雨の回数を集計して30年平均したもの)という気象庁の統計を見ると、10月10日の東京で晴れる割合は60.0%。
つまり、10月10日が3回やってきたらそのうち2回くらいは晴れる、ということになります。
なんとも言いがたい微妙な数字ですよね。
なぜ「体育の日」は晴れるイメージ?
現実の数字としての晴れやすさが微妙であるにも関わらず「体育の日」に晴れのイメージがついたのは、日本人の中で1964年の五輪時の印象が受け継がれているからかもしれません。
この年の東京は五輪開会式の前日まで4日連続で雨が降り、ほとんど日ざしもない状態でした。
それが10月10日の朝になって一気に天気が回復して青空のもとで開会式をすることができ、新聞には「天高く美しく開会式」の文字が踊り、また当時五輪に合わせて三種の神器のひとつであるテレビを購入した人は、快晴の大空にブルーインパルスが5つの輪っかを描く様子を目の当たりにしたのです。
有名な「世界中の青空を全部東京に持ってきたような、すばらしい秋日和でございます」というアナウンサーの中継コメントを知る人も多いのでは。
たしかにここまでのできごとがあれば「10月10日は晴れやすい」というイメージが定着しても無理はありません。
ちなみに…10月前半という時期がそこまで晴れやすくないのはこの1964年にも言えることで、実際に開会前だけでなく開会式の3日後、4日後にも雨が降っていました。
一番晴れやすいのはいつ?
秋(9月~10月)の間でもっとも晴れやすいのは、東京では11月16日で、30年間の平均における晴れの割合が73.3%。
秋雨や台風の影響を受けにくい11月は、月全体で見ても10月と比べて晴れやすいという特徴があります。
また、1年をとおしてもっとも晴れやすいのは12月24日。この日は晴れの割合が93.3%と、かなり高い確率で晴れることがわかります。
冬は太平洋側で晴れやすい傾向にあるため、名古屋などほかの都市でもこの時期は晴天率が高いです。
一方の日本海側では冬は雨や雪の日が多くなるため、晴天率は如実に下がります。
たとえば金沢では、8月上旬が1年でもっとも晴れやすい時期。札幌ではもともと年間で晴れる日数がほかの都市より少なめですが、5月上旬と9月下旬~10月上旬は比較的晴れる日が多くなります。
地域ごとに晴れやすい日を選んで行楽を楽しみたい!
秋の行楽シーズンは交通機関も宿泊施設も混み合うため、かなり前もって予約を取っておく人が多いのでは。
そうなると、天気予報を見てから予約日を決めることができないので、できるだけ「晴れやすい時期」を選ぶのが得策と言えます。
前述のように関東なら10月より11月、つまり秋のなかでも遅めの時期のほうが晴れる確率が高くなりますが、日本海側や北日本だと冬に近づくほど曇りや雨、そして雪の日が増えてきます。
行き先の地域の特徴に合わせて時期を選び、秋の行楽シーズンをめいっぱい楽しみましょう。
参考文献
■東京管区気象台HP
https://www.data.jma.go.jp/tokyo/shosai/chiiki/tenki/link.html
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部