好きなだけ物を置いても、ムダな物は一切ない。そのシンプルな秘訣とは?
2023/11/18
見せてもらうのは「棚」と「引き出し」と「冷蔵庫」の中。食と酒と旅を愛する文筆家・ツレヅレハナコさんのお宅にお邪魔しました。食の専門家だからこそできる工夫のように見えて、実は応用可能なテクニックがいっぱい。ご紹介します!
PROFILE
ツレヅレハナコさん
Instagram @turehana1
家族構成:猫のあんきも(13歳)
住まい:東京都在住。「台所」にこだわり抜き、3年前に戸建てを建設
SNSで発信するおいしい食&酒情報が人気。Webや雑誌など多くの連載をもつ。食にまつわる著書も多数。今回見せていただいた冷蔵庫やパントリーに収納されている食材や調味料の続きは、『ツレヅレハナコのお取り寄せ』(立東舎)で!
小さな小皿ひとつでも「いつ、どこで手に入れた」が語れる物ばかり
◎編集部
台所に入ってすぐ目に付く食器棚。この空間に、すごく合っていますね。
☆ツレヅレさん
青森に行ったとき、古い家財をリペアして売っている店で見つけたものです。元々は本棚だったのだとか。
東京に戻ってきてからも頭を離れず、購入すると決め、リペアしてから送ってもらいました。どこかの家で長い間大切に使われていたものだと思うと、ますます愛着がわきます。
◎編集部
ここに収納されている食器は、どういうものですか?
☆ツレヅレさん
わが家には食器も大量にあるのでシンク上にも造作の食器棚がありますが、取り出しやすいこの食器棚にはよく使う食器たちが集まっています。旅先で出会ったものも多く、現地での思い出も詰まった大切なものばかりです。
食器に限らずですが、わが家の台所にあるのは“物語が語れるもの”だけ。何となく買ったものはありません。
料理が好きではないという人も、まずは愛情がもてる食器や台所アイテムを集めてみると台所にいる時間が楽しくなると思います。
◎編集部
海外を旅した先で購入……というほどではなくても、家族で行った温泉旅館の近くで買ったとか、ホームセンターで子どもが一目ぼれして離さなかった物だとか、買ったときの記憶をしっかり持っておくと、愛着を持ってその先も使い続けられそうですね。
たくさんある食材をムダにせず使い切るには 「いつもの料理を手間なくおいしく」がコツだった
◎編集部
冷蔵庫が2つ並んでいるんですね(驚)!
☆ツレヅレさん
よく驚かれるのですが、大きい冷蔵庫が置けないこともあって、コンパクトな同じ冷蔵庫を2つ並べることにしました。
仕事用とプライベート用とがなんとなくわけられるので、使いやすくて大正解でしたね。
仕事用の冷蔵室をほぼ占領しているのは、調味料類。仕事柄各国の料理を作るので常備しています。
◎編集部
変わった調味料って、つい欲しくて買ってしまいますが、そんなに各国料理を作らないので(笑)、使いきれずに賞味期限を切れてしまうことがよくあります。
☆ツレヅレさん
必ず清潔なスプーンを使うこと!これは徹底しています。それを守ってにおいや味に問題がなければ、まあ、多少の期限切れは(笑)。
あと、特別な調味料は特別な料理にしか使えないという思い込みは捨てて。お豆腐にちょっとのせるとか、ドレッシングに混ぜてみるとか、それだけでも特別な一品になります。
◎編集部
確かに!普段家で作らない味ができちゃうから、おうちで外食気分ですね。
☆ツレヅレさん
辛い味の調味料なら家族用のおかずを作った後に、大人の分にだけ混ぜてもいい。小さなお子さんがいると辛い物が食べられない悩みも少し解決します。
あと、自分で使い切るのが難しいと思ういただき物は、ホームパーティに呼ばれたときに持っていくのもおすすめ。いただき物の素敵なジャムなら、おいしいパンと一緒に持っていったら喜ばれます。
◎編集部
それなら使い切れそうな気がしてきました!一般の家庭でそろえるのにおすすめの「ちょっといい調味料」でおすすめはありますか?
☆ツレヅレさん
私がいつもストックしているのは、粒マスタードですね。ただ焼いた肉や魚に添えるだけでアクセントになるし、ゆでたじゃがいもにあえるだけで最高!炒め物にもがんがん使える、万能調味料です。
XO醤(干し貝柱や干しえび、唐辛子などが入った旨み調味料)もおすすめ!ちょっと高いですが日持ちもするので、買って損なしです。炒飯や炒め物はもちろん、豆腐にのせるだけでお店の味になりますよ!
「ついでに切って塩もみしただけ野菜」と「玄米」で 体にいいごはんを始めました
◎編集部
プライベート用冷蔵室の保存容器は、作り置きですか?
☆ツレヅレさん
そうなんです!どれも簡単なもので。野菜は塩もみしただけだったり、ぽん酢であえただけだったり。タンパク質は蒸し鶏や煮卵が定番です。
一気に何品も作ることもあれば、何かのついでに作ることも。
◎編集部
作り置きおかずというよりは、下ごしらえに近い感じですね。
☆ツレヅレさん
それを玄米ご飯の上に何品かのせて、「玄米どんぶり」にするんです。今年から健康のために始めたのですが、明らかに体調が良くなりました!
◎編集部
お酒好きなイメージだったので、意外です(すいません)!「玄米ご飯」を始めたきっかけはあったんですか?
☆ツレヅレさん
お酒は相変わらず大好きなのですが、50歳を目前にして自分の体のことも考えるようになって。週3でジム通いも始めて、週3の休肝日も守っているんですよ。自分でも驚きです。
とはいえ外食も好きだし、100%食生活を変えることは難しい。「できることからやってみよう」と、私流の健康法を考えました。暴飲暴食の帳尻り合わせでもありますね(笑)。
筋力をつけるタンパク質、ひじきなど噛み応えのある食物繊維、たっぷりの野菜をのせるのがポイントで、これを食べてから、腸内環境が整ったことを実感しています。あとは「自分にいいことしているな」と思うことも大切ですよね。
油をほとんど使ってないので洗い物もラクだし、いいことだらけなんです。
◎編集部
洗い物までラクなのは、ポイント高いです。体にいいものをご飯にのせることから始めるって、「ダイエットしよう」「〇〇を我慢しよう」よりも取り組みやすそうです。
全3回でお届けしたツレヅレハナコさんの料理や台所の話。料理好きの個性にあふれつつ、背伸びしなくても取り入れられることばかり。何かちょっとでも、マネして始めてみませんか?
撮影/砂原文 取材・文/草野舞友 企画/サンキュ!コメつぶ編集部