魚肉ソーセージがイタリアンおつまみに!?プロに学んだ簡単・美味な酒の肴
2023/02/19
グルメライターとしても活躍する増田剛己さんは、飲食店を取材するなかで「これは!」という酒の肴に出会うことも少なくないそうです。そしてときには、その作り方を教えてもらうことも。お酒の肴だけではなく、もう一品のおかずにもなるメニューを、紹介してもらいます。
居酒屋の黒板に書かれていた「ばくだん」
カウンターだけの小さな居酒屋を取材したときのこと。店内の黒板に「ばくだん」という見慣れなないメニューがありました。わからないまま注文すると目の前で女将さんがさっと作ってくれました。
作り方は簡単。納豆1パックをタレ、からしを入れて、かき混ぜます。半分に切った油揚げに混ぜた納豆をスプーンですくって入れ、爪楊枝で閉じます。閉じた油揚げをフライパンに油は引かず乾煎りします。ちょっと焦げ目がつけばできあがり。
そのままいただいてもいいし、好みでポン酢などをつけてもいいそうです。いただいてみると、想像通りではなく、想像以上に香ばしく、納豆の旨みが押し寄せてきます。女将にこのメニューがなぜ「ばくだん」なのか聞いてみたのですが、わからないとのこと。
深夜のバーで教えてもらった「ギョニソのジェノバ風」
深夜に立ち寄ったとあるバーで、初老のマスターから教えてもらったメニューです。ちょっと変わった名前のメニューなので、注文していただいたところ、たしかにどこかジェノバ風ですが、噛みしめればギョニソという不思議なメニューでした。しかし、アルコールには合う味になっています。
作り方を聞けばめちゃくちゃ簡単。フライパンにバター10gを入れて、スライスしたギョニソ(魚肉ソーセージ)を少し焦げ目がつくまで炒めます。続けてケチャップを入れて少し炒め、最後に乾燥バジルをかけて出来上がり。
ポイントは乾燥バジルをかけることですね。バターとケチャップでけっこう濃い味付けになっているので、調味料は乾燥バジルのみにしたほうがいいようです。
冷蔵庫に残った長芋でつくる「長芋の醤油バター炒め」
「このあいだ、間違って長芋を2本買ってきちゃって」というようなことを近所の居酒屋の女将に話したら、輪切りにしてバター醤油で炒めるとおししいよ、と教えてもらいました。
長芋というとすりおろしてご飯や蕎麦、マグロの刺身にかけるくらいで、焼くという経験はほとんどありません。そこで言われるまま作ってみたところ、これがけっこう美味ではありませんか。
作り方は簡単。長芋の皮を剥いたら、1cmくらいの輪切りにして、フライパンにバターを入れて炒めます。ほどよく焼き色が付いたら、醤油を垂らしてできあがり。刻みのりなどをかけていただきます。簡単にできる割においしい仕上がりにびっくりです。
冷蔵庫のあまりものでつくった「白菜とえのきの柚子胡椒」
こちらも近所にある居酒屋の女将に教えてもらった一品。鍋の具材で白菜とえのきがあまってしまった……と伝えたところ、教えられた料理です。
まずは白菜1/8を短冊切り。鍋に400gの水を入れ、沸騰直前にかつお節の小さなパック(2.5g)を入れて、白菜、えのき(1/2パック)を入れて、味を見ながら適量の醤油を入れて味をととのえます。最後に、量は好みですが柚子胡椒を小さじ1/2くらい入れて、具材に火が通れば出来上がりです。
柚子胡椒は冷蔵庫の奥に入れっぱなしになっていたので、久しぶりに使いましたが、これがいい仕事をしますね。パクパク食べられちゃいます。
山口県の郷土料理「けんちょ」
山口県を旅行したときに地元の居酒屋さんで教えていただきました。山口の郷土料理だそうです。こちらも、作り方はとても簡単。
フライパンにサラダ油を入れ、いちょう切りにした大根を炒めます。火が通ったら豆腐を入れてつぶします。醤油、お酒、みりんなどで味をととのえ、水分を飛ばせば出来上がり。素朴な味わいに仕上がります。
大根以外の具材、たとえば人参やキノコ類を入れてもいいとのことでした。常備菜になるので、大根があまったときなどに作り置きしておいてもいいですね。
今回は、わざわざ材料を買いに行かなくても冷蔵庫のあまり物で調理できるようなメニューを選んでみました。もちろん、どれも簡単で早くできるメニューです。しかし、食べてみると、えっ、これどうやって作ったのっていうようなメニューに仕上がったのは、まさにプロに教わったからです。
監修・文/増田剛己
WEBや雑誌などで散歩関係の記事を書いているフリーライター。主な著書に『歩考力』(ナショナル出版)、『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎新書)などがある。