夕食を食べるシニアカップル

笑顔の奥で離婚を企む夫。夫が密かに離婚を考える3つの事例

2024/06/24

お互いが努力していないと、どんどん劣化してしまう夫婦関係。時に、本人にはまったく自覚がないことがパートナーにとっては大きなストレスになり、それが離婚にまで発展してしまうこともあります。

そこで今回は妻にとって「寝耳に水」の夫からの離婚宣言の実例を、「恋人・夫婦仲相談所」の所長を務める三松真由美さんに紹介してもらいます。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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1.仕事のストレスを夫にぶつけまくるネガティブオーラ妻

ナナカさん(仮名28歳)が夫から突然「離婚したい」と言われたのは昨年末の12月。

1年前の結婚を機に転職をした大手税理士事務所でいきなりむずかしいクライアントの担当をしていたナナカさん。

昨年はナナカさんにとってもチャレンジングな1年だったそうです。しかし、共働きで結婚生活をスタートすることは、夫婦の合意でもあり、それが問題ではないはずだとナナカさんは言います。

「昨年は仕事でたいへんなことが多く、家に帰っても当日の仕事のことを思い出して、イライラしたり落ち込んだり…会社の不満を夫にぶつけたりしたこともありました。でも、夫はいつも適当に受け流している感じで、まったく気にも留めていない様子でした。突然の離婚宣言は意味がわかりません」というナナカさん。

しかし夫のほうに話を伺うと、彼の気持ちは彼女が感じていたものとはずいぶん異なりました。

「最初は彼女が毎日イライラしているのが心配で、『仕事で何かあったの?』と声をかけていました。そうすると堰を切ったように上司の悪口、クライアントへの暴言が出てくる。『あいつらみんな、ぶっ殺してやりたい』のようなひどい言葉も。

そんな言葉を食卓で妻から聞かされて、いい気持ちはしないですよね。時には暗い顔で『私もう無理、いなくなりたい』と急に泣き出したりなんてこともありました。

本人は、僕に感情を吐き出してすっきりしていたようですが、彼女のマイナスな感情を受け止めている僕のほうがだんだん自分のメンタルが辛くなってきて、最近はできるだけ耳を貸さず、話を聞き流すようにしていました。

ネガティブな空気って、一緒にいるとうつるじゃないですか。彼女がそんな風だから僕もチョイミスしたりして、仕事がうまくいかないことが増えてきて、でも妻に相談できる状態じゃないし…なんか家の中全体にネガティブな“気”が漂っている感じで、このまま一緒にいても、一生不幸なことしか起こらない気がして、離婚を決意しました」

最近の脳神経メカニズムの研究によれば、「不機嫌はうつる」のだそうです(※)。

人の心の状態は脳波にあらわれ、その信号は身近な人に伝わり、周りの人もネガティブな心理状態になるといいます。ナナカさんが遠慮なしに夫にぶつけていたマイナスオーラの影響が夫さんにも出たことで、「この女性といたら不幸にしかならない」と離婚を決意させる原因になったと推測されます。

2.子どもの前で夫を小馬鹿にする女王気取り妻

相手を口論し、責める男女
78image/gettyimages

アオイさん(仮名42歳)が夫から突然「離婚したい」と言われたのは今年の4月。7歳と5歳の娘2人に恵まれ、時間が不規則でいそがしい夫の代わりに、家事と育児とパート仕事を頑張ってきたのに…まさに「心当たりがない」夫の離婚宣言でした。

「夫は外食産業で働いているので休みも不定期。家に帰ってくる時間が深夜に近いことも少なくありません。私がワンオペ育児を頑張ってきたからこそ、娘たちもここまで順調に育ってきたのだと思っています。

幸い、女の子2人なので私ともなかよしです。今は娘たちといっしょに“すとぷり”の推し活も楽しんでいます。『ママはいつもいそがしいね』と気遣ってくれる優しい子たちです。夫からは離婚を言われるような覚えはいっさいありません」とアオイさん。

しかしアオイさんの夫に話を伺うと、彼は彼女の言動で、ひそかに傷ついていたのでした。

「僕は外食産業なので、土日も仕事が入るし、夜中に帰ってくることもあります。遅番の日は勤務が深夜に及ぶので、体を休めるために昼まで寝ていることもあります。給料は世の中の平均より少ないのかもしれないですが、しっかり働いた分を家庭に入れています。
離婚を決意したいちばんの原因は、僕は家の中でまったく尊敬というか大事にされていないことです。妻の実家は親も兄弟も親戚も実業家が多く、妻は僕の職業を不満に思っていたようです。子どもを連れて近くの自分の実家に出かけるたびに、僕の給料が安いとか、レベルの低い仕事で恥ずかしいとか自分の両親に話していたそうです。

もちろん、本人から直接言われたことはないですが。子どもたちから『ママがそう言ってるよ』と言われました。

最近では子どもたちも僕のことをバカにして『パパの給料だとすとぷりのライブに行くお金がたりないんでしょ』『ママは朝から起きてお弁当を作ってくれるけど、パパは昼まで寝てるだけだね』などと、言ってきます。妻が僕のいないところで、いかに子どもに僕の悪口を言っているかがよくわかります。子どもは妻の鏡です。

子どもにまでこんな風に言われて、家族のために働いているのが本当に嫌になりました。僕のことが尊敬できない家族なんて、自分には必要ないです。お前たちなんかに1円も渡すもんかと、離婚を言い渡したしだいです」

子どもは親の言動をよく見て、真似をします。今回の場合、子どもが父親への尊敬の気持ちを持てない原因は、母親の言動であることは間違いないでしょう。ワンオペ育児の愚痴を実家でこっそり吐き出していたつもりが、子どもを介して夫に全部伝わってしまいました。

3.家事労働を家計費ですませるタイパ重視妻

ケイさん(仮名36歳)が夫から突然「離婚したい」と言われたのは先月。夫が主張している「家事分担をきちんとしない」という理由については、まったく心当たりがない、と言っています。

「わが家は共働きなので家事はほぼ折半しており、きっちり分担しています。たとえば夕食の支度や家の掃除、一人息子の保育園の送迎などは原則、週替わりでやっています。でもどちらかというと夫より私のほうが仕事が不規則なので、定時に終われないことも多いです。

たとえば、今週は夕飯の当番なのに毎日残業が続く。でも夫に代わってもらうのは迷惑がかかるだろうから、デリバリーで頼んだり、デパ地下でお惣菜を買いそろえて帰ったりなどいろいろ工夫をしています。

子どもの保育園の送迎も私がむずかしい時は実家の母やシッターさんに頼んでタクシーで行ってもらうこともあります。夫に頼んでも、彼は彼でいそがしいでしょうし、迷惑はかけたくないと思っています。もちろんお金はかかりますが“Time is Money”の考え方で、割り切るようにしています。私がいろいろ工夫していることを夫も十分わかってくれていると思っていたんですが…」

「自分は工夫して、家事分担を頑張っていた」と言い切るケイさん。でも、ケイさんの夫に伺ってみると、意外な反応でした。

「僕が妻に対して不満なのは、家事を自分でやろうとせず、お金で解決しようとすることなんです。夕飯を作るのが面倒だからデパ地下で総菜を買ってきて、ときにはウーバーですよ。

ウーバー頼むだけなら夕食の支度をしたと言えないですよね。僕は仕事が終わった後でも、ちゃんと地元の安いスーパーで買い物をしてご飯を作りますよ。妻はお金を使って自分だけ手を抜いて、以前からずるいと思っていました。

ほかにも、保育園の送迎で、自分の代わりに高額なシッターさんを頼むので、そのためにタクシー代もかかります。このように、料理以外でも、自分がさぼるために家計から出費する場面が多々あります。

自分が送迎できないとわかっているなら、僕に頼んで交代すればいいと思いませんか?妻が交代を申し出ないのは、交代してもらった分、翌週に送迎をやらなきゃいけないから、それが嫌なんですよ。だから金を使って自分が楽をしているんです。不公平ですよ。もう僕の我慢の限界を超えたんです」

タイパ重視の妻に対して、それを「浪費だ」「手抜きだ」「ずるい」と感じる夫。お互いの考え方をきちんと伝えあっていれば、深刻な事態にならずに済んだはずですが、ちょっとしたコミュニケーション不足やすれ違いが大きな亀裂になってしまった一例と言えるでしょう。

「自分の物差し」はただの「思い込み」に過ぎないと知るべし!

夫婦といえども他人。「これぐらいなら気にしないはず」「バレなければ多少の愚痴は大丈夫」「私の状況を理解してくれるはず」等の思い込みや過信は禁物です。

夫婦仲カウンセリングの時、「自分の物差し」で相手の言動を伝えるかたが非常に多いのです。筆者は「それは”思い込み”というやつですよ」と、夫婦に阿吽の呼吸など存在しないとアドバイスしています。

お互いが異なる価値観を持っていることを前提に、相手がどのように受け止めるのか、考えているのかをよく考え、丁寧で誠実なコミュニケーションを心がけましょう。

 
 

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