海辺で夕日を眺めていると、なんだか太陽が不思議な形になっているのに気づくことがあります。
太陽の光が海面に反射しているわけでもなく、本当に太陽の形が変わったかのように見えるので、初めて目撃した人はびっくりするかもしれません。
「だるま夕日」と呼ばれるこの現象、じつは美しいだけでなく、重要な季節の変化を知らせてくれるサインでもあります。
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、「だるま夕日」のヒミツを教えてもらいます!

水平線に浮かぶ「だるま夕日」
水平線に沈む直前の太陽が、まるで途中でくびれたような形になって、だるま型に見えることがあります。
秋から冬、そして春先にかけての冷え込む時期に見られることがある現象で、一般に「だるま夕日」と呼ばれます。
ほかにも「だるま太陽」や、ギリシア文字の「Ω(オメガ)」の形に似ていることから「Omega Sun(オメガサン)」と呼ばれることも。
いつでも必ず見られるわけではないので、見えたらラッキーということで「幸運の夕日」と言うこともあるようです。
空気の温度差がつくりだす絶景
「だるま夕日」は、科学的には蜃気楼(しんきろう)の一種です。
秋以降の冷え込む時期は空気が非常に冷たくなりますが、海水は空気に比べて温度変化が小さいので、空気よりも冷えるのに時間がかかって、相対的に海水のほうが温かいという状況が生まれます。
その海水に近い海面付近の空気も、それより上の空気と比べると少し温かくなるので、空気同士の温度差が生まれるのです。
太陽から届く光は温度差のある空気の境目で屈折させられ、カーブを描くように私たちの目に届きます。
そのため、本物の太陽がある位置だけでなく、実際には太陽がない位置にもあたかももう1つ太陽があるように見えて、上下に2つつながった夕日、つまり「だるま夕日」になるというわけです。
そしてもちろん、この現象は日の出の際にも起こり得るため、「だるま朝日」も存在します。
個性豊かな「だるま朝日」「だるま夕日」
ひとくちに「だるま」と言っても、その形はさまざま。
くびれが深く入ってだるまというより人型に見えるものから、ぽっちゃりしただるま型、そして中には太陽が上下に伸ばされたかのように見えて四角に近い形になるタイプまであります。
いずれも秋から冬、そして春にかけての季節に現れやすいため、これからの時期は「だるま朝日」や「だるま夕日」を見られるチャンスが増えます。
「だるま」な太陽を目撃したら何に注意?
「だるま朝日」や「だるま夕日」が現れるのは、空気の温度差が生じるほど急激に冷え込むときです。
つまり、もしある日の夕方に「だるま夕日」を見かけたら、翌朝にかけて冷え込みに十分注意する必要があります。
特に秋から冬にかけては、毎日同じだけずつ気温が下がるわけではなく、ある日ガクンと下がってまたちょっと回復し、またある日ガクンと下がって…というのを繰り返しながら季節が進むのです。ジェットコースターのようにアップダウンする気温に振り回されて、体調を崩してしまうことも。
「だるま」の形をした太陽は、そんな変化を知らせるサイン。
空が教えてくれるサインを手がかりに、季節の変わり目を健康に乗り切りましょう!
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部