在仏19年、かわかみじゅんこさんに聞く「効率重視」のフランスの母さんと暮らし

2023/09/02

なんと在仏19年!フランス人の夫、一人娘の赤子ちゃんとの暮らしを綴った漫画『パリパリ伝説』の作者・かわかみじゅんこさんにフランス・パリでの暮らしをインタビューしました。

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<教えてくれた人>
漫画家 かわかみじゅんこさん
95年、『ヤングロゼ』(角川書店)掲載の『恋はザッツワチャドゥ』でデビュー。『FEEL YOUNG』(祥伝社)などの女性誌を中心に活動。04年よりフランスに移住し、現在はパリ郊外の村で暮らす。主な作品にテレビドラマ化された『中学聖日記』、漫画『パリパリ伝説』(ともに祥伝社)などがある。フランス人の夫フィリップさん、18歳の長女·赤子ちゃんとの3人家族。

『パリパリ伝説⑪』(¥1,012 /祥伝社)
フランスでの日常を綴ったゆるゆるエッセイシリーズ。漫画が開始した頃はまだ赤ちゃんだった赤子ちゃんも、とうとう高校生に!コロナ禍でのフランス暮らしの様子がユニークな視点で綴られている。

あなたはどうしたい?そう聞かれ続けて自己主張を習得

パリ市のエッフェル塔
StockByM/gettyimages

04年にフランス・パリへ移住。フランス人のフィリップさんと結婚し、翌年、赤子ちゃんが誕生。パリで遭遇する不思議や戸惑い、心がほっこりするできごとをのほほんとしたタッチで綴った漫画『パリパリ伝説』を19年にわたり『フィール・ヤング』で連載中のかわかみじゅんこさん。
そんなかわかみさんにとって、フランスで暮らすことの楽しさや日本とのギャップはどのようなものだったのでしょうか。
「フランスで一番驚いたのは、カフェのトイレの汚さと、夏はフランス人女性がブラやパンツなどの下着が見えていても全く気にしない格好で歩いていることです。これは19年住んでいる今でも新鮮で、夏になるたびにびっくりしていますね」。
フランスに来た当初はことあるごとに「あなたはどうしたいの?」と聞かれることが多かったといいます。
「自分の気持ちを主張することを毎回突きつけられているようで、そこは随分鍛えられましたね。でも、そのわりに最終的に意に沿わないことになっても、"運命ってそういうもの、それが人生"ってあっさり受け入れちゃうところがあるのも、フランス人らしいなと思います」。

家事は効率重視子育ては親も社会も一緒に

フランスで出産・子育てを経験して感じているのは、フランスに住む人は一般的に子育てに協力的だということ。夫婦が一緒に子育てするのはもちろん、ベビーカーを押していると自然に誰かが階段などで手伝ってくれます。
「親をサポートする制度も手厚く、働きながら子育てするのは当たり前だし、休む権利も当然。保育園や小学校の送り迎えをパパがするのもごく普通の光景です。もし幼稚園の通園バッグの手作り指定なんかあったら、暴動が起きるでしょうね」。 
そんなフランスのママンたちは家事も効率重視。ベビーシッターや掃除などにお手伝いさんを雇う人も多く、「これまで食洗機のない家は1軒しか見たことがない」(かわかみさん)というほどです。
「古道具が並ぶブロカントやセレクトショップでおしゃれな食器を買うときも、まずは食洗機で洗えるか確認するのが常です」。 
フランスの子育て事情に欠かせないのがバカンスです。学校は約2カ月ごとに2週間休みがあるので、その間の過ごし方もいろいろ。いくらフランス人といえども、そのたびに仕事を休むのは難しいので、地方の祖父母の家に子どもを預けることも多いのだとか。
ほかには両親が交代で休みを取ったり、学童保育のような場所に預けたりするそうです。
「しょっちゅう長期休暇があるので、私なんかにしてみると、『確かにバカンスは大事だけど、ちょっと休みすぎじゃない……?』という気持ちもしますけどね」。

小学校低学年でアンディ・ウォーホルに触れる

学校事情も地域によってかなり違います。パリ19区に在住時代、赤子ちゃんが通っていた公立小学校は、さまざまな国籍の子どもたちが通っていて、まさに多様性の縮図でした。
「びっくりしたのが、低学年の子どもにアンディ・ウォーホル風の絵を描かせたり、ルーブル美術館に見学に行ったりするなど、型にはまらないクリエーティブな授業が充実していたこと。私の小さい頃の図画工作の時間とはずいぶん違うな、と思いましたね」。 
一家は、赤子ちゃんが小学校高学年のときにパリ郊外の緑豊かなフォンティーヌブローの近くに引っ越し、築100年の一軒家を賃貸。冬は暖炉で薪を焚く暮らしで、屋根裏部屋の1室がかわかみさんの仕事部屋です。ただし家庭用クーラーが一般的ではなく、夏は暑いのが難点。「ここはパリと違って田舎なので、外食できる店も少なく、夜は家族で手料理を食べることがほとんどですね」。
そんな3人暮らしも、赤子ちゃんのパリへの大学進学で一段落の予定。フィリップさんと夫婦2人の暮らしが待っています。
「大人の時間と家族の時間、どちらもバランスよく大切にするのがフランス人。自分のことも人と交流することも大好きで『人生は楽しむもの』と思っているところがやっぱり素敵です」。 
そんなふうに笑うかわかみさん。新しい日常のエピソードが届く日が、今から楽しみです。

参照:『サンキュ!』2023年9月号「小さくて豊かなパリの暮らし」より。掲載している情報は2023年7月現在のものです。漫画・イラスト/かわかみじゅんこ 撮影/天野良子 構成・文/工藤千秋 編集/サンキュ!編集部

 
 

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