今さら聞けない!台風情報のよくある間違いと見落としがちなポイントを予報士が解説

2023/06/09

夏に近づくにつれ発生数が増えていく台風。
毎年テレビや新聞でなんとなく台風情報は見ているけれど、いざ自分で情報を取ろうとすると見方がよくわからない…そんな人も多いはず。
今回は、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんに、台風情報に関する「よくある間違い」と「見落としがちなポイント」を教えてもらいました。

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

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まずは基本!台風の予報円は「台風が入る場所」ではない

テレビや新聞などでよく目にする、円や直線で表現される台風情報。
この円は「予報円」と言い、「円の中のどこかへ台風の中心が進む確率が70%」であることを示しています。
最近ではSNSで台風に関する知識が拡散されることもあり、「台風は予報円の中心を進むとは限らない」と知っている人も多くなっていると思います。
では、台風本体が予報円から半分ほどはみ出してしまうこともある…というのはご存知でしょうか。

あくまで台風の「中心」が予報円の中のどこかへ進む、というだけの話ですから、もし台風の中心が円の端っこのほうへ進んだ場合、予報円の外でも台風本体による暴風や豪雨に見舞われることになります。
台風情報を見て、自分の住む場所が予報円の中に入っていなかったからといって安心することはできません。

よくある間違い…予報円で台風の「大きさ」はわからない

台風の予報円は常に同じ大きさではなく、ときどき途中でグッと大きくなることがあります。
たとえば、明日・明後日の予報円は小さいのに、3日後を示す予報円だけが巨大になっているパターンです。
こんなとき、まるで台風が大型化するかのような印象を受ける人もいるかもしれませんが…、じつは予報円では台風の「大きさ」は示されていないのです。

予報円の大きさが意味するのは、予報が大きくブレやすいということ。
たとえば3日後に台風がどの方角へ進むかまだわからないときや、台風の進むスピードがわからずどこまで台風が行くかはっきりしないときに、予報円はかなり大きくなることがあります。
そういう時は、自分にとって一番悪いコースを取った場合のことを想定して備える必要があります。

ぜひコレも見て!「暴風警戒域」

本記事のはじめの項目で、台風の中心は予報円の端っこに進む場合もあり台風本体が予報円からはみ出すこともある、と書きました。
ということは、台風の予報円に含まれていない場所でも台風本体の影響を受けてしまうことになります。
そういった被害を避けるために便利なものが「暴風警戒域」。
台風情報の図だと赤い円で示されているものです。

白い円で示された予報円、赤い線で示された暴風警戒域。なお台風の現在地は×印で示されることが多く、その周りの黄色い円は現在の強風域(風速15m以上)、赤い円は現在の暴風域(風速25m以上)。

「暴風警戒域」は、「この赤い円に含まれる地域は、台風の暴風域に入る可能性が高いです」と教えてくれるもの。
暴風域というのは風速25m以上の強い風が吹くエリアのことで、屋根瓦が飛ばされたり、看板が落下するおそれのあるレベルの風が吹いています。
もちろん車が通常の速度で走ることはできませんし、人も何かにつかまっていないと立っていられません。

令和元年房総半島台風(2019年台風15号)による暴風で屋根瓦が飛ぶ被害を受けた家屋(千葉県内で撮影)

なお、暴風域はすべての台風にあるわけではありませんが、勢力が一定以上の強さとなった台風であれば暴風域を伴っているので、ニュースなどで「強い台風が接近…」と聞いたら暴風警戒域の赤い円に注目してみてください。

■執筆/植松愛実…身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。
編集/サンキュ!編集部

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

 
 

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