どうしてまだ冬なのに桜の開花予想ができるの?2024年の傾向は⁇気象予報士解説
2024/02/10
例年、1月も半ばを過ぎると、複数の民間気象会社から桜の開花予想が次々と発表されるようになります。
でもよく考えてみると、まだ冬の真っ最中なのにどうして開花日を予想できるのでしょうか。
そして、今年2024年の傾向は…?
今回は、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんが、気になる桜開花予想のしくみを解説します。
開花の準備は夏から始まっている
桜の花は当然ながら桜のつぼみが開いたものですが、そのつぼみができ始めるのは開花の約半年前、なんと夏なのです。
つぼみができる、と言っても、実際は"つぼみの赤ちゃん"とも言える「花芽(はなめ)」という状態で、大きさが5mmあるかないか程度のラグビーボールのような形をしています。
夏にできた花芽は冬が近づくと寒さから身を守るために表面が茶色く固いウロコのようなもので覆われ、「冬芽(ふゆめ)」と呼ばれます。
「冬芽」から「つぼみ」へ
固いウロコのような外皮で覆われたままでは、もちろん開花はできません。
そこで桜は、冬の寒さがピークに達したと判断した時点から、春に向けた準備を始めます。
「休眠打破」と呼ばれる現象で、一定程度の寒さが続くと「今が寒さの底だな」と判断して、まるで花芽の封印を解いたかのように「つぼみ」を目指して成長を開始します。
つまり、冬の寒さが開花のために必須なので、冬のうちから桜の開花予想が可能なのです。
「休眠打破」を経た花芽はその後、次第に大きく膨らんでいき、茶色だった表面の色は緑色になっていき、最終的にはその芽の先端から花びらが出てきて「つぼみ」になります。
「暖かい日に咲く」とは限らない
成長したつぼみは、暖かい日を待って咲くのではありません。
暖かさがある程度"蓄積"すると開花します。
つまり、1日だけ特別暖かい日があればよいわけではなく、数週間とか1カ月といったスパンでの暖かさがあったうえで咲くのです。
実際に開花日を計算する際にはかなり複雑な計算式を用いるのですが、簡易的には「2月1日以降の平均気温(1日の気温の平均)の合計が400℃を超えたときに開花する」という経験則があります。
つまり、たとえば前日までに400℃近くまで達していれば当日がたまたま寒い日だったとしてもその日に開花する場合がある、ということになります。
2024年の桜シーズンはどうなる?
2023年から2024年にまたがる冬は、皆さんが実感しているとおり暖冬傾向となっています。
ただ、桜が開花準備に入るための「休眠打破」には前述のとおり十分な寒さが必要です。
関東以北であれば平年を多少上回る気温であっても「休眠打破」ができている可能性が高いですが、西日本の太平洋側など一部の地域では「休眠打破」に遅れが出ていると考えられます。
一方でここから春先にかけてぐんと気温が上がる見通しがあり、それによってつぼみの成長が早まって、「休眠打破」の遅れを相殺するところも出てきそうです。
これらの状況を総合すると、北日本や関東・北陸あたりは平年より早い開花、そのほかは平年並みか平年よりやや遅い開花が見込まれます。
このさき各気象会社から続々と開花予想の更新情報が流れるようになるので、最新の情報に注目してください。
■執筆/植松愛実…身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。
編集/サンキュ!編集部
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